静岡の街から
ハタチの社会見学〜細田漆工所〜
■細田漆工所にやってきた!!
〜歴史ある漆器を、この目で知りたい!〜

静岡県の漆器がだんだんと有名になりつつあるのを知っていますか?
今、漆器を含めた静岡県の伝統工芸作品は地域ブランド化され、海を越えフランスなどで注目を浴びています。しかし、そんな漆器がどのように作られているのかを知らない方も多いのではないでしょうか? 今回は漆器職人である細田豊さんに、漆器を作る工程を教えてもらいました。細田さんは漆を塗るだけではなく、漆を塗る前の木地から作っています。地域ブランドとして認定された伝統工芸品のひとつである漆器を、私たちとともに学んでいきましょう!
◉静岡県の伝統工芸品〈静岡県庁〉
https://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-560/dentou_itiran.html
[取材]静岡大学3年/度會由貴
[取材・文]静岡英和学院大学2年/漆畑友紀
■他の器にはない魅力が、漆器にはある。

漆職人によっては塗ることを専門にしている人もいますが、私の場合は木地作りから漆塗りまで一貫して行っています。漆の最大の利点は、他の器類と比べ抗菌作用があることです。時代が変わり、技術の進歩で食べ物が季節問わず新鮮で美味しく食べられるようになってきましたが、昔の人の知恵や自然の力でも、食べ物を美味しい状態に保てるんです。
また、昔から重箱に漆が使われるのは、漆の木からでる樹液(生漆)をものに塗って乾燥させると丈夫で長持ちするからなんですよ。そして、近年、建築などに輸入木材を大量に使用していることよって、地元の木の循環が乱れていますが、漆器作りで地元の木を使うことは、本来あるべき木の循環に戻してやる効果もあります。
こういった漆器の良さを若い世代に語り継いでいきたいのですが、作り手がいなければ意味がありません。今、漆器作りに携わりたがる人は少なくなってきていますが、情熱があれば誰だって始められます。漆器は実用品なので、自分が手間をかけて作ったものが不多くの方に使ってもらえるんです。実は価値や結果などがすぐに実感できるものなんじゃないかと私は思っています。地元の素材を使って作ったものを、地元の人たちが買ってくれて、それで美味しいご飯を食べてもらえると、職人としてやりがいを感じますね。
漆職人。15歳で漆器の道に進み、お弁当箱や重箱など食器類も作っている。「思ったようにはなかなかいかないけれど、作ったものは裏切らないよ」という言葉が印象的で、この仕事にかける情熱を感じました。
住所:静岡県静岡市葵区田町4‐39
TEL:054-253-6044

(1)社会見学スタート!

▲こちらが漆を塗る前の漆器の木地です。漆器の製造工程では、漆を塗る前の地肌のままの器物を【木地】と呼びます。まずは、どのように木地が作られるかを見てみましょう!
(2)木地の木材は檜

▲工所の裏には、木地を作る際に使われる木材(檜)がたくさん置かれていました! 軽くて丈夫な性質を持った檜は、漆器製造と相性がよいため、よく使われるそうです。
(3)木地づくり1

▲木材は、やすりで削り板状にしたあと、沸騰したお湯にいれ柔らかくします。
(4)木地づくり2

▲柔らかくさせた板を、あらかじめ電のこで切りとっておいた楕円形の型に沿って曲げていきます。板が熱をもっているうちにやらないと、整った木地ができません。時間との勝負です。

▲電のこで切りとった型。
▲私たちも体験させてもらいました。型にまっすぐ沿わせるのが、とにかく難しかった……!
(5)型の固定

▲曲げた板は、強力な輪ゴムでしっかりと固定します。曲げわっぱ(※)のお弁当箱の骨組みが完成しました。
※江戸時代に、武士の内職として推奨されたことが始まりとされる。スギやヒノキで作られた、円筒形の木製の箱。ご飯が傷みにくく、軽量で持ち運びがしやすいため実用品として重宝されてきた。
(6)糊づくり

▲うるち米を加工した上新粉をお湯で煮込んで糊にします。細田さんは昔からこの糊に生漆を混ぜています。漆の匂いが部屋中に広がりました。
(7)漆づくり

▲米粉と生漆(不純物を取り除いた精製途中の漆)を混ぜ合わせます。漆は、空気に触れると黒くなる性質があり、乾いた漆はとても丈夫になります。

▲糊と漆を混ぜる時に使っているヘラは、細田さんお手製のもの。檜で作られていますが、実は、以外と重い。
(8)下地づくり

▲下地とは、漆器の光沢や仕上がりを上質にするために木地に施すものです。また、下地を繰り返すほど、上質なものになるそうです。細田さんが使っている下地の材料は、研之粉という京都の山でとれる土。水で濡らして使います。
(9)木地を整える

▲木地を底にはめます。漆をムラなく塗るため、木地の表面を削ったりやすりをかけたりして整えていきます。

▲こちらは鉋をかけているところ。蓋をはめた部分を斜めに削ることで、漆を塗りやすくします。
(10)顔料

▲漆に色をつけるために使われる顔料です。
(11)摺漆

▲木地に生漆を刷り込むようにして塗る工程を、摺漆(すりうるし)といい、塗ったあとは乾燥させます。塗る回数を重ねることで、次第に色が濃くなり艶がでてきます。

▲漆を塗る際に使う刷毛です。毛の部分は、なんと女性の本物の髪の毛! 中国人の髪の毛を輸入して使っているそうな……。

▲丁寧に塗り重ねると、光沢も艶もある、見事な朱色に変わります。


漆器に模様を描く際、何が使われているのかご存知でしょうか?下の写真の漆器には「螺鈿」という技法が使われていて、あわびの貝で描かれています。市販の1mmにも満たされないほど薄くスライスしてあるあわびの貝をカッターなどで切り、木漆で塗り終わった木地へ模様を付けたい所へ置きます。漆はすぐに乾かないので、あわびの貝は段々と漆に潜っていきます。しっかり乾くと、とれることはありません。あわびの貝の他にも夜光貝や白蝶貝、黒蝶貝などが工芸品などで多く使われています。
(12)完成

▲漆を塗った漆器は、約3〜4ヶ月かけて乾かします。天気に左右され、雨が降ると湿度があがって漆の乾燥が早くなります。湿度や気圧に苦労しながら漆器は完成し、買い手の方へ渡っていきます。
■見学を終えて……

「静岡の漆器の魅力を知りたい」という想いで臨んだ今回の社会見学。細田さんの仕事場に入ると、小学生の頃伝統工芸作品作りを体験することができる駿府匠宿へ行ったあの日を思い出す懐かしい匂いがしました。取材時に細田さんから頂いた漆器のお弁当箱で食べるご飯は暖かく、漆塗りの技法「摺り漆」がとても綺麗で魅せられました。静岡の地域ブランドとして、注目されている漆器。これからも静岡の伝統工芸作品として多くの方に知ってもらいたいと思いました。春からまた始まる学生生活を細田さんから頂いたお弁当箱と共に日々精進して行きたいと思います!
[取材・文/漆畑友紀]
Updated:2015年07月09日
そうだ、この駅で〜焼津駅の旅〜
今回の降車駅は……
■焼津駅
【Access】
静岡(東海道本線:13分)→焼津
浜松(東海道本線:57分)→焼津
■魚食べるさ、漁業三昧! 焼津の旅

▲執筆を担当した塚本は、焼津生まれの焼津育ち。「住み慣れたまちの、まだまだ知らない場所を探しにいくぞ」という思いで旅をスタート。
焼津という地名の由来は諸説ありますが、古事記や日本書紀にも登場していたことがわかっています。その昔、日本神話の英雄・日本武尊が東征の途中、剣で草をなぎ倒し、火をつけて賊を滅ぼしたという説や、大昔、この地は天然ガスが地下から湧き、浜辺が自然に燃えていたことからついたという説もあります。
また焼津は漁業が盛んな街として全国的に有名です。平成二十五年度の焼津漁港の水揚げ高は数量・金額共に全国二位!焼津の漁業は江戸時代から盛んであり、当時、既に漁業協同組合のようなものがありました。その後、漁船の大型化や技術革新などにより、全国にその名が広まりました。
第二次世界大戦時の漁船徴用や第五福竜丸ビキニ被爆事件などの苦難もありましたが、先人たちの努力により、現在も漁業の街・焼津があるのです。
市内には、焼津さかなセンターや県立の水産高校があるほか、春に行われる焼津みなとマラソンでは、鰹の切り身を参加者への賞品とするなど、様々な場面で漁業の街を感じられます。
今回、焼津を案内してくださるのは、焼津駅前商店街の番長・望月誠さん、焼津の癒し系旅先案内人・関幸彦さん、優しくて頼もしい焼津商工会議所の岡田國治さん。さあ、焼津駅周辺をちょっくら行かざあ!
【焼津のガイドさん紹介】
◉岡田國治さん(写真:左)
中小企業相談所長でもある岡田さんは、日々、焼津の商工業を支えています。
◉望月誠さん(写真:中央)
焼津駅前商店街を取り仕切るリーダー的存在。
◉関幸彦さん(写真:右)
関さんの焼津案内で、知っているようで知らない色々な場所を歩くことができました。
【取材】
◉執筆:塚本みゆき(静岡英和学院大学)
◉撮影:鈴木理那(静岡時代OG)

▲焼津駅前の憩の場。湯加減も絶妙で、足先からじんわり伝わる熱にとにかく癒されました。
(1)焼津駅
駅前には、地下千五百メートルの地層から湧き出す天然温泉を利用した足湯があり、年齢を問わず多くの方々が利用しています(無料)。また、焼津は明治の文豪・小泉八雲と縁が深く、焼津の海を気に入った彼は、一八九七年に初めて焼津を訪れてから亡くなるまでの七年間に、六度もの夏を焼津で過ごされたそうです。駅前には記念碑(八雲の碑)も建立されています。

(2)焼津漁業資料館
焼津漁業協同組合が創立三十周年を記念して開館。駅から徒歩で約五分の場所にあります。焼津と漁業の歴史を昔の漁師が実際に使用していた物品などの展示物と共に知ることができます。写真は鰹船ブリッジと呼ばれる実際に使用されていた木造船。大きさの関係で館内では船の前方のみを展示しています。操縦ハンドルに触ることもでき、気分はもう焼津の漁師さん!

▲他にも漁業関係者の方たちは「鉄道開通100周年」の記念碑も設置しました。この車輪のオブジェは焼津駅前でみることができます。

(3)やきつ家
店主は案内人の望月さん。焼津のグッズを取り扱っており、今年で開店十三年目。開店当初は水産加工品が主力商品でしたが、ここ数年は魚河岸シャツ(手拭いの生地に魚河岸のロゴが入ったもの)が人気です。しかし、これよりも歴史の古い鰹縞シャツ(手織りの布に縞模様を織り込んだもの)は十三年間変わることなく、現在も全国の愛好家に親しまれ続けています。

(4)みちくさ
こちらも、焼津駅前商店街にある焼津おでんのお店。店主は、街のみんなのママ・小池真知子さん。焼津おでんは、竹串に刺さった黒はんぺんや鰹のヘソ、なると等が黒いお汁に入っており、味噌ダレやだし粉、青のりをかけて食べます。お店の中央にあるお鍋をお客さんとママが囲むと、そこはまるで一家団欒。温かいおでんとお店のアットホームな雰囲気は身も心も温めてくれます。

▲商店街には海の街ならではの風景がたくさんみつけることができます。このめがね橋の装飾には海老、貝、なんと人魚まで! 冬の季節には、イルミネーションも楽しめる橋なんです。

▲こちらが、めがね橋のイルミネーション。電飾はやっぱりお魚です。

▲さらに商店街のパン屋さん、パリジャンマツダには「鰹パン」が売っています。削りたての鰹節が生地に練り込まれているなんとも贅沢なパンです。

(5)罪切地蔵
徳川家康が武田勢に敗れ敗走した際、この地の僧に助けられました。お礼として家康は名剣を授け阿弥陀時寺を建立しましたが、後の住職が剣は仏道にそぐわないとして経文と剣を石棺に納め、地蔵菩薩を安置しました。経文と剣の功徳により、前世の罪が断ち切られるというご利益があるとされています。毎月二十四日は縁日で、九月末にはお祭りが賑わいます。

(6)魚いち
鰹の水揚げ量日本一の焼津では、春と秋に、鰹を使った料理を市内十一店舗で千円で提供する鰹三昧というキャンペーンがあります。その参加店の中の一つの魚いち。店主は優しい人柄の岸端礼次郎さん。写真は、実際に鰹三昧で提供するメニュー。千円とは思えない量にびっくり。平日は出張中のサラリーマン、土日は旅行客が多いそう。学生アルバイトも大募集中!
◉焼津鰹三昧
期間:平成27年 5/9(土)〜7/5(日)
参加店舗などの詳細は、以下facebookページから。
https://www.facebook.com/pages/焼津鰹三昧/618340024868725?sk=timeline

■焼津駅
【Access】
静岡(東海道本線:13分)→焼津
浜松(東海道本線:57分)→焼津
Updated:2015年06月01日
ハタチの社会見学〜 さわやか株式会社本社工場 〜
■炭焼きレストランさわやか工場にやってきた!!
〜さわやかのおいしさの秘密に迫る!〜
炭焼きレストランさわやかは静岡県内に28店舗を構える、静岡に根付き多くの人に愛されているレストランです。「さわやか」という店名や「げんこつ・おにぎりハンバーグ」といったユニークな名前も印象に残るもので、多くの人が知っているのではないでしょうか。今回さわやかのハンバーグのおいしさを探るべく『静岡時代』編集部が訪れたのは袋井市にある「さわやか本社工場」。実はさわやかのハンバーグのすべてがこの本社工場でつくられ、毎日出荷されているのです!
■『「さわやか」が目指すこれからの「さわやか」』
さわやかは現在静岡県内だけで展開しているのですが、実は静岡にしか出せない理由と出さない理由の両方あるんです。まず静岡にしか出せない理由としては、さわやかのすべてのハンバーグを袋井のこの工場で製造して発送しているため、安全面、費用面ともに静岡県内が今の限度であるということです。さわやかのシンプルな味は全国どの地域でも愛される味だと思っていますが、やはりそのおいしさは安全性と鮮度にこだわっていることで実現できている味なので、他の地域に拡大したときに今と同じようにできるのかというところで店舗拡大には慎重になっています。
また、社長の理念が「地域一番店をつくる」ことであるため、まずは静岡の人たちに認めてもらえるようなお店をつくることを一番に考えています。今のさわやかは「地域を代表するハンバーグ屋さん」というイメージが強いと思います。実際「げんこつ・おにぎりハンバーグ」が全体の65%を占めていて、半数以上のお客様がそれを食べにさわやかに来ていると思います。でもこれからさわやかが生き残っていくためには「げんこつハンバーグのお店」だけではなくサービスの充実が必要不可欠だと思います。従業員とお客様の距離がもっと縮まって、この人に会いに来るためにさわやかに来たといわれるようなお店にしていきたいですね。
営業本部次長。さわやかの工場から店舗のことまで様々な質問に丁寧に答えてくださった早川さん。
富田社長の理念を受け継ぎ、お話をうかがっているとさわやかに対する熱い想いが伝わってきました。
さわやか株式会社本社工場
住所:静岡県袋井市宇刈137番地
TEL:0538-49-5311

(1)社会見学スタート!
▲今回工場の案内をしてくださるのは商品部次長の神谷謙一郎さん。ハンバーグを製造する機械はひとつながりのもので、どこでどんな作業が行われているのか丁寧に説明してくださいました。
(2)牛肉の確認
▲工場に運ばれた肉の箱には、バーコードが付いています。ここから、いつ、どこの工場から来た、どの牛の肉なのかをすべて確認できます。
(3)解凍
▲解凍室で一日かけて肉を解凍します。水蒸気を使って解凍することで、肉の細胞を壊さずに鮮度を保ちながら解凍できるそうです。
(4)エアシャワー
▲ここはエアシャワー室。ここから先は生産者の方しか入れないようです。私たちはガラス越しにハンバーグを追いましょう!
(5)重量3〜5kgのかたまり肉
▲大きな肉のかたまりが登場!かたまり肉を使用するのは、表面を殺菌することで、より安全なハンバーグにするためです。
(6)オーストラリア産牛肉
▲ちなみに、肉はオーストラリアで穀物肥育された牛を使用しています。一頭から約10kgしか取れないのだそう。
(7)牛肉のカット
▲まずはかたまり肉をフレーク状にカットします。写真はカットされた肉が出てきているところ。
(8)スパイス追加
▲次に香辛料をまぶします。さわやかのハンバーグはお子様用以外はすべて香辛料だけしか混ぜない牛肉100%のハンバーグです。
(9)ミンチ
▲ミンチにすることで、子どもからお年寄りまで食べやすい食感にしています。げんこつハンバーグ(250g)はお年寄りにも人気!


「炭焼きハンバーグレストランさわやか」というお店の名前には創業者である富田重之社長の想いが込められています。「爽やか」の意味は「自然のいきいきとした状態」。ここから、お客さんに食事を通じていきいきと元気になってもらいたい、そして従業員にもいきいきと働いてほしいという願いを店名に掲げたのです。また、さわやかのシンボルマークはよく見ると「爽」の字が違っています。「メ」を「人」に変えてしまうことで、人が集まって大きなものを創る、つまりみんなで地域一番店を創るという願いを込めたのです。富田社長は一号店を作る前から店の名前とシンボルマークを考えていたとか。想いの強さが感じられますね。
(10)仕分け
▲大まかな丸状にかたちが整えられ重さによって仕分けられます。重さの差が5g以上あると、もう一度ミンチの中からやり直しです。(写真下のハンバーグがやり直し!上が合格ハンバーグ)
(11)安全性の確認
▲よく見ると白いチューブが通っており、ここからアルコールが噴射されてコンベアを清潔に保っています。安全性にこだわっていますね。
(12)げんこつハンバーグの原型
▲最後に型に押されてフットボールのような形のげんこつハンバーグが出来上がります。赤みがかっています!
(13)安全性の再確認
▲出来上がったハンバーグは金属探知機に通して、異物混入がないかを確認します。ここでも安全性へのこだわりがわかりますね。
(14)配送
▲一つ一つ丁寧にトレーに詰められます。その数、一日約一万個!その日のうちに県内28店舗に配送されます。
■見学を終えて……
今回の取材を通して、徹底した安全管理や品質へのこだわり、そして静岡の一番店を目指すという真摯は姿勢がさわやかのハンバーグのおいしさの秘密なのではないかと思いました。私は他県から静岡に来たときに、初めてさわやかの存在を知ったのですが、これほど地域にこだわって、そして実際に地域に根付き多くの人々に愛されているお店はなかなかないと思います。さわやかは静岡の一つの文化とも言えるのではないでしょうか。
[取材/文]静岡大学4年 度曾由貴(わたらいゆき)
Updated:2015年05月26日
ハタチの社会見学 〜 YAMAHA 掛川工場 〜
■YAMAHA 掛川工場[(株)ヤマハピアノ製造]にやってきた!!
〜創業127年。静岡が誇るヤマハの音づくり〜

浜松発祥、世界中で愛され続けるヤマハ株式会社は、明治20年に山葉寅楠によって創業されました。ヤマハといえばピアノですが、明治33年に生産がはじまり、現在では掛川工場が国内で唯一の生産拠点になっています。従業員数は約600名。年間約2万台のアコースティックピアノ(グランドピアノとアップライトピアノ)が生産されています。127年の歴史と伝統が積み重なった、ヤマハ独自の音づくりの技術。選ばれ続ける理由は一体……?
今回は、グランドピアノの生産工場を紹介します。
■一人でも多くの人に、ヤマハのピアノを弾いてほしい

▲株式会社ヤマハピアノ製造 ピアノ生産部部長の、和田雅博さんです。
ピアノは楽器の王様とよく言われますが、私もその通りだと思います。特に、アコースティックピアノは弾いた分だけ深みが増し、自分に返ってくるのでいくら弾いても飽きません。落ち込んだ時に弾けば落ち込んだ音色、嬉しい時なら軽やかな音色。楽器と対話ができる感覚はアコースティックピアノでしか味わえません。
ピアノの品質を決める4つの要素は「設計」「材料」「工程」「作り手」。ヤマハはそのどれをとっても誇れる、歴史と伝統の築き上げた独自の技術があります。4つの要素の完成度を高め、ピアニストが表現したくなるようなピアノ作りを心がけています。ピアノは、サイズが同じでも唯一無二です。例えば設計。設計者の思想が込められるので、設計者の数だけピアノが誕生します。私も以前、C5というピアノの設計に携わっていましたが、低音を美しく響かせられるというC5の魅力を最大限に引き出せるようにと力を注ぎました。天然材料の良さを生かしたり、製造工程の違いがあったり、整音をする人の感性であったり、ピアノ製造の要素のどれかが少しでも違えば、ピアノの音色は変わります。
ピアノづくりの伝統を守りつつ、「ヤマハ」の音は進化を続けています。理想の音の在り方を叶えられるように、一人でも多くの人にヤマハのピアノを弾いてもらえるように、ヤマハの技術を存分に注ぎ込み、最高のピアノを創りだそうと日々邁進しています。
ヤマハ株式会社 ピアノ生産部 部長。大学時代は機械工学を専門に学ぶ。卒業後、ヤマハ株式会社に入社。アメリカのピアノ工場で設計者として7年間勤務し、今に至る。和田さんが設計で携わった思い出のピアノは、現在ご自宅で娘さんが弾いているのだそう。
ヤマハ掛川工場
住所:静岡県掛川市領家1480
HP:http://jp.yamaha.com

(1)フレームの取り付け

▲独自の技術で鋳造されたフレームを、本体に取り付けます。
ピアノの重量は300kg以上(※)、そのうちの約1/3はフレームの重さです。(※サイズにより異なります)
(2)ピンの高さを揃える

▲ピン板に、弦をまきつけるチューニングピンを機械で打ち込んだ後、手作業でピンの高さを揃えていきます。
(3)弦張り

▲手作業で弦を張ります。フレームにかかる張力の合計は、なんと約20トン! それに耐える為に頑丈なフレームが必要なのです。
(4)第1・第2調律

▲熟練の調律師のノウハウが組み込まれた自動調律機を使って音階をつくり、張力のバランスを整える、第1・第2調律という作業です。
(5)整調

▲アクションの動きを確認する、整調という作業です。鍵盤同士がひっかからずにスムーズに動くか手作業で確認していきます。
(6)連結、ハンマーの動作確認作業

▲部品の連結がしっかりできているか、高さは揃っているかを確認する作業です。写真はハンマーの高さや動きの確認の様子。
(7)ダンパーの取り付け

▲音を止める役割のダンパーの取り付け。ここの作業をこなせるようになるまでには、半年はかかるそう。
(8)ピアノのシーズニング

▲ピアノは自然素材を多く使用するため、温度や湿度により状態が変化します。
国内向けは3日、海外向けは6日、一定の環境下でピアノを寝かします(シーズニング)。


シーズニング前に、自動打弦機と呼ばれる機械で一鍵につき300回鍵盤を叩きます。これはアクションや弦を馴染ませる為に行います。半音階のオクターブずつ叩かれる不思議な音は、耳から離れません。自動打弦機は音が大きいので防音室の中ですが、昔は音大生がこの仕事をやっていたんだとか。今は、機械と人間で得意な作業を分担して製造しています。機械よりも人間の方が感性が高い為、少しのズレでも人の指で触ると分かります。その為、整調や整音の仕上げは手作業です。
(9)外装の取り付け

▲大屋根や足、ペダルなどの外装を取り付けます。この過程で、ピアノらしい姿になります。
(10)仕上げ整調

▲シーズニングや自動打弦機によってできた微妙な狂いを人の手で直す仕上げ整調。この作業ができるまでには5年かかるそう。
(11)ダンパー総上げ作業

▲ダンパーを上げた時と下げた時に、ちゃんと揃っているか、アクションはスムーズか、最終確認をするダンパー総上げという作業を行います。
(12)4度目の調律

▲4回目の調律は、人の耳で全体のハーモニーを聞きながら行われる最後の仕上げ調律です。
(13)仕上げ整音

▲仕上げ整音。この作業ができるまでに、10年かかるそうで、担当できるのは8人ほど。ヤマハの音は感性によって創られています。
(14)完成

▲最後に、全体の品質検査をして完成! 木を乾燥させる行程から計算すると、グランドピアノは完成するまでに約1年半かかります。最終確認、作業する方の目は真剣そのものでした。
■見学を終えて……

「音色を創りだす」という言葉が印象的でした。アコースティックピアノはサイズが同じでも、すべて音色が違います。見学の最後に3台のC3Xというグランドピアノを弾き比べてもらいましたが、明るく華やかな音色、堅実で深みのある音色、柔らかい奥行きのある音色と、それぞれ違いました。音色を創りだす整音の作業は、調律ができて10年以上働いたベテラン、しかも感性の研ぎ澄まされた人にしかできないという音づくりへのこだわりにも驚きました。ヤマハの水準を保つ為に、人によって受け継がれ、創られ続けています。静岡で創られた音色で、これからどんな音楽が生まれるのか、とても楽しみです。
[取材/文]
◉静岡大学 教育学部3年 三好景子(みよしけいこ)
Updated:2015年05月21日
そうだ、この駅で〜掛川駅の旅〜
◉掛川駅
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【Access】
静岡→(東海道本線:45分)→掛川
浜松→(東海道本線:25分)→掛川
■忍者、現る? 掛川どっぷり歴史旅
掛川は江戸時代、東海道の主要な宿場町として栄えた都市であり、市内には掛川城、高天神城(旧大東町)、横須賀城(旧大須賀町)がありました。高天神城は武田軍と徳川軍の3回に渡っての攻防戦の様子が映画や大河ドラマでも紹介されています。また横須賀城は県下で唯一、廃城令まで天守閣が残っていた城でもあります。今回は掛川駅近くにそびえ立つ掛川城を中心にご紹介して行きます。
時は戦国時代、駿河の守護大名今川氏が遠江支配の為に築城した掛川古城が掛川城のはじまり。最初の天守閣は1590年に豊臣秀吉の命を受けて赴任した山内一豊が築城しました。天守閣は敵が城内に突入してきた場合の最後の砦になります。天守閣内部には敵の侵入に備えて石落とし、武者隠しなど仕掛けが施されています。
ところで秋の掛川を盛り上げる文化の一つに秋の祭典があります。掛川城下の祭典では3年に一度奴道中、仁藤の大獅子、かんからまちなどの三大余興が披露され、なかでもかんからまちという獅子舞は遠州横須賀三熊野神社(掛川市南部)の祭囃子と並んで静岡県無形文化財に指定されています。掛川城「忍者deガイド」の忍者、服部平太夫さん(写真:右)と共に掛川駅周辺を巡っていきましょう。ニンニン!
【ガイド紹介】
◯忍者:服部平太さん
掛川城《忍者deガイド》の忍者。"忍者"なので、もちろん素性は明かしません! しかし、掛川城や城にまつわる歴史を懇切丁寧に教えてくれる優しい忍者さん。
施設ガイドを聞くのはちょっと苦手。楽しく歴史を学びたい! という方々は、ぜひ、現役忍者に案内してもらいましょう!
【取材】
◯執筆:漆畑友紀(静岡英和学院大学)
◯撮影:小池麻友(静岡県立大学)/小泉夏葉(静岡大学)
(1)掛川駅
昭和8年に建設された掛川駅は新幹線が止まる駅の中で日本唯一の木造駅舎です。駅舎の壁の色は景観と合っており、木造駅舎としての歴史漂う気品で堂々と聳えたっています。耐震化に伴い、鉄筋コンクリートへ建て替える意見もでた中、木造駅舎として残したいという市民、地域企業の想いから昔の面影を残したまま木造駅舎として再び掛川の地へ降り立ちました。
▲こちらは昭和8年に建設された駅舎模型。
▲午前10時。掛川のまち、散策スタート!!
▲……かと思きや、たい焼きの良いかおりにつられて速攻寄り道する女子ふたり。
▲「美味い!!」
▲山内一豊の妻お千代は良妻賢母であり、内助の功で一豊を支え続けました。
(2)いも汁
昔から掛川山間部では自然薯が採れる地域であったため、いも汁は郷土料理として掛川市民に愛されています。自然薯は栄養価が高く、疲労、成人病等にも効果があるといわれています。また、山薬と呼ばれる漢方薬にもなる万能食材。味噌で仕立てた鯖だしを混ぜてすり上げていくのが掛川いも汁の特徴。ご飯を何杯でもおかわりしてしまうほど美味しかったです。
▲食事処をでて、しばらく。ようやく掛川城に到着! スタート時は曇っていた空も、見事に晴れました!!
(3)掛川城
今川家が武家としての最後を迎えた掛川城。1569年の「掛川城の戦い」では今川氏真が掛川城に立て篭もっていると井戸から霧が出て城を包み隠してしまいました。これは霧吹き井戸伝説として語り継がれています。国指定重要文化財である掛川城御殿は安政の地震の後に再建され日本に4か所しか現存しない御殿の一つ。現在で言うと市役所のような役割も果たしていたそうです。
▲掛川城で案内人の服部忍者と合流。本格的な忍びの装いと所作に驚きました。
▲天守閣の眼下に広がる掛川のまち。絶景です。
(4)掛川市竹の丸
当初は掛川城の北側を守る区域「北の丸」という名前でした。しかし、周辺に竹藪があったため「竹の丸」と呼ばれるようになったそう。江戸時代は掛川城筆頭家老の住居でしたが、廃城令により掛川城がなくなり、明治になって葛布で財を成した松本家が現在の屋敷を建てました。二階の貴賓室からは掛川城天守閣が見える、忍者さんおすすめスポット!
(5)掛川市二の丸茶室
景観に合わせた美しく趣のある茶室は、訪れる人達の心を和ませてくれます。掛川で多く生産される「掛川蒸し茶」は普通煎茶よりも蒸し時間を長くすることによって、まろやかなコクと甘みがでるのが特徴。和菓子も味わうことができ、日本の茶道に触れられます。ちなみに、日本の茶道はどの流派でも先に和菓子を食べてから抹茶を飲むそうです。
▲さっそく立ててもらったお茶とお菓子を楽しみながら、「今回の旅、ずっと何か食べてる気がする」と気付く。
(6)龍華院大猷院霊屋
掛川城の前身だった掛川古城の跡地に建てられたもので、日光に祀られている江戸幕府第三代将軍家光の霊を分霊しています。古城の名残としては土塁と空堀が残されており、土を何十メートルも掘って柵をめぐらせた「山城」と呼ばれる初期のお城がこの地にはありました。厳かな雰囲気が漂うこの場所は、春は八重桜、秋は紅葉の隠れた名所です。
▲茶葉のよい香りがするカワイイ巾着袋をお土産に、今回の旅は終了です。歩く醍醐味がある、掛川のまち。
みなさんも週末のおでかけにぜひ、足を運んでみてください。
◉掛川駅
大きな地図で見る
【Access】
静岡→(東海道本線:45分)→掛川
浜松→(東海道本線:25分)→掛川
Updated:2015年05月14日
静大棚田研究会による『上倉沢棚田だより』〜2015年3月〜
こんにちは。
静岡大学棚田研究会(通称:棚けん)に所属している農学部 環境森林科学科3年の太田和晃(おおたかずあき)と申します。僕は本研究会で、部長と企画班班長を務めています!

▲研究会と企画班のリーダーを兼任しています。山本前部長から託された研究会とメンバーを引っ張っていく気持ちはみなぎっています!
「せんがまち棚田倶楽部」が運営しているWebサイト《たなだいこうよ.net→ http://www.tanada1504.net》では、オーナー制度のより詳しい情報を掲載しています。実は、募集の予定枠がすぐに埋まってしまうという大変人気のある制度。僕も地元の方との交流や食の循環などを学びながら、とても楽しんで農業体験ができています。農業や食育などに興味のある方はぜひ一度、ご覧になってみてください。
■今月の上倉沢棚田
2015年3月も、上倉沢棚田での保全活動からはじまりました。
今回は、棚田の田起こし・畦塗り作業。この時期の棚田では、いずれ来る田植えに向けて、田んぼを整える作業が主になります。みんな泥だらけになりながら活動をします。この時は、田起こしがメイン。稲刈り後に固まった土を砕くことが目的で、クワや耕運機を使ってみんなで棚田内の泥をぐちゃぐちゃにかき回していきました。


▲耕耘機は見た目以上の重さがあるので、操作がめちゃくちゃ難しい。手練のメンバーが担当します。
■県をまたいだ大学間交流実施!
全国11大学の耕作系大学生が、農業の今を語る。
また、棚田の保全活動をメインに行っている棚けんですが、実はそれだけではないんです。今月の活動は、僕たちにしかできない、棚けん”ならでは”の体験がひかる月でした。
1つめは、【沖縄サトウキビ刈り大学交流会】です!棚けんは毎年、研究活動のひとつとして全国の大学と交流会に参加しています。
もともと、棚けんを設立したプロデューサーさんが発起人となってスタートしたのが、年に1度の大交流会です。プロデューサーさんは、全国各地で農業農村を応援するサークルを作り上げている方。交流会ではいわゆる「プロデューサーチルドレンのサークル」が一挙にあつまり、一緒に農作業体験をしたり、食事をしながら農業・自然環境にまつわる意見交換の場にしています。今回は琉球大学が主催の、特に大規模な交流会のひとつでした。我らが静大をはじめとして、信州大学・新潟大学など全11大学が参加し、サトウキビ刈りをしました。

▲獲れたサトウキビから砂糖を抽出する製糖工場も見学しました。
他大学の学生たちと交流する中で一番気にかかったのは、それぞれの環境の違いだったと思います。沖縄と静岡県の気候環境!といった話だけでなく、大学ごとの周りのサポート環境も全く違っていることです。
例えば、「畑作をして農作物を売りに出したい!」と思っても、ある大学ではそれをやる場所は?農具は?予算は?売る場所は?と考えることが山ほどあります。しかし、棚けんの場合、耕作放棄された棚田を利用して、畑作を行っている「青空農園」でその願いを叶えています。そのすべてを「せんがまち」という素晴らしい場所と、「せんがまち棚田倶楽部」というNPOの手厚いサポートのもとで、「自由にやればいいよ!」と背中を押してくださっている中で、行えている現環境のありがたさをひしひしと感じました。本当にせんがまちに感謝です( ;∀;)
交流会自体は沖縄だけでなく、毎年何度か行われています。いくつかの交流会に参加し僕が思ったことは、やはりそのまま終わってしまうこと…。とある信州大4年生も同じ考えを持っていたようで、「このままいつも『交流会楽しかったね』で終わりにしてしまうのはもったいないから、このネットワークを利用して何かやろうよ!」とアイデアをだしてくれました。彼の一言で、県の枠を越えた大学同士でできる農業イベントの計画がスタート。大学間で育てた農作物を交換し合って、お互いの売り場で販売してみることや、ネットワークに参加した大学を一大学ずつ訪問することなど、メンバーから様々な案がでてきました。すぐにできるものではありませんが、僕たちの後輩や、卒業生一緒になって、いつか実現できたらと考えています。こうご期待。

■棚けん主催の「せんがまち お月見コンサート」その後……
〜未来の棚田を担う子どもたち〜
そして次の活動ですが、みなさまは「お月見コンサート」覚えていますでしょうか。棚田だより9月号にも書かせていただきましたが、河城小学校5.6年生と共同で開催した「棚田でお月見をしながらコンサートをしよう!」という趣で開催したイベント。それがお月見コンサートです。
《◆2014年9月のレポート。『満員御礼! 500人の来場者が盛り上がった、お月見コンサート開催』→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1377498.html》
今回、その時に一緒に活動をした河城小学校5年生の感謝の会にご招待されました!
当日は、5年生のみんながお世話になった人たちにおもてなしをしてくれました。棚けん以外にも5年生に英語を教えていた先生が参加してくれ、みんなで一緒にクイズを楽しんだり、大学生顔負けのパワーポイントを使った発表を披露してくれる盛りだくさんな内容でした。
ちなみにこのパワポの発表では、5年生がお世話になったことをスライドで振り返ってくれました。「自分たちが何を教えてもらって、何を学ぶことが出来たのか」を写真とアニメーションを効果的に使って伝えてくれました。僕たち棚けんには、「お月見コンサートで過ごした楽しい思い出と、イベントを作る楽しさを教えてもらいました」と言ってもらえました( ;∀;)。正直あの当時はがむしゃらにお月見コンサートを成功させる!と思ってやっていたので、「小学生が楽しめていることをやれているのだろうか…?」と今更ながら不安に思うところがあったのですが、巡り巡って、小学生のみんなも楽しんでもらえたことがとても嬉しかったです。
最後には、お月見コンサートで披露してくれた御神楽のダンスや中島みゆきの「ヘッドライト テールライト」の合唱などもしてくれて、あの時の感動を思い出し、少し感傷に浸ってしまいました…。

▲僕たちの顔を覚えてくれていた子どもたちもいました。大きくなっても上倉沢の棚田に関わってくれることを願って、農業の今を伝えていきたいです。
今月の活動では、大学交流会で様々な大学とお話をして多くの刺激をもらえ、お月見コンサート感謝の会にて、活動への活力をもらえました。棚けんの活動の魅力は、こういったところにも多く詰まっていると思います。メインの棚田保全活動といった農作業だけでなく、今回は小学校、大学等で行ったような、棚田の外で得られる経験はかけがえのないものになっているなあと実感しています。例えば、サトウキビの刈り方や砂糖のでき方・小学生との上手なかかわり方などの具体的な知識から、沖縄国際通りの歩き方・沖縄への交通費を少しでも安くする方法などの今後役に立つのかどうかわからない知識まで、ガッツリ勉強を出来て、とても充実した経験になりました。
5月23日(土)からは3週連続で、「代掻き作業日」・「田植え作業日」・「棚田ライトアップイベント あぜ道アート」と活動が続きます。
まだまだ棚けんは猛スピードで駆け抜けていく予定です。よろしくお願いします(^_^)/

◉静岡大学 棚田研究会の礎
2009年当時、農学部共生バイオサイエンス学科だった学生3名が設立。棚田を保全・活用する農家の減少が背景にあり、一時は失われる直前だった棚田の風景を取り戻すため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方たちとともに活動を行っている。主な活動内容は、復田、田植え、草刈り、稲刈り。また、棚田市場や静大祭において、棚田で収穫した作物を使いオリジナルフードを販売。皮はもっちり、ほのかな甘みが絶妙な「古代米たい焼き」は、棚けんイチオシメニューです!
「しず大棚けん」ブログ→ http://www.tanada1504.net/tanaken/
◉主な活動内容
私たちは、静岡県菊川市上倉沢の美しい棚田の景観を守るため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方と連携して、日本の原風景である棚田の保全活動の支援を行っています。この上倉沢の棚田は別名「千框(せんがまち)」と呼ばれています。NPO法人せんがまち棚田倶楽部は棚田オーナー制度に取り組んでおり、オーナーのみなさんと月に1回、せんがまちで農作業を行っています。私たちはNPOのみなさんと共に、インストラクターとしてオーナーのみなさんのサポートをしながら農作業をし、交流を行っています。他にも棚けんは、青空農園での活動も行っています。この青空農園は、もともと棚田だった土地が耕作放棄され田んぼとして利用できなくなった場所を農園として利用しており、様々な作物を育てています。これまでにサツマイモ、ニンニク、カボチャなどを育てました。私たちはこのように棚田保全と青空農園での営農を主に取り組んでいます。
Updated:2015年05月12日
静岡県とアートの関係をめぐってみませんか?〜静大美術教育院生のアートマネジメント考〜
2015年2月3日から開催されているアートイベント「めぐるりアート静岡」。本展は、静岡大学で開講されている「アートマネジメント力育成事業」の企画として2年前よりスタートした。昨年度、この事業を受講した静大大学院2年の見城絵理奈さんは、「アートマネジメントで社会に何ができるだろう」と考えている学生のひとりです。今期は展覧会場スタッフとして携わっている見城さんですが、アートマネージャーとしてイベントを支えていたときと、客観的に現場を訪れたときとを比べて気付いたアートマネジメントの現場とは。お客さんと作家のつながりを直に感じることが出来たという見城さんが、"アートを通じて社会にもたらされる良いこと"を探りに、本展を「めぐるり」してみました。
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■"アート"の可能性って何だろう?
静大美術院生が、アートマネジメントの現場をレポート。
静岡大学大学院教育学研究科2年の見城です。大学では、美術教育を専攻しながら絵画制作を行なっています。
私は昨年度、同大学の「アートマネジメント力育成事業」に参加していました。この事業は、静岡市に集積する文化芸術機関と連携して、文化施設関係者や学校の先生、アートに関心を持つ市民、そして大学生などを対象に、実践的なアートマネジメントを経験してもらうために開講したものです。今月3日から静岡の街中で開催されていた「めぐるりアート静岡」というイベントも、その事業の一環です。


※「めぐるりアート静岡」2015→ http://megururi.net
私がアートマネジメントに興味をもったのは、美術教育を通じて美術の意義を感じた自分が、「多くの人に親しんでもらえるために何かできることはないか」と思ったからです。また、この事業に参加した時期は自身が作品制作をしてどのようにして社会に関われるのか考え始めた頃でもありました。ですので、作家がどのような姿勢で社会の中で作品を発表しているのか近くで見てみたかったという思いもありました。
「めぐるりアート静岡」の前身となった「むすびじゅつ(※)」を含めると、今年で3年目の参加となります。私は毎年少しずつ異なった関わり方をしてきて、今期は会場のスタッフとして作品や来場者のそばに居ます。アートマネ—ジャーとして密に関わっていたときと、イベントを少しひいてみたときとを比べて、社会とアートの関係性や目的がどうみえるのか、それを知りたいと考えていました。
※むすびじゅつ(2013年)
静岡の「場」と「人」を結ぶ現代アート展。静岡にゆかりのある現代美術家8名を招き、6つの会場で開催された。

▲本展の展覧会場である静岡県立美術館。こちらは3月1日(日)まで開催中です。
■お客さんにアートをどう楽しんでもらうか。
マネジメントの腕のみせどころです。
会場のスタッフをしていて、「これがアートなの?」と質問されたことがあります。「アート」って、一体何でしょうか? たまに作品に高値がついたことがニュースになったりしますが、何だか遠い世界のことで、作品も多種多様だし、難しそうな印象を持つ方が多いのではないかと思います。私はアートを知らなくても、作品を鑑賞したり楽しんだりすることはできると考えています。

▲静岡県立美術館:ロダン館に展示されている、鈴木康広作〈空気の人〉。館内3ヶ所に、"空気の人"がいます。

▲人間の肉体を強く意識させながら内的な人間像を追究したロダンの彫刻。僕はロダン館をめぐるうちに、その空間に《空気の人》が見えてしまいました。(めぐるりアート静岡/鈴木康広:パンフレットより抜粋)

▲同作家の作品。私が好きな作品のひとつでもある〈手の石鹸〉です。「石鹸で身体を洗うことは、自分を認識することでもある」と解説する鈴木さん。しかし私は、「なんてかわいい石鹸なんだ!」から入りました。最初のとっかかりは、受け手の自由だと思っています。
「めぐるりアート静岡」に出展している作家と自分には、「静岡」という共通点があります。なんとなくでも、同じ空気を吸ったことがあるという親近感が持てたり、自分がこれまで経験してきた静岡と重ね合わせながら作品を鑑賞したりすることもできます。
たとえば、現在、静岡県立美術館に展示されている、
石上和弘作<裾野を歩く、山腹に寝転がる>という作品。
「富士山が美しくみえるのは、他の山と比べて裾の広がり方がとても穏やかだからだろう。」と、ある来場者の方は作品を鑑賞しながら自身の富士山論を聞かせてくれました。この形状は石上さんの作品にも見られ、作品の裾野にあたる部分が少しせりあがって作られています。このように作品に接することで、自分の身近にある景色の良さに、改めて気付くことができるかもしれません。

▲<裾野を歩く、山腹に寝転がる>。裾野の部分が、少し沿っているのがわかるでしょうか? 静岡県出身の石上さんがつくったこの彫刻作品は、高速道路を東京方面に走ったときにみえる富士をモデルにしているそうです。

▲同作家による作品です。県立美術館玄関前に展示されているこの作品は、「なぜ玄関に牛が?」という違和感とともに、非日常的な感覚を覚えました。アートの入り口にピッタリな作品だと思います。
また、ボタニカで展示されていた、乾久子さんのワークショップ型の作品である<くじびきドローイング>は、誰かが作ったくじを引いて、その当たったお題に沿って自分で絵を描くというものです。お題は絵を描くための知識や技術は必要ありません。描いたものはその会場に展示して、その後に他の人に向けて言葉を考え、くじを作ります。会場では互いの絵を見ながら参加者同士が会話したり、笑い合ったりする姿もありました。

▲乾さんは静岡県藤枝市出身、静岡大学卒業の作家さんです。気候や人に恵まれた環境で育ったからこそ、生まれたアートなのだと仰っていました。

▲私もドローイングに参加しました。絵を描くことに一生懸命になっているときが、作家と自分がつながっていると強く感じた時間でした。(撮影:石川綾子)
言葉と絵のリレーの繋がりによって、楽しさが伝線していくような気がしました。私にとって<くじびきドローイング>は、繋がりや出会いについて振り返るきっかけになりました。繋がりや出会いは、私がくじを引くように偶然性が高いもので、だからこそ大切にしたいと気付くことができた場だったと思います。このように、ちょっとした絵を描くこと、誰かに向けて言葉を作ることは、多くの人に経験があるはずです。そして、それを日常的に行っている人もいるのではないでしょうか。アートも同様に、意外と皆さんの身近にあるもので創作されています。

(撮影:石川綾子)
■アートは、社会と自分自身とに目をむける機会を創出できる
はじめてこの事業に参加した当時は、正直「一体、誰にむけて私はアートを発信しているのだろう?」と感じていました。しかし、美術教育やアートイベントの中で、様々な作家や作品と出会い、考え方が変わってきました。今は芸術文化を拡げる土台作りの段階であり、まずはたくさんの人たちが、このような優しい出会い方でアートに触れられる機会が増えれば良いと思っています。特に、「めぐるりアート静岡」でも取り上げられた現代アートは、私たちと同じ今を生きる作家によって作られています。その視点を共有することで、物事に改めて目を向けさせる機会を与えてくれるものだと考えています。それは社会だけでなく、自分を見つめなおす機会にもなるはずです。
そして私は、大学だけではなく、美術館やギャラリー、文化施設などで、アートマネジメントを実践できる場を創出していきたいなと思いました。人とアート(作家)と社会をつなぐ場がどんどん増えることによって、「静岡のアート風景って、都心部にも負けてないじゃん」と認識されるようになれば、美術教育、アートマネジメントを学んでいる身としてとても嬉しい。そして、アートを通して、今よりももっと、静岡県のまちが賑やかになるのではないでしょうか。
買い物のときや旅行の途中に、など、アートに触れる機会は何かのついででもかまわないと思います。「アートって何だろう」と頭で考えるのも楽しいですが、みなさんもぜひ「めぐるりアート」を含め、さまざまな作品に出会い、自分の肌で、アートを感じてみてほしいです(了)

●見城絵理奈(けんじょうえりな)
静岡大学大学院教育学研究科2年。自身の修了展は、抽象画の作品を制作した。
カメラが趣味で、作品制作そっちのけで撮影にはまっていたことも。
取材当日は、同企画展の展示作品だけでなく、ロダン作品や県美に関するまめ知識も教えていただきました。
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◉めぐるりアート静岡
場所:静岡県立美術館
http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp
開催期間:3月1日(日)まで
展示作品:
(1)石上和弘 〈裾野を歩く、山腹に寝転がる〉他
(2)鈴木康広 〈空気の人〉他
・イベントの詳細は、以下URLよりご覧下さい(めぐるりアート静岡HP)
http://megururi.net
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Updated:2015年02月28日
静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(9)〜
2009年より、上倉沢の棚田で保全・支援活動を行っている【静岡大学 棚田研究会】のみなさん。"棚けん"という愛称でも親しまれている棚田研究会は設立当時より、「棚田の保全のために何ができるか」を考え続けています。上倉沢の現場でどんな活動をしているのか。棚田の保全を通じて、静岡県の農業、風景をも考える企画。棚田研究会による、月1レポート「棚田だより」。たまにはコンクリートのまちから離れて、静岡県の"原風景"と"農業"に触れてみませんか。
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皆さんこんにちは!棚田研究会2年の竹元圭介です。
僕たち棚田研究会(通称棚けん)は、静岡県菊川市上倉沢の美しい棚田の景観を守るため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方々と連携し、日本の原風景である棚田の保全活動の支援を行っています。具体的な活動としては、NPO法人せんがまち棚田倶楽部が導入しているオーナー制度の補助として、NPOのみなさんと一緒にオーナーの方々のインストラクターを行っています。月に1回、せんがまちで農作業を行い、オーナーの方々と共に汗をかきながら交流をしています。

◉上倉沢棚田1月の活動レポート
さて、今回は1月24日(土)に行った作業と翌日25日(日)に実施した広報活動についてお伝えします!
24日は今年最初の棚けん作業日であり、作業としては草刈りを行いました!営農活動を行っている「青空農園」で新たな作物を植えるための準備として実施しました。
「青空農園」は、耕作放棄され水田として利用できなくなった場所を農園として活用し、様々な作物を育てています。毎年草刈りと土を耕す作業を行うことによって、最初は固かった土も段々柔らかくなり、作物が育つ好条件の環境に近づかせることができました。
この日の作業では、草を草刈り機で丁寧に刈っていき、それを集めて燃やしました。そうすることで雑草を肥料として活用する目的があります!こうして循環型の農業システムの実行に努めています。

棚けんでは「青空農園」で収穫した完全無農薬の作物(サツマイモやニンニク、カボチャなど)を、田植えや大学祭といったイベントの際に直接販売しています。たとえば棚けん特製・古代米たい焼きをつくる際は、青空農園で獲れたサツマイモを餡にしたり、スイーツに加工して販売も行っています。
僕たちは青空農園での作業を通して、どうしたら美味しい作物が育てられるか(研究)と、収穫した作物を調理して多くの人に味わってもらう(食のサイクル)ことを目標にしています。なので、今年も植えた苗が立派に育ってほしいとメンバーの期待も高まりました。
さらに今回は、作業に興味をもってくれている地元の中学生数人が昨年に引き続きお手伝いに駆けつけてくれました。今年1年も多くの方々と交流しながら作業を楽しんでいきたいと改めて感じました!

◉静岡県・老舗の八百屋さんと、恊働広報!
続いて、25日に実施した広報活動についてです。新静岡セノバ 地下1階の「八百久」さんの店頭で実施しました。
(「八百久」さんには、昨年度の春にも広報活動でお世話になり、今回も快く場所を提供してくださいました。八百久さん、本当にありがとうございます!)
【八百久青果株式会社ホームページ→ http://www.japan-net.ne.jp/~yaokyu/】
棚けんTシャツ・ジャンバーに身を包んだメンバー一同、開店(AM10:00〜)と同時にセノバに駆け込み、A1サイズの活動写真を掲げ精一杯PRに励みました。


具体的に行ったことは、せんがまち・棚田研究会の紹介、古代米販売、棚田オーナー募集です。とくに古代米は、すべてせんがまちの棚田で収穫したものだったので、販売にも力をいれました!
もち米の一種である古代米は、普通の白米と比べるとビタミンB1、B2の他、鉄分、カルシウムといったミネラル成分が多く含まれ、非常に栄養価の高いものなんです。食べる時は、5%ほど通常の炊飯に混ぜてもらえれば、300gでおよそ4升分の量となります。古代米に興味をもって下さる方も多く、14時ごろには、20袋ほど用意した古代米を完売することができました。
今回の広報活動では、少しでも棚田に興味を持ってくださる方がいてくれたことを目の当たりにすることができ、とても嬉しかったです。
来月は、2月21日に畦の補修等の作業があります。3月の田起こしに向けた準備となる大切な作業なので、一生懸命取り組みたいです。ご精読ありがとうございました。次回投稿もお楽しみに(^^♪
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■棚田研究会とは?

2009年当時、農学部共生バイオサイエンス学科だった学生3名が設立。棚田を保全・活用する農家の減少が背景にあり、一時は失われる直前だった棚田の風景を取り戻すため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽」の方たちとともに活動を行っている。
主な活動内容は、復田、田植え、草刈り、稲刈り。また、棚田市場や静大祭において、棚田で収穫した作物を使いオリジナルフードを販売。皮はもっちり、ほのかな甘みが絶妙な「古代米たい焼き」は、棚けんイチオシメニューです!
●静岡大学 棚田研究会 「しず大棚けん」ブログ→ http://www.tanada1504.net/tanaken/
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(1)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1306646.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(2)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1319781.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(3)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1354838.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(4)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1363484.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(5)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1377498.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(6)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1393282.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(7)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1408910.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(8)〜」
http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1421056.html
■主な活動内容
私たちは、静岡県菊川市上倉沢の美しい棚田の景観を守るため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方と連携して、日本の原風景である棚田の保全活動の支援を行っています。この上倉沢の棚田は別名「千框(せんがまち)」と呼ばれています。NPO法人せんがまち棚田倶楽部は棚田オーナー制度に取り組んでおり、オーナーのみなさんと月に1回、せんがまちで農作業を行っています。私たちはNPOのみなさんと共に、インストラクターとしてオーナー(※1)のみなさんのサポートをしながら農作業をし、交流を行っています。他にも棚けんは、青空農園での活動も行っています。この青空農園は、もともと棚田だった土地が耕作放棄され田んぼとして利用できなくなった場所を農園として利用しており、様々な作物を育てています。これまでにサツマイモ、ニンニク、カボチャなどを育てました。私たちはこのように棚田保全と青空農園での営農を主に取り組んでいます。
※1:オーナー制度
NPO法人せんがまち棚田倶楽部が取り組む制度。支援金を払った一般の方がオーナーになり、棚田での農業体験、また棚田で育てた米等の収穫物を持ち帰ることができる。
Updated:2015年02月18日
静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(8)〜
2009年より、上倉沢の棚田で保全・支援活動を行っている【静岡大学 棚田研究会】のみなさん。"棚けん"という愛称でも親しまれている棚田研究会は設立当時より、「棚田の保全のために何ができるか」を考え続けています。上倉沢の現場でどんな活動をしているのか。棚田の保全を通じて、静岡県の農業、風景をも考える企画。棚田研究会による、月1レポート「棚田だより」。たまにはコンクリートのまちから離れて、静岡県の"原風景"と"農業"に触れてみませんか。
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こんにちは。静岡大学棚田研究会に所属する農学部 環境森林科学科2年の太田和晃と申します!
棚田研究会とは、菊川市上倉沢にある「せんがまち」と呼ばれる棚田にて、地元のNPO法人「せんがまち棚田倶楽部」の皆様と一緒に棚田の保全活動をしているサークルです。僕はこの棚田研究会で、部長と企画班班長をつとめています。
棚田では単純な農作業だけでなく、過去にはお月見コンサートやあぜ道アート(棚田のあぜみちにキャンドルを灯すイベント)などのイベントも開催したことがあり、大学では中々体験できない活動を行っています。

■上倉沢棚田12月の活動レポート
それでは早速ですが、12月の活動を伝えていきたいと思います!
稲刈り・静大祭などの大きなイベントが終わった棚けんの活動は、少し休憩シーズンに入りました。しかし、12月はせんがまちで行われる毎年恒例の行事「「そば打ち・しめ縄作り」が開かれました。開催場所は上倉沢公会堂。上倉沢棚田のオーナーさんたち(※)にとっては稲刈りという大きな作業が終わった後の、年度を締める最後の作業日となります。いつもの農作業とは雰囲気が違いますが、れっきとしたオーナー作業日なので、毎年棚田研究会のメンバーも参加し、貴重な体験をさせてもらっています。
※1:オーナー制度
NPO法人せんがまち棚田倶楽部が取り組む制度。支援金を払った一般の方がオーナーになり、棚田での農業体験、また棚田で育てた米等の収穫物を持ち帰ることができる。
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今回のそば打ちでは、8月後半に棚田のすぐ近くの畑に蒔いたそばをそば粉にして使用しました。島田市のそば打ち名人「たから会」の方々のコツを伝授して頂き、さっそく挑戦! そば作りは、大まかに説明をすると、3つの行程で作られます。
①水を少しずつ加えてそば粉となじませる。
②そばをこねて、その後平らに広げる。
③そばを細く均等に切る。
行程だけみると簡単そうに思えますが、繊細さと根気が必要でなかなか大変な作業でした。例えば、水を加える際は1ccでも違うとそばの出来上がりが変わってきます。さらに、入れる水の量はその日の湿度によっても変わってくるとのこと。そばを切るときも、切ってるのか切ってないのかわからないくらいの細さがベストなのですが、なかなか、普段食べているそばの厚さにはなりませんでした。


しめ縄作りは、稲の茎を複数束ねてしめ縄の輪を作り、その輪に自由な飾り付けをして、自分だけのしめ縄を作っていきました。こちらのしめ縄も個性が光り、センスがある・なしがはっきりと分かれるものになりました(笑)。


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12月の棚田での活動は、この作業日のみの少ないものでしたが、オーナーさんと一緒に密にかかわらせていただくいい機会をいただけたと思います。これもまた、棚けんが持つすばらしさのひとつ。大学にいてはあまり関わることのない一般の方々と、お話をしながら作業をする機会はなかなか刺激的なものです。
今回は、あるオーナーさんとそば打ちをしながら、こんなお話を聞かせて頂きました。
「せんがまちで草刈をしていい汗をかいて後に、休憩がてらに気持ちいい風に当たってきれいな青空を見上げると、家庭内や仕事のストレスとかすべてどうでもよくなってしまう。ここでの作業は、日常生活でのいざこざを忘れさせてくれるから、とても落ち着きます。学生ともお話を出来て、とても楽しいです。来年もまた参加させていただきたいと思います。」
棚田は小規模な田んぼが多く、機械も入れないことから、単純な生産性に目を向けると、決して高いものではありません。だからこのお話を聞く前までは、正直自分自身でも棚田を保全することの意味がどのぐらい大きいものなのか見失ってしまうことがありました。しかしこのお話を聞き、自分たちが活動しているせんがまちの棚田が、現代ではあまり体験できない手作業での農作業の場として、一般の方々にとって大切な拠り所となっていること、そして学生である自分たちの存在も、オーナーさんたちに喜んでいただいていることが、棚田研究会として保全活動する意味を再認識させていただくきっかけとなりました。こうしたオーナーさんとの会話の中には、学べることがたくさんあります。
そば打ちも、最後の方には名人の方々が打ったそばを食べさせていただきました。
(やはり、熟練の技で打たれたそばは、自分が作った愛情たっぷりのそばよりもおいしかったです…。)
お月見コンサート・稲刈り・静大祭などなど今までのイベントづくしな秋の時期を超えたあとの12月は、なんだか今までの喧噪を忘れさせるホッとするような作業でした。本年度の締めにはいい活動だったなと思います。

さて、年の明けた1月ですが、棚田研究会はPR活動に励みます。
1月24日にせんがまちにて活動を行い、25日に静岡セノバの「八百久」さんにて、広報活動を行わせていただきます。NPO法人せんがまち棚田倶楽部や静岡大学棚田研究会の活動の紹介などの広報を行うとともに、せんがまちでとれた古代米の販売、来年度のオーナーの募集も行う予定です。
新年度を迎えて初めての活動になりますが、正月気分を引きずらず、気を引き締めていきたいと思います!
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■棚田研究会とは?

2009年当時、農学部共生バイオサイエンス学科だった学生3名が設立。棚田を保全・活用する農家の減少が背景にあり、一時は失われる直前だった棚田の風景を取り戻すため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽」の方たちとともに活動を行っている。
主な活動内容は、復田、田植え、草刈り、稲刈り。また、棚田市場や静大祭において、棚田で収穫した作物を使いオリジナルフードを販売。皮はもっちり、ほのかな甘みが絶妙な「古代米たい焼き」は、棚けんイチオシメニューです!
●静岡大学 棚田研究会 「しず大棚けん」ブログ→ http://www.tanada1504.net/tanaken/
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(1)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1306646.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(2)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1319781.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(3)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1354838.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(4)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1363484.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(5)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1377498.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(6)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1393282.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(7)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1408910.html
■主な活動内容
私たちは、静岡県菊川市上倉沢の美しい棚田の景観を守るため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方と連携して、日本の原風景である棚田の保全活動の支援を行っています。この上倉沢の棚田は別名「千框(せんがまち)」と呼ばれています。NPO法人せんがまち棚田倶楽部は棚田オーナー制度に取り組んでおり、オーナーのみなさんと月に1回、せんがまちで農作業を行っています。私たちはNPOのみなさんと共に、インストラクターとしてオーナー(※1)のみなさんのサポートをしながら農作業をし、交流を行っています。他にも棚けんは、青空農園での活動も行っています。この青空農園は、もともと棚田だった土地が耕作放棄され田んぼとして利用できなくなった場所を農園として利用しており、様々な作物を育てています。これまでにサツマイモ、ニンニク、カボチャなどを育てました。私たちはこのように棚田保全と青空農園での営農を主に取り組んでいます。
※1:オーナー制度
NPO法人せんがまち棚田倶楽部が取り組む制度。支援金を払った一般の方がオーナーになり、棚田での農業体験、また棚田で育てた米等の収穫物を持ち帰ることができる。
Updated:2015年01月07日
静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(7)〜
2009年より、上倉沢の棚田で保全・支援活動を行っている【静岡大学 棚田研究会】のみなさん。"棚けん"という愛称でも親しまれている棚田研究会は設立当時より、「棚田の保全のために何ができるか」を考え続けています。上倉沢の現場でどんな活動をしているのか。棚田の保全を通じて、静岡県の農業、風景をも考える企画。棚田研究会による、月1レポート「棚田だより」。たまにはコンクリートのまちから離れて、静岡県の"原風景"と"農業"に触れてみませんか。
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皆さんこんにちは。
静岡大学棚田研究会(たなけん)に所属している、営農班、理学部化学科2年の佐藤優理奈です。

私たちは静岡県菊川市上倉沢の美しい棚田の景観を守るため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方々と連携して、日本の原風景である棚田の保全活動の支援を行っています。
この上倉沢の棚田は別名「千框(せんがまち)」と呼ばれています。
NPO法人せんがまち棚田倶楽部は一般の方から参加者を募って棚田オーナー制度に取り組んでいます。このオーナー制度により一年を通して、月に一回オーナーの皆さんと農作業を行っています。私たちはNPOの皆さんと共にインストラクターとして皆さんのサポートをしながら交流や農作業を行っています。この他にも耕作放棄地を再活用すべく「青空農園」という農園でサツマイモやニンニクをはじめとした様々な農作物を育てています。このように棚田保全を中心に様々なことに取り組んでいます。

▲シーズンを終えた上倉沢の棚田。来年も豊作になることを願って、保全活動を続けていきたいと思います。
実は、たなけんに入部するまで棚田というものを実際に見たことがなかったのですが、今となってはすっかりあの美しい風景のとりこです。この景色を守る為にも保全活動に積極的に取り組んでいきたいです。
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■上倉沢棚田 11月の活動レポート
11月は私たち棚田研究会にとってのビックイベント、”静大祭”が開催されました!
静大祭は、毎年11月に行われる大学祭。様々な団体が模擬店を出店したりダンスや演奏を発表したりと、静大生としても一年の中で重要なイベントの一つです。
今年は11月14日~11月16日の三日間を通して開催され、私たち棚田研究会は毎回恒例の鯛焼きの販売を行いました。私は模擬店の出店に際して団体責任者をつとめました。責任者として、メンバーにはただ機械的・事務的な指示をして誰かが用意したイベントになんとなく参加するのではなく、個々が能動的に組織の一員としてつくりだしたという意識を持てるように努めたいと思いました。また、模擬店の出店に際して、売上や生産性を求めるだけでなくやりがいを感じられるものにしたいと思いました。
今回は準備期間から当日運営までの舞台裏をご紹介します。
実はこの静大祭の準備は一カ月前から行われています。まず、鯛焼きを販売する上で要となるのが鯛焼きの味です。毎回普通の味とは別にもう一種類別の味の鯛焼きも販売しており、今までは抹茶や胡麻を使った生地をはじめとして千框(せんがまち)で収穫したさつまいもから作った芋餡などを用いた鯛焼きを販売しました。
案としてジャムやマシュマロ、野菜ジュースなどユニークなものが多々ありました。実際試作をしてみるとジャムはただのトーストになったり、マシュマロは溶けて無くなったり、生地の味が餡子と合わなかったりと想定外のものが多々ありました。
結果として、香りと風味が良いということで今年は紅茶を生地に混ぜこんだものを販売することにしました。ただし、売り物としてお出しするには長い道のりが待っています。より強い紅茶感を出すために煮出したものと茶葉の両方を入れたり、茶葉を小さくし、紅茶の量を調節することでより美味しそうな見た目にしたりと当初は思いもしなかった問題点が次々と出て、十回以上の試作を重ねました。他には、当日店先に掲示する看板をはじめとした宣伝物の制作も出店に際して欠かせないものです。この看板が当日模擬店を華やかにし、少しでも多くの方に“たなけんの鯛焼き”を知ってもらう重要な役割をします。


これらの制作物はデザインから作成まで全て自分たちで行うのですが、実はこれが準備段階で一番の大仕事。今年は部員の人数が増え、それだけより多くのアイディアと可能性があると考えました。制作物に関しては何を主張したいのかだけを伝えてデザインや文言に関しては全て各々にまかせ、私はあくまでサポートという立場にまわりました。しかし、課題点が多いのも事実で、今回の経験を通して情報の伝達・共有の難しさを感じました。
だらだらと全ての情報を伝えても受け取る側は煩わしく感じ、本当に大事なことは伝わらず、逆に少なすぎても自分が置かれている状況やすべきことが分かりづらくなってしまいます。人を動かすには、自分だけの考えでただこうして欲しいと伝えるのではなく、相手はどのように考え、その上でどのようにして深く理解してもらい上手くこちら側にひきこむかが大切だと思いました。そのために自分は相手の何倍も考えを巡らせ努力することが必要だと痛感しました。
■先輩から後輩へ脈々と受け継がれている、棚けんの底力(祭事)!
そしていよいよ静大祭当日がやってきました!
たなけんの一日は、最初に出店場所まで荷物を運びこむことから始まります。たいやきを販売することは勿論重大任務なのですが、実はこの朝早く集まって机やテントをはじめとした荷物を運ぶことが一番体力を使います。


大祭期間中の三日間は幸運にも良い御天気に恵まれ、鯛焼きを買い求めるお客様の行列も出来て大盛況でした。部員皆の協力もあって幸いなことに三日間で合計1600個もの鯛焼きをお買い求めいただきました。数では去年の1900個には及びませんでしたが “モギー1グランプリ”という模擬店の人気投票では“2位”を獲得し、昨年の4位から大躍進を遂げました。たいやきをただ機械的に販売するのではなく様々な方とふれあい、知り合うことが出来るのもこの大祭の醍醐味であると感じました。

▲副賞は、"沖縄グルメセット"!みんなで美味しくいただきました。
私は今回初めて棚田研究会の中で責任者という上に立つ人間の立場になったのですが、改めて自分の至らなさ、そして自分が周りの人間に如何に支えられていたのかを痛感しました。反省点が数多くあるのも事実ですが、今は一つの事をやり遂げたとい達成感でいっぱいです。また、「毎年たなけんの鯛焼きが大好きで楽しみにしています。」等ありがたいお言葉を沢山いただき、先輩方が今まで積み上げてきたものを、身をもって感じました。この反省を生かして次回はより良いものに出来たらと思います。

今回は大祭の裏側ということでいつもは見えない所をご紹介したのですが如何でしょうか?
次回、12月はせんがまちで収穫した蕎麦の実を実際のお蕎麦にするそば打ちとしめ縄教室があります。お楽しみに。
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■棚田研究会とは?

2009年当時、農学部共生バイオサイエンス学科だった学生3名が設立。棚田を保全・活用する農家の減少が背景にあり、一時は失われる直前だった棚田の風景を取り戻すため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽」の方たちとともに活動を行っている。
主な活動内容は、復田、田植え、草刈り、稲刈り。また、棚田市場や静大祭において、棚田で収穫した作物を使いオリジナルフードを販売。皮はもっちり、ほのかな甘みが絶妙な「古代米たい焼き」は、棚けんイチオシメニューです!
●静岡大学 棚田研究会 「しず大棚けん」ブログ→ http://www.tanada1504.net/tanaken/
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(1)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1306646.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(2)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1319781.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(3)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1354838.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(4)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1363484.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(5)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1377498.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(6)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1393282.html
■主な活動内容
私たちは、静岡県菊川市上倉沢の美しい棚田の景観を守るため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方と連携して、日本の原風景である棚田の保全活動の支援を行っています。この上倉沢の棚田は別名「千框(せんがまち)」と呼ばれています。NPO法人せんがまち棚田倶楽部は棚田オーナー制度に取り組んでおり、オーナーのみなさんと月に1回、せんがまちで農作業を行っています。私たちはNPOのみなさんと共に、インストラクターとしてオーナー(※1)のみなさんのサポートをしながら農作業をし、交流を行っています。他にも棚けんは、青空農園での活動も行っています。この青空農園は、もともと棚田だった土地が耕作放棄され田んぼとして利用できなくなった場所を農園として利用しており、様々な作物を育てています。これまでにサツマイモ、ニンニク、カボチャなどを育てました。私たちはこのように棚田保全と青空農園での営農を主に取り組んでいます。
※1:オーナー制度
NPO法人せんがまち棚田倶楽部が取り組む制度。支援金を払った一般の方がオーナーになり、棚田での農業体験、また棚田で育てた米等の収穫物を持ち帰ることができる。
Updated:2014年12月09日
静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(6)〜
2009年より、上倉沢の棚田で保全・支援活動を行っている【静岡大学 棚田研究会】のみなさん。"棚けん"という愛称でも親しまれている棚田研究会は設立当時より、「棚田の保全のために何ができるか」を考え続けています。上倉沢の現場でどんな活動をしているのか。棚田の保全を通じて、静岡県の農業、風景をも考える企画。棚田研究会による、月1レポート「棚田だより」。たまにはコンクリートのまちから離れて、静岡県の"原風景"と"農業"に触れてみませんか。
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みなさんこんにちは。静岡大学棚田研究会(棚けん)です。私たちは、静岡県菊川市上倉沢の美しい棚田の景観を守るため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方と連携して、日本の原風景である棚田の保全活動の支援を行っています。この上倉沢の棚田は別名「千框(せんがまち)」と呼ばれています。
NPO法人せんがまち棚田倶楽部は棚田オーナー制度に取り組んでおり、オーナーのみなさんと月に1回、せんがまちで農作業を行っています。私たちはNPOのみなさんと共に、インストラクターとしてオーナーのみなさんのサポートをしながら農作業をし、交流を行っています。他にも棚けんは、青空農園での活動も行っています。この青空農園は、もともと棚田だった土地が耕作放棄され田んぼとして利用できなくなった場所を農園として利用しており、様々な作物を育てています。これまでにサツマイモ、ニンニク、カボチャなどを育てました。私たちはこのように棚田保全と青空農園での営農を主に取り組んでいます。

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そしてわたしは農学部3年応用生物化学科の加古博子です。棚田研究会では企画広報班で活動しています。棚けんはブログをやっているのですが、これは企画広報班が1週間に数回のペースで投稿しています。その月の作業内容やミーティングで話し合ったことなどを投稿し多くの人にこの活動を伝えることが目的です。私自身が棚けんの入ったのは1年生の5月頃です。
入ってからもう2年以上経ち、何回も棚田を見に行っていますが何度見てもあの原風景は美しいと思います。これからも参加する方たちと楽しく交流を深めながら、棚田の保全活動に取り組んでいきたいです。

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◆上倉沢棚田10月の活動レポート〜今年も豊作です!〜
さて、今月の作業は一大イベントの"稲刈り"でした!
稲刈りは、10月12、13日(土・日)の2日間にわたって行われました。去年に引き続き、今年もインストラクターとしてオーナーさんと一緒に稲刈りをしました。
稲刈りの手順は、刈って、束ねて、ハザ掛けです。始めに鎌を使って3,4束ほど刈り、以前作った“スガイ”またはワラ数本を使って束ねます。“スガイ”はワラを編み込んだものです。この束ねる作業は少し難しいのですが、初めて稲刈りをする方も何度かやると慣れてきたようでした。

最後のハザ掛けはみなさんも稲刈りの後の光景で見たことがあるかもしれませんが、束ねた稲を干す作業です。収穫した稲は後日脱穀します。この日のオーナーさんとの作業は午前で終了して、お昼は地元の方々による手作りのお弁当をいただきました。それから去年収穫したもち米でお餅もつきました。


ついた餅はきな粉餅としておいしくいただきました。また、この日は棚田市場も開かれました。商品として棚けんが作った古代米入りパウンドケーキ、羊羹、地元の方のお茶やサツマイモ、枝豆を販売しました。大盛況で無事完売できました。午後は棚けんが育てた古代米を刈ったり、刈り残した部分を刈ったりしました。

▲およそ1年、大切に育てた上倉沢棚田の稲。

▲稲刈り後の棚田。少し寂しくなってしまったけれど、収穫に大満足です!
今年もインストラクターをやらせていただいて、待ちに待った稲刈りをオーナーさんと一緒に楽しくすることができました。初めてお会いする方ばかりでしたが、作業をしながらたくさん話すことができて楽しかったですし、せんがまちの棚田はたくさんの人たちによって支えられているのだなぁと改めて実感しました。
棚けんに入った当時はただただ農作業が楽しかったり、風景が美しいなと楽しんでいた部分が多かったです。作業に行く回数が増えていくうちに、オーナーさんや地元のNPOの方々と話す機会が自然と増えました。すると、ここ”せんがまち”は農作業を通して自然に触れる機会を作ってくれる場所であり、私たちに素晴らしい原風景を見せてくれる価値ある場所でもあり、またたくさんの人たちの交流の場でもあると思うようになりました。今までの楽しさに加えてたくさんの方たちと交流できるというまた別の楽しさを知ることができました。
私が話しすぎて手が止まっていると先輩に働け!と笑いながら言われましたが、オーナーさんと楽しく交流できたので気にしてません(笑)。午後の作業の最後には全員で集合写真を撮りました。来年度の収穫にもぜひ参加したいです。
次回は棚けんのもうひとつの大イベント、「静大祭」を取り上げます。収穫したお米でつくった、棚けん特製たい焼きを売る模擬店の様子をレポート。
同研究会で静大2年の佐藤優里奈が、その舞台裏も紹介します!お楽しみに!
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■棚田研究会とは

2009年当時、農学部共生バイオサイエンス学科だった学生3名が設立。棚田を保全・活用する農家の減少が背景にあり、一時は失われる直前だった棚田の風景を取り戻すため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽」の方たちとともに活動を行っている。
主な活動内容は、復田、田植え、草刈り、稲刈り。また、棚田市場や静大祭において、棚田で収穫した作物を使いオリジナルフードを販売。皮はもっちり、ほのかな甘みが絶妙な「古代米たい焼き」は、棚けんイチオシメニューです!
●静岡大学 棚田研究会 「しず大棚けん」ブログ→ http://www.tanada1504.net/tanaken/
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(1)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1306646.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(2)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1319781.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(3)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1354838.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(4)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1363484.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(5)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1377498.html
■主な活動内容
私たちは、静岡県菊川市上倉沢の美しい棚田の景観を守るため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方と連携して、日本の原風景である棚田の保全活動の支援を行っています。この上倉沢の棚田は別名「千框(せんがまち)」と呼ばれています。NPO法人せんがまち棚田倶楽部は棚田オーナー制度に取り組んでおり、オーナーのみなさんと月に1回、せんがまちで農作業を行っています。私たちはNPOのみなさんと共に、インストラクターとしてオーナー(※1)のみなさんのサポートをしながら農作業をし、交流を行っています。他にも棚けんは、青空農園での活動も行っています。この青空農園は、もともと棚田だった土地が耕作放棄され田んぼとして利用できなくなった場所を農園として利用しており、様々な作物を育てています。これまでにサツマイモ、ニンニク、カボチャなどを育てました。私たちはこのように棚田保全と青空農園での営農を主に取り組んでいます。
※1:オーナー制度
NPO法人せんがまち棚田倶楽部が取り組む制度。支援金を払った一般の方がオーナーになり、棚田での農業体験、また棚田で育てた米等の収穫物を持ち帰ることができる。
Updated:2014年11月12日
静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(5)〜
2009年より、上倉沢の棚田で保全・支援活動を行っている【静岡大学 棚田研究会】のみなさん。"棚けん"という愛称でも親しまれている棚田研究会は設立当時より、「棚田の保全のために何ができるか」を考え続けています。上倉沢の現場でどんな活動をしているのか。棚田の保全を通じて、静岡県の農業、風景をも考える企画。棚田研究会による、月1レポート「棚田だより」。たまにはコンクリートのまちから離れて、静岡県の"原風景"と"農業"に触れてみませんか。
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みなさんこんにちは。静岡大学農学部環境森林科学科2年の太田和晃です。

僕たちは菊川市上倉沢にある千框と呼ばれる棚田で、地元のNPO法人「せんがまち棚田倶楽部」の皆さんと協力し、棚田の保全活動を行っています。
保全活動以外にも、
・放棄された棚田を畑として再利用しようと奮闘している営農活動
・棚田内の生き物が住み着くビオトープを作る活動
などにも、取り組んでおります。
僕が棚けんに入部したきっかけは、「せっかく大学に来たんだし、高校ではできないようなサークルで大学生活を過ごしてみよう」と思ったのが始まり。棚けん内ではビオトープ班に所属しつつ、広報班でも活動しております。
◆上倉沢棚田9月の活動レポート
9月は中秋の名月。お月見コンサート開催!
僕たちは、9月の初旬に百選の棚田「中山千枚田」を訪れました。香川県の小豆島までの合宿旅行です。中山千枚田は、僕たちが活動している千框よりも棚田の数や広さが桁違いで圧巻の光景が広がっており、千框とは違う棚田のあり方に大きな刺激を受けました。この合宿を通して、部員との仲もかなり深まったと思います。特に1年生は、入部してくれた人数が多かったので、あまり1人1人の子たちと話をする機会がなく、この合宿で、どんな思いで棚けんに入ってくれたのかとか、どんな子なのかを知ることが出来て、そういう面でも実りの多い合宿だったと思います。

▲「中山千枚田」です。合宿では、地元の方達とも交流できました。
そして9月の活動の中でも一番の活動は、13日に行われた【お月見コンサート】です。
お月見コンサートは、昨年に地元の河城小学校の6年生の希望で始まりました。
地元の音楽団体や静岡大学の音楽サークルなどを誘致して、夜の棚田でコンサートを行うといった小学生と大学生の共催イベントです。このイベントは、小学生に楽しんでいただくということはもちろんのこと、保護者の方々が小学生の出演を見に行くついでや、主演団体の関係者が団体の演奏の時に見に来るついででもいいので、棚田のことを少しでも知ってもらいたいという背景があります。僕は棚けんの活動の経験を積むという意味合いも兼ねて、実行委員長として立候補しました。
ですので今回は、コンサート企画立ち上げから実行までの舞台裏をお話したいと思います。
◆ひとつのイベントを実行するのはとても難儀。
そんなときに支えになった、小学生の力。

▲小学生とのミーティング。意見がひっきりなしにでてきます。
コンサートの準備は2か月前の7月ごろから始まりました。
最初は小学生が『どんなお月見コンサートにしていきたいか』の意見を出し、大学生が可能そうな意見の企画から実行計画まで考えるところから始まりました。そして、計画が決まれば協力し合いながら準備を進めていきました。例えば小学生には、お月見コンサートのテーマで絵を描いてもらったりして、大学生はその絵を利用して手作りのうちわを製作しました。もちろん、うちわを作成しようという意見は、小学生が出してくれたものです。
こうした小学生との交流は、準備の段階から多々ありました。こうやって小学生と共同でイベントを運営していくことが、棚田のことを覚えてもらうことにつながり、将来的に棚田保全に少しでも関心を持ってもらえるようになればいいなと思います。欲を言えば、将来の棚けんの一員になってくれる子も、生まれてくれたらとてもうれしいです。
出演団体の決定と依頼もこの時期から始まりました。出演団体の多くは昨年出演していただいた団体をもう一度お誘いする形でしたが、今年は新たに金谷高校書道部と常葉菊川高校吹奏楽部の高校生をお誘いしました。吹奏楽部は、昨年度顧問の先生が偶然コンサートを見に来ていただいて、その縁で出演にしていただく形になりましたが、書道部の皆様は、全く無縁の状態から依頼する形に…。千框や棚けんの活動の紹介からイベントの詳細説明まですべて説明をして、出演して頂く形になりました。各出演団体には、電話やメールで連絡を取り合い、コンサートの連絡事項をお伝えしていきましたが、失礼のない内容にするにはどのようにメールを書けばいいのか、資料をどのように作れば、団体の方々に連絡事項をわかりやすくお伝えできるのかなどなど、試行錯誤の毎日でした。
◆のべ500人のお客さんが来場した、大盛りあがりのコンサート!
そしていよいよやってきた当日は、作成した手作りうちわや大学祭でおなじみの棚けん手作りたい焼きを配布したり、小学生と大学生が共同で司会をしたりなど、来場者の方々の記憶に残るような様々なことを行いました。また、NPOの方々が、ステージを組み立ててくださったり、この日のためにLEDライトを購入して、棚田をライトアップしてくださったりして、コンサートの会場を彩ってくださりました。そこに出演団体の皆様のすばらしい演奏が加わり、今年のお月見コンサートは、昨年を上回る盛況でした。
特に小学生の御神楽と呼ばれる踊りは迫力満点で小学生とは思えないクオリティの高さで驚き、合唱では小学生が一生懸命歌っている姿には、とても感動しました。準備の段階から思っていたことでしたが、小学生は制御するのは大変ですが、1つにまとまった時のエネルギーは計り知れないものがあり、その小さい体にどれだけの力を持っているんだと驚かされることが多々ありました。




コンサートが閉演してからしばらくは、無事に終わってくれたことにとてもほっとしていました。
実は、お月見コンサートは昨年からの開催というまだまだ浅い歴史のイベントのため手探りなところが多々あり、何もないところからイベントを完成させる作業だったんです。大学では教えられないことばかりを突きつけられる毎日で、昨年主催をした先輩と相談をし続ける毎日でした。
だからこそコンサートを成功させることができたのは、棚けん部員と一緒に頑張れたことがとても大きかったと思います。それまで部員に、どのレベルの仕事までをお任せしていいのか、よくわからず仕事をうまく回せていなかったのですが、当日の部員の皆さんの臨機応変に働いてくれる姿に、部員を信頼しきれていなかった自分をとても恥ずかしく思いました。
また、大変な中でもたくさんの大人(特にNPOの方々や、河城小学校の先生方)がサポートに回って支えてくれたことが力になりました。こういった人たちの協力がなければ、コンサートを無事終えることは不可能でした。なので今では、大変だったなという気持ちよりも、関わってくださった人達への感謝の気持ちでいっぱいです。
そして、このイベントを終えてたくさんの反省するべきことが露呈したのも事実でした。この反省を生かして、今後の僕が棚けんで活動する際に、円滑に進めることが出来るようになればいいなと思います。そして、来年のお月見コンサートは、更にステップアップしたイベントにできるように、努力したいと思っています。

今月10月11日(土)は、いよいよ稲刈りを行います。棚けんの活動の中でも、1.2を争うメインの活動です。機械に頼らず、手刈りで収穫するので、大変な作業になることが予想されますが、頑張って行っていきたいと思います。次回の投稿をお楽しみに!
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■棚田研究会とは?

2009年当時、農学部共生バイオサイエンス学科だった学生3名が設立。棚田を保全・活用する農家の減少が背景にあり、一時は失われる直前だった棚田の風景を取り戻すため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽」の方たちとともに活動を行っている。
主な活動内容は、復田、田植え、草刈り、稲刈り。また、棚田市場や静大祭において、棚田で収穫した作物を使いオリジナルフードを販売。皮はもっちり、ほのかな甘みが絶妙な「古代米たい焼き」は、棚けんイチオシメニューです!
●静岡大学 棚田研究会 「しず大棚けん」ブログ→ http://www.tanada1504.net/tanaken/
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(1)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1306646.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(2)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1319781.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(3)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1354838.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(4)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1363484.html
■主な活動内容
私たちは、静岡県菊川市上倉沢の美しい棚田の景観を守るため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方と連携して、日本の原風景である棚田の保全活動の支援を行っています。この上倉沢の棚田は別名「千框(せんがまち)」と呼ばれています。NPO法人せんがまち棚田倶楽部は棚田オーナー制度に取り組んでおり、オーナーのみなさんと月に1回、せんがまちで農作業を行っています。私たちはNPOのみなさんと共に、インストラクターとしてオーナー(※1)のみなさんのサポートをしながら農作業をし、交流を行っています。他にも棚けんは、青空農園での活動も行っています。この青空農園は、もともと棚田だった土地が耕作放棄され田んぼとして利用できなくなった場所を農園として利用しており、様々な作物を育てています。これまでにサツマイモ、ニンニク、カボチャなどを育てました。私たちはこのように棚田保全と青空農園での営農を主に取り組んでいます。
※1:オーナー制度
NPO法人せんがまち棚田倶楽部が取り組む制度。支援金を払った一般の方がオーナーになり、棚田での農業体験、また棚田で育てた米等の収穫物を持ち帰ることができる。
Updated:2014年10月08日
静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(4)〜
2009年より、上倉沢の棚田で保全・支援活動を行っている【静岡大学 棚田研究会】のみなさん。"棚けん"という愛称でも親しまれている棚田研究会は設立当時より、「棚田の保全のために何ができるか」を考え続けています。上倉沢の現場でどんな活動をしているのか。棚田の保全を通じて、静岡県の農業、風景をも考える企画。棚田研究会による、月1レポート「棚田だより」。たまにはコンクリートのまちから離れて、静岡県の"原風景"と"農業"に触れてみませんか。
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みなさんこんにちは、静岡大学棚田研究会副部長の濱野莉彩子(静岡大学農学部3年)です。

私たちは、静岡県菊川市上倉沢の美しい棚田の景観を守るため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方と連携して、日本の原風景である棚田の保全活動の支援を行っています。この上倉沢の棚田は別名「千框(せんがまち)」と呼ばれています。
NPO法人せんがまち棚田倶楽部は棚田オーナー制度に取り組んでいます。棚田オーナー制度は一般の人にお金を払ってもらって棚田オーナーになってもらい、棚田での農業体験をしたりせんがまちでとれたお米を持って帰ってもらったりする制度です。
せんがまちのオーナーさんには多くの家族づれをはじめ、友人どうしや会社での参加など様々な方がいます。オーナーのみなさんは月に1回、せんがまちで農作業を行っています。私たちはNPOのみなさんと共に、インストラクターとしてオーナーのみなさんのサポートをしながら交流、農作業をしています。またその他にもビオトープづくりや、青空農園での活動も行っています。
◆8月の活動報告
一ヶ月前の、8月2日はオーナー作業日でした。この日は草刈り、生き物観察教室or植物観察教室、流しそうめんとイベント盛りだくさんだったんです。
夏の草刈りという大変な作業ですが、地元の幼稚園児をはじめ、多くのオーナーさんが参加してくださいました。それぞれ、鎌を使って草を刈っていきます。
当日は曇り空で少し風が吹いていてとても気持ちのいい中での作業になりました。それでも、熱中症にならないように時々水分補給しながら草を刈っていきます。時間にしておよそ1時間。先月に草刈りを行ったばかりなんですが、草の生命力はすごいです!!1か月も経つと随分と大きくなり、私の身長ぐらいになっているものも…。1つ1つ丁寧に刈っていきました。
そしてこの日、楽しみのひとつであった、「流しそうめん」イベントを開催。流しそうめんは、今年初めて開いたイベントです。
実際に棚田下、ホタル水路の近くに竹を組み立て、そうめんを流しました。前日までに地元の方が竹を用意してくださり、当日棚田研究会と地元の人たちがそうめんをゆでるなど準備しました。流す食べ物はそうめんだけでなく、キュウリやトマト、ウズラの卵もあり、みんな楽しんでいました。夏の思い出に残ってくれればと思います。
◆私たちと共生する、上倉沢棚田の水棲生物たち
8月2日は生き物観察教室と植物観察教室を開講。
この教室は8月の作業が終わった後に毎年行われているもので、棚田で作業していると気づきにくい植物や生き物について改めて学び、棚田の大切さや重要さを知ってもらおうという教室です。
生き物観察教室は私たち棚田研究会が、植物観察教室は静岡大学の生態学研究室の方がオーナーさんたちに説明していきました。生き物観察教室は棚田の下の水路(通称ホタル水路)で行われました。
ホタル水路にはカエル、アメンボなどたくさんの生き物が生息しています。集まってくれた子どもたちの中には、私たちと同じくらい生き物に詳しくて、逆に教えられたことがありました。何度も生き物を捕まえることに、チャレンジする子も。最初は触るのを怖がっていた子が、生き物を触ることができるようになった瞬間は感動です!!
棚田には水をきれいにする役割、水をためる役割など水を調整する役割や、イネ、またさまざまな草が生えていうことによる生き物のすみかとなる役割があります。棚田が作り出す環境は生き物にとって住みやすい環境だからこそ、棚田に住む生き物を知って、棚田が果たすすみかとしての役割やせんがまちの棚田の大切さを知ってもらえればと思いました。
9月の作業予定は6日の草刈りです。この作業は10月稲刈り前の最後の草刈りです!
また、同月13日には【お月見コンサート】というイベントをせんがまちで開催します。
このイベントは地元の小学生と棚田研究会が協力して立ち上げた企画。一昨年に地元の小学生が総合学習の時間に棚田でさまざまな調べごと(生き物、歴史など)をする機会があり、そのときに、ここでコンサートができればいいね。という話が小学生からでたことがきっかけです。
去年から始まり、今年で2回目となります。地元の高校生たちや静岡大学のサークルなど7団体が歌や踊り、太鼓などを披露します。今年は棚田をライトアップする予定なので、夜、灯りに照らされた幻想的な棚田を見ることができると思います。16:30会場16:45開演なのでぜひお越しください!
次回の棚田だよりは、活動報告の他、「お月見コンサートの舞台裏」をお届けしたいと思います。来月もお楽しみに。
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■インフォメーション

《上倉沢棚田 お月見コンサート》
【日時】平成26年9月13日(土)
開場 16:30~
開演 16:45~
閉演 20:20
【場所】菊川市倉沢 上倉沢公会堂近隣 「千框の棚田」
【主催】菊川市立河城小学校、静岡大学棚田研究会
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■棚田研究会とは?

2009年当時、農学部共生バイオサイエンス学科だった学生3名が設立。棚田を保全・活用する農家の減少が背景にあり、一時は失われる直前だった棚田の風景を取り戻すため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽」の方たちとともに活動を行っている。
主な活動内容は、復田、田植え、草刈り、稲刈り。また、棚田市場や静大祭において、棚田で収穫した作物を使いオリジナルフードを販売。皮はもっちり、ほのかな甘みが絶妙な「古代米たい焼き」は、棚けんイチオシメニューです!
●静岡大学 棚田研究会 「しず大棚けん」ブログ→ http://www.tanada1504.net/tanaken/
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(1)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1306646.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(2)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1319781.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(3)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1354838.html
■主な活動内容
私たちは、静岡県菊川市上倉沢の美しい棚田の景観を守るため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方と連携して、日本の原風景である棚田の保全活動の支援を行っています。この上倉沢の棚田は別名「千框(せんがまち)」と呼ばれています。NPO法人せんがまち棚田倶楽部は棚田オーナー制度に取り組んでおり、オーナーのみなさんと月に1回、せんがまちで農作業を行っています。私たちはNPOのみなさんと共に、インストラクターとしてオーナー(※1)のみなさんのサポートをしながら農作業をし、交流を行っています。他にも棚けんは、青空農園での活動も行っています。この青空農園は、もともと棚田だった土地が耕作放棄され田んぼとして利用できなくなった場所を農園として利用しており、様々な作物を育てています。これまでにサツマイモ、ニンニク、カボチャなどを育てました。私たちはこのように棚田保全と青空農園での営農を主に取り組んでいます。
※1:オーナー制度
NPO法人せんがまち棚田倶楽部が取り組む制度。支援金を払った一般の方がオーナーになり、棚田での農業体験、また棚田で育てた米等の収穫物を持ち帰ることができる。
Updated:2014年09月11日
静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(3)〜
2009年より、上倉沢の棚田で保全・支援活動を行っている【静岡大学 棚田研究会】のみなさん。"棚けん"という愛称でも親しまれている棚田研究会は設立当時より、「棚田の保全のために何ができるか」を考え続けています。上倉沢の現場でどんな活動をしているのか。棚田の保全を通じて、静岡県の農業、風景をも考える企画。棚田研究会による、月1レポート「棚田だより」。たまにはコンクリートのまちから離れて、静岡県の"原風景"と"農業"に触れてみませんか。
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みなさん、こんにちは!静岡大学棚田研究会で主に広報を担当している竹元圭介(静岡大学人文社会科学部2年)です。
僕達棚田研究会(通称棚けん)は、静岡県菊川市上倉沢の美しい棚田の景観を守るため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の皆さんと連携し、日本の原風景である棚田の保全活動の支援を行っています。具体的な活動としては、NPO法人せんがまち棚田倶楽部が導入しているオーナー制度の補助として、NPOのみなさんと一緒にオーナーの方々のインストラクターを行っています。月に1回、せんがまちで農作業を行い、オーナーの方々と共に汗をかきながら交流をしています。また、耕作放棄され田んぼとして利用できなくなった場所を「青空農園」として活用し、様々な作物を育てています。棚田保全を行いつつ、試行錯誤を重ねながら作物栽培にも取り組んでいます。

◆ 6月の活動報告
さて、今回は7月12日(オーナー作業日)に実施された草刈りや同日行った「青空農園」での作業についてお伝えします。
7月12日は、台風一過の青空が広がるもとでの作業となりました。鎌を使って、手作業で田んぼの中の草を刈っていきました。6月に植えた苗は早くも30センチほどに成長していました!草を刈っていくと、カエルやバッタ、トンボなどの生き物が姿をみせ、棚田の生態系の豊かさを感じました。様々な生物が取り巻く環境で作物は成長するということ、僕たちは生きる上で、多大な自然の恩恵を受けているということを改めて実感しました。

午前中の草刈り後、せんがまちの棚田でとれた古代米を使ったスイハニングをしました。
スイハニングとは、オーナーさんと棚けんメンバー、オーナーさん同士の交流を深めることを目的とした、棚田でとれた古代米のおにぎりを食べるイベントです!海苔や梅干し、シャケなどの具材を持ち寄り、オリジナルのおにぎりを作りました。とても美味しかったです(*^^*)心の距離を縮めることでお互いに作業がしやすくなればという意図もあるオーナーさんとの交流会!今回は、なぜオーナーになったのか等の話題を通して、様々な生き方・考え方に触れることができました♪

その後、棚田研究会のメンバーは、青空農園で、ゴーヤの定植を行いました。特に土を耕す作業は大変でした。種から育てたゴーヤなので、より一層しっかりと育ってほしいです(*^^*)

来月8月には、2日にオーナー作業日として、今月に引き続き草刈りがあります。作業後には、せんがまちの棚田の生き物について知ってもらおうと「せんがまち生き物教室」が開催されます。棚けんメンバーが中心となって、大人向けの講演と子供向けの採取体験を行い、棚田の魅力を伝えます。さらに、今年は、初の試みである「流しそうめん」も行います!オーナーさんに楽しんでもらおうと棚田研究会が発案しました。8月はイベントが盛りだくさんです。熱中症には、気を付けて夏を楽しみましょう!次回投稿もお楽しみに!
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■棚田研究会とは?
2009年当時、農学部共生バイオサイエンス学科だった学生3名が設立。棚田を保全・活用する農家の減少が背景にあり、一時は失われる直前だった棚田の風景を取り戻すため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽」の方たちとともに活動を行っている。
主な活動内容は、復田、田植え、草刈り、稲刈り。また、棚田市場や静大祭において、棚田で収穫した作物を使いオリジナルフードを販売。皮はもっちり、ほのかな甘みが絶妙な「古代米たい焼き」は、棚けんイチオシメニューです!
●静岡大学 棚田研究会 「しず大棚けん」ブログ→ http://www.tanada1504.net/tanaken/
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(1)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1306646.html
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(2)〜」
http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1319781.html
■主な活動内容
私たちは、静岡県菊川市上倉沢の美しい棚田の景観を守るため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方と連携して、日本の原風景である棚田の保全活動の支援を行っています。この上倉沢の棚田は別名「千框(せんがまち)」と呼ばれています。NPO法人せんがまち棚田倶楽部は棚田オーナー制度に取り組んでおり、オーナーのみなさんと月に1回、せんがまちで農作業を行っています。私たちはNPOのみなさんと共に、インストラクターとしてオーナー(※1)のみなさんのサポートをしながら農作業をし、交流を行っています。他にも棚けんは、青空農園での活動も行っています。この青空農園は、もともと棚田だった土地が耕作放棄され田んぼとして利用できなくなった場所を農園として利用しており、様々な作物を育てています。これまでにサツマイモ、ニンニク、カボチャなどを育てました。私たちはこのように棚田保全と青空農園での営農を主に取り組んでいます。
※1:オーナー制度
NPO法人せんがまち棚田倶楽部が取り組む制度。支援金を払った一般の方がオーナーになり、棚田での農業体験、また棚田で育てた米等の収穫物を持ち帰ることができる。

Updated:2014年08月28日
静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより②〜
2009年より、上倉沢の棚田で保全・支援活動を行っている【静岡大学 棚田研究会】のみなさん。"棚けん"という愛称でも親しまれている棚田研究会は設立当時より、「棚田の保全のために何ができるか」を考え続けています。上倉沢の現場でどんな活動をしているのか。棚田の保全を通じて、静岡県の農業、風景をも考える企画。棚田研究会による、月1レポート「棚田だより」。たまにはコンクリートのまちから離れて、静岡県の"原風景"と"農業"に触れてみませんか。
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◆ 6月の活動報告
今回、上倉沢の棚田活動報告をする棚田研究会企画広報班・農学部3年応用生物化学科の加古博子です。棚けんには1年生の5月頃に入りました。大学で開催された春のビックフェスティバルで棚田研究会というサークルがあることを知り、新入生向けのビラに載っているせんがまちの棚田の写真を見て、この風景を見てみたい!と思ったのが入ったきっかけです。また農作業に興味があったというのも入った理由の1つです。自然豊かなせんがまちで、オーナーさんと作業を通しての交流はとても楽しいです。これからも参加する方たちと楽しく交流を深めながら、この美しい原風景である棚田の保全活動に取り組んでいきたいです。

加古です。毎日忙しいですが、棚田の活動に参加するようにしています!
それでは作業報告です! 6月は、大きなイベントが2つありました。
・5月31日と6月1日の田植え
・6月7日のあぜ道アート
◯県外の農業系大学生が集合! 上倉沢の田植え風景
5月31日と6月1日はオーナーの方たちと一緒に作業を行う【オーナー作業日】で、田植えを行いました!
5月31日は、同時に棚田市場と3大学生サークル田植え交流会を行い、濃い1日となりました。1年を通しての米づくりのなかでも、田植えは一大イベント!
始めに、NPO法人せんがまち棚田倶楽部の事務局長、堀さんから千框の歴史のお話と田植えのデモンストレーションがありました。そのあとはすぐに作業へ。田んぼに入るときは長靴を着用!ということで長靴を履いていざ田んぼの中へ~帽子をかぶるなどの熱中症対策も重要ですね!
そして、田植え前の田んぼはといいますと、田んぼの土を耕して物質状態を整えた土壌の上を水が張ってある状態です。そこへ苗を3本くらいずつ植えていきます。苗と苗の間は15㎝くらいです。
この時、畔に近すぎる場所に植えてしまうと、よく育たない可能性があるので注意します。棚田の形は長方形ではないので、植えるときに整列させるのは難しいですね…(笑)自分の持っている田んぼの田植えが終わったら田植えは完了です!

NPOの方々をはじめ、オーナーさんや地元の学校の生徒さんたちが集まり、とても賑やかな田植えとなりました。棚けんメンバーの何人かはインストラクターとしてオーナーさんと一緒に作業をしました。私もインストラクターとして手伝わせていただきました。オーナーさんたちと一緒に田植えをしながらたくさんお話をすることができ、とても楽しかったです。
棚田市場は棚けんメンバーが心を込めて作った品物を販売するイベントです。今回は水ようかん、どら焼き、パウンドケーキを作りました。おかげさまですべて完売しました。うれしい限りです!ありがとうございました(^^)

3大学生サークル田植え交流会は、去年に引き続き今年も行われました。私たち静岡大学棚田研究会の他、参加した2大学(農業系サークル)はこちらです。
□山梨県立大学 農村地域資源研究会
山梨県立大学の「農村地域資源研究会」さんの活動目的は、貴重な財産、宝物である農村の地域資源の保全活動や村づくりを応援することです。そして、以下のような活動を行っています。
・地域の歴史、文化等を含む地域資源等の現地調査
(これまでに太陽光発電、農業水利施設などへ行かれています)
・サークル農園の運営
・イベント支援等、村づくりへの参画
□信州大学 むらづくり応援隊
むらづくり応援隊のみなさんの活動目的は、私たちの貴重な財産である、農山村の地域資源の保全活動や村づくりを応援すること、学生が地域住民と交流できる活動を継続的に実施し、地域活性化に貢献することです。そして以下のような活動を主にされています。
・地域住民と話し合い、学生が地域に貢献できる方法を模索し、実践する
・伊那市ワークショップへの参加

午前中は一緒に田植えをし、午後は棚田近くの公会堂で交流会を開きました。田植えを初めてする方や、棚田での田植えは初めてという方が多く、とてもいい経験になったのではないかと思います。午後の交流会は、グループに分かれてディスカッションを行いました。テーマは「現在の各団体の課題と今後の活動について」。
私たちのグループでは、《サークル全体に向けての情報伝達不足の解消法は?》と《代の引き継ぎはどのように行うべきか?》が課題に挙りました。
少し難しいテーマではあったのですが、今後のサークルを考えていくには貴重な時間となりました。普段お会いすることのない他大学のサークルの方との意見交換は、参考になる部分が多く、とても有意義な時間を過ごすことができました。1日を通してたくさんの方々と交流することができ、改めて棚けんに入ってよかったと思える1日となりました。


◯棚田の魅力は作物だけではありません。ときにはアートに変わります。
6月7に行われたあぜ道アート。このイベントは毎年行われています。今年も多くの方に足を運んでいただきました。あぜ道にろうそくを立てて夕方6時ころから火を灯し始めます。棚田が闇に包まれていくにしたがって、水の張った田んぼにろうそくの灯りが反射して写ります。この、日が沈んでいくにつれて徐々に変わっていく棚田の景色は本当に美しいです。私は今年で3回目の参加でしたが、何度見ても毎回見とれてしまいます。来年もぜひ参加したいですね!

来月の7月は、12日にオーナー作業日として草刈りがあります!体力を要する作業にはなりますが、気合で乗り切りたいですね!(笑) 暑い季節になってきたので熱中症が心配です。こまめに水分補給をする、帽子を着用して作業をするなど万全な対策で作業に臨みたいと思います。みなさんも熱中症には十分注意してくださいね!
——ちなみに棚田研究会の部長、山本達郎(理学部3年/写真中央)が静岡時代最新号に掲載されています。
静岡時代6月号『静岡の土を舐めたい』特集内にて、せんがまち棚田倶楽部の堀さん、静岡時代の樫田編集長(静岡大学3年)の3人で、「農業にとって土とは?」をテーマに対談しました。初夏の青々とした上倉沢の棚田も取材の舞台となっております(とても綺麗な風景!)。山本部長の記事も合わせてご覧ください。

■『静岡時代』6月号→ http://www.shizuokajidai.net(PDFで読めます)
《棚田だより》、次回の投稿もお楽しみに(^^)
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■棚田研究会とは?
2009年当時、農学部共生バイオサイエンス学科だった学生3名が設立。棚田を保全・活用する農家の減少が背景にあり、一時は失われる直前だった棚田の風景を取り戻すため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽」の方たちとともに活動を行っている。
主な活動内容は、復田、田植え、草刈り、稲刈り。また、棚田市場や静大祭において、棚田で収穫した作物を使いオリジナルフードを販売。皮はもっちり、ほのかな甘みが絶妙な「古代米たい焼き」は、棚けんイチオシメニューです!
●静岡大学 棚田研究会 「しず大棚けん」ブログ→ http://www.tanada1504.net/tanaken/
●シズオカガクセイ的新聞連載 「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより①〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1306646.html
■主な活動内容
私たちは、静岡県菊川市上倉沢の美しい棚田の景観を守るため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方と連携して、日本の原風景である棚田の保全活動の支援を行っています。この上倉沢の棚田は別名「千框(せんがまち)」と呼ばれています。NPO法人せんがまち棚田倶楽部は棚田オーナー制度に取り組んでおり、オーナーのみなさんと月に1回、せんがまちで農作業を行っています。私たちはNPOのみなさんと共に、インストラクターとしてオーナー(※1)のみなさんのサポートをしながら農作業をし、交流を行っています。他にも棚けんは、青空農園での活動も行っています。この青空農園は、もともと棚田だった土地が耕作放棄され田んぼとして利用できなくなった場所を農園として利用しており、様々な作物を育てています。これまでにサツマイモ、ニンニク、カボチャなどを育てました。私たちはこのように棚田保全と青空農園での営農を主に取り組んでいます。

※1:オーナー制度
NPO法人せんがまち棚田倶楽部が取り組む制度。支援金を払った一般の方がオーナーになり、棚田での農業体験、また棚田で育てた米等の収穫物を持ち帰ることができる。
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Updated:2014年07月09日
スナップ・フロム・キャンパス 〜 株式会社ナナクレマ代表取締役 増田久美さん:後編〜
●前回に引き続き、株式会社ナナクレマ代表取締役 増田久美さんの質問に対する大学生の答えを一挙公開します!
前編はコチラから→(http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1226931.html)
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Q.『大学に送り出してくれた家族に伝えたいことは?』
《静岡産業大学》
《静岡大学:静岡キャンパス》


《常葉大学:浜松キャンパス》









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●増田さんへの取材を終えて〜大学生の頭の中〜
静岡時代編集部員であり、静岡大学の学生でもある樫田那美紀さん。
増田さんのお話を聞き、彼女はどんなことを考えたのでしょうか?

いま一度、背筋を伸ばして大学へ
今回お話を伺ったのは、タリーズコーヒー静岡ペガサート店の元看板店長で、現在は働く楽しさを伝えるインターンシップを企画、運営する株式会社ナナクレマ代表取締役の増田久美さん。以前より、「JOBコン」や「学生のためのおシゴト塾」など、静岡の学生と社会をつなげる企画を立ち上げ、静岡の大学生間ではちょっとした有名人だ。
増田さんは18歳でタリーズコーヒーのアルバイトをはじめ、20歳の時に店長を任された。働く大変さも楽しさも経験するうちに、両親への尊敬の気持ちが大きくなったという。自分を応援してくれる家族の存在を再認識してほしい、そんな思いを聞き、私は少し胸が痛んだ。一人暮らしは、初めは不安ばかりだったが、今は心地よい日常に変わり、心配して週に一度のメールを送ってくれる母の返信も疎かになっていた。
「あなたが幸せなら、あなたの家族も幸せなはず」と増田さん。静岡の日々を実りあるものにすること、それを伝えることが両親への一番の恩返しかもしれない。心配してくれている母の顔を久しぶりに思い浮かべた次の日は、大学に通う背筋が少し伸びた気がした。
◯株式会社ナナクレマ
Facebook:https://www.facebook.com/nanakurema?fref=ts
Updated:2014年07月03日
スナップ・フロム・キャンパス 〜 株式会社ナナクレマ代表取締役 増田久美さん:前編〜
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●増田さんが考えている、「はたらく」ということ。大学生にとって、就職活動まっただ中のこの時期は何かに新しく挑戦する期待と、果たして社会人になれるのだろうかという不安がないまぜになってしまいます。
前職は、タリーズコーヒーの店長だったという増田さん。現在は、インターンシップを通じて学生と企業をマッチングする会社の代表です。一念発起して会社を立ち上げた増田さん。そこには、「はたらく」ことに対する、ある強い気持ちがありました。
「働くことで得られる"幸せ"を伝えたい」
私が20歳でタリーズコーヒーの店長を任された時、自分を支えてくれたのは学生のアルバイトさんたちでした。アルバイトという肩書き関係なく、仕事に尽力する彼らは、本当に輝いていて共に成長する空間を作り出すことができました。ところが、就活がはじまると、表情は一変。急に気持ちが落ち込んだり、自分自身が嫌になったりと不安定になってしまいます。「本当は仕事選びって楽しいはずなのにどうしてだろう?」と疑問を感じました。
世の中には働くことを楽しんでいる社会人がたくさんいます。そんな社会人と学生が知り合う機会を作り出し、仕事をする素晴らしさを伝えたい、そう思うようになりました。現在は7年間勤めたタリーズコーヒーを退社し、インターンシップを通じて、学生と企業をマッチングする会社を立ち上げました。
仕事選びは人生における大きな選択。私は、自分が幸せな生活をつくりだせるならどんな仕事でもいいと思っています。自分が幸せなら、家族や周りの友達も幸せなはずです。大学生の皆さんには自然と足が向くものを大切にして欲しいです。そして、静岡の街がより良くなるためには、学生をはじめ、そこに暮らす人の幸せな時間を増やすことが一番だと思っています。
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●増田さんの質問に対する、静岡県の大学生の答えはコチラです!
《静岡英和学院大学》




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《静岡県立大学短期大学部》

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《静岡文化芸術大学》

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《静岡大学:浜松キャンパス》


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→「スナップ・フロム・キャンパス 〜静岡県のまちのキーパーソンが知りたい、大学生の頭の中〜」
株式会社ナナクレマ代表取締役 増田久美さん:後編につづく
Updated:2014年07月01日
そうだ、この駅で 〜奥大井湖上駅/井川駅の旅〜
【奥大井湖上駅】
大きな地図で見る
●Access:
金谷→(大井川鐵道本線:約75分)→千頭→(大井川鐵道南アルプスあぷとライン 井川線:約110分)→井川
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◎南アルプスの表玄関 井川を巡る旅
井川は静岡市葵区に位置し、静岡市街地から北に60キロ、標高約700mの山間地。同じ静岡市とは思えないほどの雄大な自然が広がっています。そんな井川には数多くの伝承があるそう。井川湖を挟んで右岸側の田代にある大井川上流の割田原遺跡では、縄文時代の土器や住居跡が発見されています。伝承によると、今から4000〜5000年前には信州から南アルプスを越えてきた人々が生活していたそう。さらに大井川流域に古くから存在する「ヤマイヌ信仰」。「ヤマイヌ」とはニホンオオカミのこと。ヤマイヌは恐るべき存在であり、農業作物の害獣となるニホンジカやイノシシなどを追い払う存在でもありました。そのためヤマイヌを祀る大井神社があります。
他にも古くから井川に伝わる「てしゃまんく伝説」。かつて井川村には「てしゃまんく」という力持ちの人気者がいました。彼が駿府の町(静岡)に行ったとき、浅間神社の石鳥居を作っていたところを通りかかり、力自慢の石工たちが苦戦していた何百キロもの石柱をたった一人で持ち上げ、立ててしまったという民話です。その石鳥居は今でも少し左にまがっているとか。
案内人は森林組合の遠藤基さん(途中、奥様も登場)。奥大井湖上駅から井川駅という超贅沢フルコース!
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▲今回は静岡英和学院の女子大生2名(手前)が大井川流域を歩き尽くします。ちなみに写真奥に写っているのが、
案内人の遠藤基さんと、遠藤さんの奥様
【ガイド紹介】
◯遠藤基さん
(奥様:遠藤恵弓さん)
森林組合の役員。「若い人にも、ぜひ井川の自然を楽しんでもらいたい」という遠藤さんの想いによって、今回、静岡県の大学生と行く「井川の旅」が実現しました。ガイドさんと一緒に散策するのは、《そうだ、この駅で》の企画では初めての試み。遠藤さん夫婦の案内によって、井川の魅力的な場所を漏れなく回ることができました。
【旅人】
◯取材・撮影・執筆:亀山春佳(静岡英和学院大学)
◯取材・撮影:漆畑友紀(静岡英和学院大学)
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①奥大井湖上駅
▲奥大井を走る「大井川鐵道」の千頭駅から井川駅までの南アルプスあぷとラインは機関車とレールの歯車を噛み合わせながら急勾配を登る、日本で唯一のアプト式の鐵道。アプト式区間は1000メートルの直線距離で高さ90メートルを上り下りするという日本一の勾配です。
▲電車に揺られていると突如、真っ赤な橋が出現。こちらは"泉大橋"。泉大橋は元々は長島ダム建設の為に、川根本町奥泉と川根本町東藤川を結ぶ橋として架けられました。
▲泉大橋をすぎると、、、大きな長島ダムがみえてきます。洪水調節、不特定利水、灌漑、上水道供給がダムの目的で、"大井川水系唯一の多目的ダム"です。

▲奥大井湖上駅に到着!案内人、遠藤基さんともここで待ち合わせ。
▲遠藤さんと合流して、駅をおりようとすると。。。ホームに「幸せを呼ぶハッピーハッピーベル」なるものを発見。
▲で、おきまりのアクション。この幸せの鐘、実は、静岡県が認定している【ふじのくに エンゼルパワースポット】なんです。県民から募集した「恋愛・結婚・子宝」にまつわるなんとも縁起の良いスポット。エンゼルパワースポットは県内にまだまだありますよ→ http://www.pref.shizuoka.jp/kousei/ko-130/aps.html

▲奥大井湖上駅で下車し、湖上の路線の橋を歩きます! この橋から見渡す景色も最高です。
▲渡りきったあとの、謎のポーズ。
▲ちなみに"湖上駅行き"のきっぷがこちら。一見すると、普通のきっぷなんですが……
▲なんとここでは、昔ながらのやり方で(改札鋏)で切ってくれるんですね。普段は中々みられることのない、貴重な体験でした。
②アルプスの里
▲手打ちそば、季節の山菜天ぷらなど井川の昔ながらの味が楽しめるお食事処・井川農林産物加工センター「アルプスの里」。南アルプスの水が育んだ逸品・井川茶など、井川の名産物だけでなく、柏餅や豆餅など手作りの品々も販売しています。遠藤さんの奥様・遠藤恵弓さんもここで合流。他にも、そば打ち教室、柏餅づくりなど、体験コーナーもあり(※要予約)。
▲だしのいい香りがただよう店前にて。何を食そうか、迷う図。

▲今回のお昼ご飯は、「のびるの小鉢やわらびの入った山菜そば」に決定!
▲しばし、言葉無く箸だけを進める一行。それくらい、めちゃめちゃ美味しかったです。
③廃線小路
▲井川ダムの建設で資材搬入のために使われていた旧堂平駅。そこへ続く大井川鐵道の廃線部分を残したまま整備された遊歩道。千頭駅から数えて66番目のトンネルもあります。木製チップが敷かれているため歩きやすく、ふかふかしています。幻の線路とトンネル。冒険のよう。災害時には線路上にシートを敷き、砂利を敷き詰めて臨時の道路にしたことも。今は使われていないトンネルが、繁る木々と絶妙に合う絶景スポットです。
▲かつて走っていたであろう、大井川鐵道の電車になりきったふたり……。奥の車両(亀山)が若干カーブ気味ですが。
▲小路を散策していると、謎の木箱を発見。実はこれ、養蜂箱。井川産の蜂蜜の味、とても気になります。。。
④夢の吊り橋
長さ80メートル、高さ30メートルの井川湖上にかかる吊り橋。周囲の景色を見渡すには最適です。季節によっては井川湖と紅葉などの自然の組み合わせがとても綺麗で、見ごたえがあるんだとか。ただこの吊り橋に至る道は「遊歩道」というよりもまるで登山でした。ちなみに吊り橋の店員は5名。遠藤さん夫婦と編集部のジャスト5名!スリル満点でした。
▲夢の吊り橋から臨む井川湖です! 当日の、雨にくすんだ山々の自然風景は静岡市にいることを一時忘れてしまうほどの趣。
次回は、太陽の反射して湖面が光る、天気のよい日に行ってみたい!
⑤井川湖(渡船)
▲昭和32年に完成した井川ダム(日本初の中空重力式)。渡船は井川本村と井川ダムをつなぐ交通手段のひとつ。本村の渡船所の対岸には赤い旗があり、仕事を終えた大人や少年自然の家から帰る子どもが、旗を振って船頭に合図します。実は市道なんです。観光向けにも無料で遊覧船として運航されています。井川湖にかかる井川大橋や夢の吊り橋を湖上から見るのも趣あり!
⑥鈴木製菓子店
▲「是非食べてほしい」と遠藤さん夫婦に言われた井川名物「てしゃまんぐ最中」。井川で有名な伝説、てしゃまんくの持っていた弁当箱(めんぱ)が由来。昭和33年創業の老舗・鈴木製菓子店は、店主の鈴木正義さんがひとつひとつ手作りしています。形をめんぱに見立てた「てしゃまんく最中」を開けてみると、たっぷりのあんことお餅が顔を覗かせます。是非お試しあれ!
⑦きよさわ 里の駅
▲静岡に帰る前に、ちょっと寄り道。里の駅。がっつりのお食事や軽食メニューが豊富な地域の交流施設です。また、田植えや芋掘りなどの体験イベントも、定期的に行っています。→ http://www4.tokai.or.jp/satonoeki/index.html (【きよさわ 里の駅】HP)
▲こちらの施設で販売している"よもぎ金つば"は、平成24年度静岡市ブランド「しずおか葵プレミアム」に認証されました。
漆畑・亀山「う、うまーーーーっ!」。お腹も気持ちも満たされ、大満足な旅でした。
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インフォメーション
□静岡県 「県民の森」
明治9年に伊豆国・駿河国・遠江国が合併し、現在の静岡県が誕生してから昭和51年で100年目。これを「県政百年」とし、記念事業の一つとして山村や森林、林業に対する意識を高めてもらうために整備された「県民の森」。地域の一部は奥大井県立自然公園に指定されています。今年9月には大人も楽しめる「巨木巡りと渓流釣り」。「きのこ観察会」など1泊2日のイベントが開催されます。また、学生のサークル活動や合宿場所としても利用できます。井川の自然を満喫したい学生のみなさん、ぜひ、お越しください。
・「巨木巡りと渓流釣り」
開催日:2014年9月6日(土)・7日(日)
時間:9月6日:13時〜 9月7日:14時
定員:10組30人
・「きのこ観察会」
開催日:2014年9月27日(土)・28日(日)
時間:9月27日:13時〜 9月28日:11時
定員:20組60人
イベントの詳細は、県民の森ホームページをご覧ください。
→ http://www.kenmori.info
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【そうだ、この駅で】
◯奥大井湖上駅/井川駅
Access:
金谷→(大井川鐵道本線:約75分)→千頭
→(大井川鐵道南アルプスあぷとライン 井川線:約110分)→井川
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Updated:2014年06月27日
スナップ・フロム・キャンパス〜浜名湖花博10周年事業推進室室長 水口長八さん:後編〜
●前回に引き続き、浜名湖花博10周年事業推進室室長 水口長八さんの質問に対する大学生の答えを一挙公開します!
前編の記事→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1303438.html
Q.「どんな時、誰に花を送りたい?」








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●水口さんへの取材を終えて〜大学生の頭の中〜
英和学院大学の学生でもある亀山春佳さん。
水口さんのお話を聞き、彼女はどんなことを考えたのでしょうか?
亀山さん自身の質問の答えとともにつづる、【スナップ・フロム・キャンパス】コラム。
「いま無性に、誰かに花を贈りたい」
日本には「花を贈る習慣」がある。お盆のときにお仏壇に花をたむけたり、「感謝」の気持ちをあらわしたりするときに、昔から花は贈られてきた。けれど、今ではお盆や卒業式など特別なときでもなければ、「花を贈る」ことはほとんどなくなってきた。そう話すのは、浜名湖花博10周年記念事業推進室室長の水口長八さん。今年3月から6月にかけて行われる浜名湖花博を取り仕切る、その界隈で知らない人はいない超有名人だ。
「特別なとき以外でも、日常的に誰でも花を贈れて喜んでもらえる機会をもっと作っていきたい」と水口さんは言う。静岡県は、花きの生産額が全国3位(平成23年)とれっきとした「花の都」。そんな静岡県の文化と魅力を発信する水口さんからの問い。「どんなとき、誰に花を贈りたい(もらいたい)か」。
気づけば、私の暮らしの中に花はない。無意識のうちに花を贈るのは特別な時、という固定観念が私の中にあるのかもしれない、と思った。「感謝」の気持ちをあらわす文化。もっと気軽に、日常生活のすぐそばで、花を大切にしていきたい。
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■浜名湖花博2014
◯会場/開催日程
・浜名湖ガーテンパーク/4月5日〜6月15日(日)
・はままつフラワーパーク/3月21日〜6月15日(日)
詳細は、以下公式サイトまで!
http://hamanakohanahaku2014.jp
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Updated:2014年06月13日
スナップ・フロム・キャンパス〜浜名湖花博10周年事業推進室室長 水口長八さん:前編〜
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GWのオススメとして「静岡未来」でもご紹介している浜名湖花博。
今回はその花博を引っ張る、県花博10周年記念事業推進室室長の水口さん(写真左)のもとを訪ね、
大学生への「問い」をいただいてきました。
Q.「どんな時、誰に花を送りたい?」
水口長八さん(写真:右)/外山祐介さん(写真左)
「花と緑を使ったら、どんなことができるか」
今春開催する浜名湖花博2014のテーマは「花と緑のオーケストラ~水辺で奏でる未来の暮らし~」。
静岡の自然や風景、恵みを表現したモダンガーデンなど、生活に密着し、将来に向けた花と緑の新しい活用を提案します。
実は、浜松はガーベラの生産量が日本一なんですよ。静岡県は、本当に花と緑に恵まれた地域です。
でも、最近ではお盆のときにお墓参りに行っても、たむけた花が造花ということが多くなりましたね。
花に関する新しい動きとして、フラワー・バレンタインといって、男性から女性に花を贈ろうと花と緑を使ったら、どんなことができるかいう試みがなされていますが、私はもっと根本的に日常生活で花を使う部分から変えていくべきだと思います。
浜名湖花博2014では、花文化と食文化をコラボした、食卓に花のあるライフスタイルを体感していただきたいです。
暮らしに根付いた花や緑を届けることができたら嬉しいですね。
大学生が新しい花と緑の活用法を提案するのもいいと思います。
例えば、田んぼをアートの表現場所とする田んぼアートのように、花と緑を使ったら、どんなことができるか。
リスクなしにチャレンジできるんだから、大学だけではなく「まちへ出よう!」と伝えたいですね。
柔軟な発想ができる大学生だからこそ、挑戦してほしいと思います。
(浜名湖花博10周年記念事業推進室室長・水口長八さん)
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■浜名湖花博2014
◯会場/開催日程
・浜名湖ガーテンパーク/4月5日〜6月15日(日)
・はままつフラワーパーク/3月21日〜6月15日(日)
詳細は、以下公式サイトまで!
http://hamanakohanahaku2014.jp/
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●水口さんの質問に対する、静岡県の大学生の答えはコチラです!





◆スナップ・フロム・キャンパス〜浜名湖花博10周年事業推進室室長 水口長八さん〜
後編は、以下URLから↓水口さんの取材にあたった学生のコラムを紹介します!
http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1304203.html
Updated:2014年06月13日
静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより①〜
2009年より、上倉沢の棚田で保全・支援活動を行っている【静岡大学 棚田研究会】のみなさん。"棚けん"という愛称でも親しまれている棚田研究会は設立当時より、「棚田の保全のために何ができるか」を考え続けています。上倉沢の現場でどんな活動をしているのか。そして、静岡県に暮らす私たちにどんなことを伝えたいのか。棚田研究会による、月1レポート「棚田だより」。たまにはコンクリートのまちから離れて、静岡県の"原風景"と"食"に触れてみませんか。
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みなさんこんにちは、静岡大学棚田研究会副部長の濱野莉彩子(静岡大学農学部3年)です。
私たちは、静岡県菊川市上倉沢の美しい棚田の景観を守るため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方と連携して、日本の原風景である棚田の保全活動の支援を行っています。この上倉沢の棚田は別名「千框(せんがまち)」と呼ばれています。

▲5月の棚田風景。これから、田植えの前の基礎づくりを行いますー!
NPO法人せんがまち棚田倶楽部は棚田オーナー制度に取り組んでいます。棚田オーナー制度は一般の人にお金を払ってもらって棚田オーナーになってもらい、棚田での農業体験をしたりせんがまちでとれたお米を持って帰ってもらったりする制度です。
せんがまちのオーナーさんには多くの家族づれをはじめ、友人どうしや会社での参加など様々な方がいてます。オーナーのみなさんは月に1回、せんがまちで農作業を行っています。私たちはNPOのみなさんと共に、インストラクターとしてオーナーのみなさんのサポートをしながら交流、農作業をしています。またその他にもビオトープづくりや、青空農園での活動も行っています。
去年より、シズオカガクセイ的新聞で活動内容を報告させてもらいました。今年も去年以上に私たちの活動、そして千框の棚田についてみなさんに知ってもらえるように毎月投稿していきます。
●NPO法人せんがまち棚田倶楽部HP→ http://www.tanada1504.net/npo.html
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◆ 5月の活動報告
5月の千框での活動は24日(オーナーさん作業日)25日の”代掻き(しろかき)”でした。
みなさん、代掻きという作業はご存知ですか?
代掻きは田植えの前に水田に水を入れて土塊を砕き土壌面を平らにする作業です。クワやトンボを使って作業します。田植え前に代掻きを行うことによって、田植えを簡単に行うことができ、また植えたイネの成長がよくなります。とても大切な作業です。

私たちの棚田では機械が入らない小さな田んぼが多く、ほぼすべて手作業で行っています。オーナーさん(一般の参加者)や地元の人とともに作業していきます。棚けんに入ってから田植えという作業をし始めた大学生に比べて、小さいころから毎年田植えをしている地元の人たちはとても植えるのが早くてしかもきれいです。地域の方がたにアドバイスをもらいながら、地元の人たちやオーナーさんと話をしながら楽しく作業していきました。
せんがまちの棚田では水を棚田の上側を通る川から水を引いています。その水が上から順番にそれぞれの棚田に流れていきます。水の流れによって、水が深い場所もあれば浅い場所もあります。長靴ぎりぎりのところまで水がくる場所もありました。みんな泥だらけになって作業していました


▲また作業しているとたくさんの生き物に出会うことができました。オタマジャクシやカエル。イモリなど。
棚田はたくさんの生き物のすみかにもなっています(^^)生き物のすみかでもある棚田を、これからも守っていきたいと思います!!
代掻きの後はいよいよ田植えです。今後、6月の一大イベントは「田植え」。
そして、夜あぜ道にろうそくを灯すイベント「あぜ道アート」の参加です。
このイベントでは棚田の畔道に1000本近いロウソクを灯して、周りがだんだん暗くなっていくのを見ることができるイベントです。日が沈むにつれてだんだん幻想的に浮かぶ棚田がとてもきれいです。ぜひ見に来てください!!
また、あぜ道アートでは棚けん名物。せんがまちでとれた古代米入りのたい焼きを販売する予定です。
次回6月の活動報告で紹介できると思います。お楽しみに~!
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◆ 静岡大学 棚田研究会
2009年当時、農学部共生バイオサイエンス学科だった学生3名が設立。棚田を保全・活用する農家の減少が背景にあり、一時は失われる直前だった棚田の風景を取り戻すため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽」の方たちとともに活動を行っている。
主な活動内容は、復田、田植え、草刈り、稲刈り。また、棚田市場や静大祭において、棚田で収穫した作物を使いオリジナルフードを販売。皮はもっちり、ほのかな甘みが絶妙な「古代米たい焼き」は、棚けんイチオシメニューです!
●静岡大学 棚田研究会 「しず大棚けん」ブログ→ http://www.tanada1504.net/tanaken/

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◆ インフォメーション
【棚田あぜ道アート】
・開催日時/2014年6月7日(土) ※雨天の場合は翌6月8日(日)
・開催場所/静岡県菊川市 上倉沢せんがまち棚田
・アクセス/JR菊川駅から車で15分/ JR菊川駅からコミュニティバスで30分(「上倉沢公会堂」下車)
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Updated:2014年06月05日
そうだ、この駅で 〜静岡駅の旅〜
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Access:
JR浜松駅(東海道本線:70分)→JR静岡駅
JR三島駅(東海道本線:61分)→JR静岡駅
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●静岡駅南側の魅力を再発見の旅
本特集では過去静岡の様々な駅を取り上げてきましたが、実は静岡駅を一度も取り上げていないのでは、ということで、今回はあえての静岡駅です。
静岡駅は静岡県の中心部にあり、近くには徳川家康像や駿府城跡(駿府公園)があるなど徳川家康ゆかりの地として広く知られています。また弥生時代後期の遺跡として有名な登呂遺跡もあり、観光地として賑わっています。特に駅の南側には、駅から南東に向かって連なる駅南銀座商店街と呼ばれる商店街があります。この駅南銀座商店街は昭和に建てられたもので、時代と共にお店の数は減ってしまったものの、今でも当初のまま残っているお店も多く、昭和のどこか懐かしい雰囲気を感じることができます。また飲み屋が多く立ち並んでいるため、夜になると昼間とはまた違った賑わいを見せています。
最近では、この銀座商店街を舞台とした変身ヒーローものの特撮テレビドラマ『からくり侍セッシャ―1』が放送され、新たな注目が集まっています。ドラマの中でセッシャ―1がアルバイトをしていた居酒屋なども実際に存在し、ドラマを観てから商店街を訪れると、また違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。新たな発見を期待して、静岡駅を南に向けて出発しました。
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▲今回は、私たちが静岡駅南をご案内します!
記事の最後には、素敵な"おみやげプレゼント"の募集もアリ(※今回は大学生限定です!ごめんなさい;)
①静岡駅南口
▲静岡駅は1889年(明治22年)2月1日に官設鉄道(国鉄)の駅として、東海道線の国府津駅 ―静岡駅間の開通時に開業しました。現在、東海道新幹線と在来線の東海道本線が乗り入れており、終日多くの人に利用されています。南口を出て右側には「東照宮」と書かれた記念碑が建っています。この地が徳川家康ゆかりの地であることを実感させられます。
②千勝浅間神社
▲もともと本の大きな楠の樹を中心に建てられた神社で、境内は高い木々に囲まれており、昼間でも薄暗く静かなので、どこか異世界に迷い込んだようなとても神秘的な雰囲気を感じることができました。実は、静岡ローカルドラマ『からくり侍セッシャー1』で、スプラッシュ星人が住処にしていた神社がここ千勝浅間神社だという裏話も……。
③海ぼうず本店
▲静岡おでんが自慢のお店で、芸能人の方もよく来店されるとか。お店の正面に掲げられたおでんと書かれた大きな赤い提灯と、お店の外まで漂ってくる静岡おでん特有の醤油の香ばしいにおいに思わず立ち寄ってしまいました。この通りは、静岡県ご当地ヒーロー『からくりセッシャー1』のロケ地でもあるそうです。
▲店ご自慢の静岡おでんを実食!鰹節のダシ粉がきいてとても美味。店長の下田さんはとっても明るく気さくな方で、駅南のパワースポットとなれるような店づくりを目指しているそうです。
④静岡科学館る・く・る
▲南口から出てすぐのビルの中にある、今年で開館10周年の体験型科学館です。近代的な館内にある展示物は「みる」「きく」「さわる」をキーワードに作られています。実際に体験することができるという斬新なアイディアで、子供だけでなく大人も1日中存分に楽しめます。私たちも科学の不思議な世界に、時間を忘れて夢中になってしまいました。
⑤ふりあん かどや
▲創業以来70年以上の間、駅南の人々によって愛されているお菓子屋さん。創業当時は和菓子と駄菓子を売っていたそうですが、現在では、和菓子と洋菓子の両方を製造・販売しているそうです。お店のご主人、浅間さん自慢の和菓子は茶道家の方も買いに訪れる程。中でも浅間さんおすすめの麩饅頭は、青のりの風味のお麩を使った皮がとても滑らかで絶品です。
⑥翁稲神社
▲商店街を歩いていくと、突如赤い鳥居と旗が目につきます。普通の民家の中に作られたお稲荷さんには手書きの参拝の仕方があったり、ガラス窓に星が描かれていたりと手作り感満載で、どこか温かみが感じられました。
▲入口にはよろこおみくじがあり、私たちもどきどきしながら引いてみまた。石でできたお稲荷さんをなでると願いが叶うかも……。
▲静岡駅北とは雰囲気がまるきり違う駅南のまち。たまには駅北の賑わいを離れて、昔ながらのお店をゆっくり見て回るのもオススメですよ。
「また来てワン!」
【そうだ、この駅で】
●静岡駅
Access:
JR浜松駅(東海道本線:70分)→JR静岡駅
JR三島駅(東海道本線:61分)→JR静岡駅
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●読者プレゼントのお知らせ
▲今回訪れた場所でチョイスしたお土産を、「静岡県おみやセット」にして1名様にプレゼント!
(お土産セット→ ・コクール、アーモンドレター(写真)・わさび塩だれ・人のからだ付箋)
氏名・大学・学年・性別を明記の上、下記アドレスまでご応募ください。
mail:henshu★shizuokajidai.org(★を@に変えてください)
Updated:2014年04月23日
そうだ、この駅で〜新清水駅の旅〜
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Access:
JR静岡駅(東海道本線:6分)→草薙→(静岡鉄道:9分)→新清水
JR浜松駅(東海道本線:90分)→草薙→(静岡鉄道:9分)→新清水
今回は私たち3人が新清水の町を歩きます!まずは町のスーパースター、パルちゃんにご挨拶(ついでに記念写真も)。
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●新清水〜多角面の魅力を持つ清水の町〜
古来より清水は天然の良港を持ち、水軍基地・海運中継地として重要な役割を果たし港町として発展してきました。清水港は最初は原始的な渡し場であったと考えられています。平安時代には避難港として、戦国時代には武将たちの戦略の要衝としての役割を果たしました。徳川家康が駿府に居住したことで、清水港は商業港・海の宿場としても発達し、江戸、大阪をはじめ東海各地との物資輸送の中継基地として多くの廻船でにぎわいました。また巴川も運輸の中心地となり、駿府城の修築・修理のための石材など多くの物資が巴川を上って駿府まで運ばれました。明治39年、清水港からアメリカ向けの茶の直輸出が行なわれたのを皮切りに、緑茶が主要輸出品として輸出量は増大し、大正7年には日本の茶の輸出量の8割を占めるようになりました。
また、富士山世界遺産登録でも話題となった三保の松原を有する清水。五万四千本の松林が生い茂る海浜と、駿河湾を挟んで望む富士山や伊豆半島の美しい眺めで有名です。
近年では清水エスパルスの本拠地や、さくらももこさん原作の清水を舞台とした「ちびまる子ちゃん」でもその名が知られています。清水は海運業をはじめ、自然面さらには娯楽面まで、多面的な魅力を持った町なのです。
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①新清水駅
▲「しずてつ」の略称でお馴染みの静岡鉄道は、旧静岡市の安西地区に集積する製茶問屋から清水港へお茶を輸送する目的で1906年に設立された旧静岡鉄道を前身とします。1950年代には中南部各地に5路線計100キロ近くの路線を有していましたが、1960年代以降路線は廃止されていき、現在は新静岡から新清水間11キロを結ぶ静岡清水線のみ運行しています。
②水神社
▲寛永年間、清水の海岸一帯に数回に渡って津波が襲い、大きな被害を受けました。
風と波を鎮めるために巴川の中州に祠を建て、水をつかさどる水神を迎えたのが水神社のはじまりです。
また、神社の境内には松の大木があり、神社の厳かな雰囲気を作り出していました。毎年夏には清水区で最初の大祭が行われ、大変にぎわうそうです。現在の社は、昭和8年に再建。
境内でも一際目立つ立派な松の木!清水区の条例により、保存樹林としても指定されているそうです
③清水港
▲三保の松原に囲まれ、天気がいい日には富士山を仰げる清水港。港も青を基調に整備が行き届いており、その景観の美しさから神戸港・長崎港と並んで「日本三大美港」と呼ばれています。クルーズ客船の寄港も多く、港ではたくさんの船が観られました。そしてなんと、清水港の"冷凍マグロの水揚げ量は全国一位"! 漁業も盛んに行われています。
港にズラッと並ぶ船の数々。
全長およそ40mのオーシャンプリンセス号。別名「海の貴婦人」と呼ばれております。
実は、ジョン・F・ケネディやヘミングウェイなど、世界の著名人たちが乗船したという背景をもつめちゃめちゃ貴重な船!
④フェルケール博物館
▲レンガ造りのお洒落な外観を持つ、船と港の博物館。「フェルケール」とはドイツ語で「交通」「交際」を意味し、国際貿易で栄えた清水港に関する船の模型や船舶関連品が常設展示されています。清水港の生い立ちから現在までの変遷、そして人と海のかかわりあいの歴史を学ぶことができます。また、年間を通して様々なジャンルの企画展も開催されています。
●フェルケール博物館HP
http://www.suzuyo.co.jp/suzuyo/verkehr/
⑤ちびまる子ちゃんランド
▲さくらももこさん原作の清水を舞台に描かれた「ちびまる子ちゃん」。そんなちびまる子ちゃんの世界を、エスパルスドリームプラザの中にある「ちびまる子ちゃんランド」で体験できるのです。ランド内にはさくら家や学校、公園などの再現や、「みつや」をモチーフにしたお土産コーナーがあります。まるでアニメの世界に入り込んだ様で、童心に帰って楽しめます!
⑥河岸の市
▲清水魚市場の仲卸業者が「新鮮で美味しい魚をもっと気軽に食してほしい」という思いで直営販売を行っており、「いちば館」では新鮮な海産物を安価で購入できます。また「まぐろ館」には食事処が建ち並び、新鮮な魚介類が味わえます。私たちが立ち寄ったのはまぐろ館の「魚市場食堂」。見た目もつやつやとして新鮮な海鮮丼を美味しくいただきました。
⑦巴川
▲"巴川"を渡って帰途へ。むかし運輸の中心となっていたこの川は、"河童伝説"という逸話も残っています。
それは1611年、巴川に初めて橋が架けられたとき。古くからのならわしによって、人々の間で渡りぞめが行われたそうです。しかし見知らぬ男の子がどこからか現れ、あっというまに橋を渡っていってしまったそう。実はその男の子こそが、巴川に住む河童!その様子をみてびっくりしていた人々も「あの子供はきっと神様の使いに違いない」と喜び、その橋に「稚児橋」と名付けたそうなんです。その伝説によって、現在"稚児橋"には河童のモニュメントが置かれているんです。
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Access:
JR静岡駅(東海道本線:6分)→草薙→(静岡鉄道:9分)→新清水
JR浜松駅(東海道本線:90分)→草薙→(静岡鉄道:9分)→新清水
Updated:2014年01月09日
スナップ・フロム・キャンパス 〜 静岡シネ・ギャラリー副支配人川口澄生さん:後編〜
●前回に引き続き、静岡シネ・ギャラリーの副支配人・川口澄生さんの質問に対する大学生の答えを一挙公開します!
前編はコチラから→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1215774.html
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《東海大学:清水キャンパス》
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《静岡県立大学》
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《静岡大学:浜松キャンパス》
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《常葉大学:瀬名キャンパス》
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●川口さんへの取材を終えて〜大学生の頭の中〜
静岡時代編集部員であり、静岡県立大学の学生でもある小池麻友さん。
川口さんのお話を聞き、彼女はどんなことを考えたのでしょうか?
「ゆたかさ」って?
映画館。正直なところ、年に一作品見るか見ないかの私にとってはあってもなくても同じような場所だった。「映画、見に行こう」と言う人に対しては「レンタルすればいいじゃん」とすら思っていた。
しかし、友人から教えてもらったミニシアター。上映作品を見ると聞いたことがない題名ばかり。広告を見ても知らない俳優さんたちが顔を並べている。そこに私は特別感を抱いた。こんな場所知っている私ってなんだかお洒落じゃない?という感じ。そして「どんな話なんだろう、見てみたい」という感情がじわじわと湧いてきた。
今回お話を伺ったシネギャラリ―副支配人の川口さんは「映画館に足を運んできてくれる人って、映画館に来るまでにいろんなドラマがあるんだよね。それを想像するのが楽しい。ロマンティックじゃない(笑)?」と仰っていた。映画館がこんなにも人間味に溢れているところなんて思っていなかった。川口さんとの会話の間も「誰をここに連れてきてあげようかな」という思いと共に色々な人の顔が浮かんだ。こんな気持ちにさせてくれる空間がある。これって、ゆたかな暮らしなんじゃないかな、私はそう思った。
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静岡シネ・ギャラリー
静岡県静岡市葵区御幸町11-14
TEL:054-250-0283(劇場直通)
http://www.cine-gallery.jp/
Updated:2014年01月08日
スナップ・フロム・キャンパス 〜 静岡シネ・ギャラリー副支配人川口澄生さん:前編〜
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●今回お話を伺ったのは、静岡市葵区御幸町にある静岡シネ・ギャラリー副支配人の川口澄生さん。川口さんからいただいた大学生への質問は「あなたにとって豊かな生活(≒街)とは?」。川口さんが考える「ゆたかさ」や、この質問に込められた想いを伺いました。
「LIVE感から生まれるもの」
僕は高校卒業後、「ゆたかさ」を求めて上京しました。「ないものがある」「選択肢がある」というのが当時の僕が考えるゆたかさでした。静岡で放映されている映画って日本で製作されている映画の三分の一程度なんですよ。見たいものが見れるっていうのは魅力的でしたね。
学生時代は上映会を行なったり、地元で映画館を家族で営む方のお話に感化されたりして、最終的にはここ(シネギャラリ―)しかないと思い、静岡に戻ってアルバイトとして働き始めました。また、働き続けるにつれて、気づいたら人と人とのつながりが自然とできていました。最近の学生の風潮で、様々なものを駆使して絆やコネクションを「つくっていこう」っていうのがあるけれど、僕はつくっていくものではなくて「できていく」ものだと思うんです。だから、そんなに力まなくてもいいんじゃないかな。
静岡って、自転車をちょっと漕いだら海も山もあって、いろんな人と出会うことができる。きっかけは生の生活に溢れています。こんなにゆたかな場所だったなんて、東京から帰ってきて初めて知りました。ゆたかさってゆたかなところにいたらすぐには気づけないんですよね。映画自体は複製芸術だけど、映画館体験にはLIVE感があるんです。ここがみなさんのゆたかな暮らしの一部分を担うような場所になっていけたらいいな、と思っています。
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●川口さんの質問に対する、静岡県の大学生の答えはコチラです!
《静岡大学:静岡キャンパス》
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《日本大学:三島キャンパス》


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《静岡文化芸術大学》
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《静岡英和学院大学》

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→「スナップ・フロム・キャンパス 〜静岡県のまちのキーパーソンが知りたい、大学生の頭の中〜」
静岡シネ・ギャラリー副支配人川口澄生さん:後編につづく
Updated:2014年01月08日
『棚田に行こう!12月』〜静岡大学棚田研究会〜
静岡未来関連記事→(http://www.facebook.com/photo.php?fbid=240276779430674&set=a.179280012197018.18201.174268652698154&type=1&theater)
棚けんのみなさんが保全活動を行っている、菊川市上倉沢の棚田をもっとたくさんの人たちに広めたい。日本の原風景の残る場所を知ってもらいたい。と考え、静岡時代と静大棚田研究会とのコラボで、毎月1回の棚田活動日誌をお届けすることになりました。日本の原風景がここ、上倉沢の棚田にあるんです!
・公式ブログ「しず大棚けん」:http://www.tanada1504.net/tanaken/
・連絡先公式メールアドレス:su_tanaken(の)yahoo.co.jp((の)の部分を、@に変えてください)
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稲が刈り取られた裸の棚田。シーズンオフの田園風景も、なんだか趣がありますねえ。
静岡大学農学部共生バイオサイエンス学科2年濱野莉彩子です。私が所属する静岡大学棚田研究会は、菊川市上倉沢にある通称せんがまちの棚田の保全を目的に活動しています。今回は私が11月の活動を紹介します。
10月の暑さから一転。一気に秋らしくなってきた11月2・3日に、私たちは東京で開催された、JAPAN FOOD FESTA 2013に参加してきました。
このイベントは全国の様々な地域の食と農林漁業に関わりのある大学生が自ら育てた野菜や作った加工品やゆかりのある地域の特産品などを持ち込んで、東京の丸の内周辺で物品販売をするイベントです。
北海道から九州まで、全国から41団体150人以上の学生が集まりました。
このイベントは昨年から開催され、大学、地域の枠を超えた大学生が創り上げる年に一度の大文化祭なんです!
私たち棚けんは、せんがまちで今年収穫した棚田のお米と、作業でいつもお世話になっている堀さんが作っている緑茶と紅茶の販売をしました。棚けんの活動とせんがまち、そして世界農業遺産認定の静岡のお茶を知ってもらえたかなと思います。

棚けんは5人での参加です!左から加古(2年)、可知井(3年)、吉岡(3年)、我らが山本部長(2年)!!

また、同イベントでは他大学・他団体の方々との交流も楽しみました。私たちと同じような、農業にかかわる大学生と話をする機会はなかなかありません。深夜までお互いの活動や日本の農業について話をしました。この2日間は私たちにとって貴重な体験となりました。
そして、11月15~17日は、我が大学の秋の祭典、"静大祭"が行われました!棚けんでは『棚田市場』と称して、毎年たい焼きを手作り販売しています。

2台のたい焼き器で、丁寧に焼いていきます。お客さんがたくさん来ていただいて行列ができることも…。
今年は粒あんと抹茶生地入り白あんの2種類を販売しました。もちろんたい焼きの皮には、今年せんがまちで収穫された古代米を練り込みました。
静大祭の開かれる3日間、出来立てホカホカの手作りたい焼きは大盛況だったんです。
(この手作りたい焼き。食べられなかったという皆さん、来春静大で開かれる春フェスでも出店する予定です!ぜひ、お越しくださいね)

最後に、11月30日・12月1日にツインメッセで開催された産業フェアしずおか2013の報告です。

産業フェアしずおかは静岡の産業や観光に関する展示や特産品の販売が行われるイベント。産業フェアは今年で10周年ということもあって、2日間たくさんの人で賑わいました。
そして今年初の試みとして、静岡県内の大学生が自分たちの活動を紹介する学生ブースが設けられました。そこで、棚けんが学生ブース内にてポスターなどを使い、せんがまちや活動の紹介をさせてもらいました。また短時間ですが、ステージで活動の紹介もさせていただきました。
二日間でしたが、来場したお客さんや関係者の方とせんがまちや私たちの活動について話すことができました。中には棚田が好きだという方もいて、棚田トークで盛り上がったり、逆に棚田のことを教えていただいたりもしました。
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11月はイベント参加が続きました。静大祭は毎年参加していますが、JAPAN FOOD FESTA や産業フェアは今年初めての参加でした。ここ数ヶ月で、イベント参加させてもらうことが増えてきた棚けん。イベント参加を通してせんがまちや棚けんのことを多くの人にお伝えできればっと思います。
12月の活動としてそば打ち体験(7日)が行われ、しめ縄教室(21日)が行われる予定です。この様子も12月分の活動報告としてお伝えします。お楽しみに。
Updated:2013年12月17日
「夢は『清水映画祭に大輪の華を咲かせたい』。清水から世界を目指す発起人!上田紘司さんインタビュー」
1987年にスタートしたこの映画祭は、今年で第16回目を迎えました。今年の清水映画祭は”映画の力”をテーマに掲げてます。そこには、”混迷した現代を生きる私たちに、映画はどんな力を与えてくれるのか”を問いかける意味が含まれています。
今回は、清水映画祭の発起人である運営委員会の代表、上田紘司さんに清水映画祭のお話を伺いました。聞き手は、東海大学海洋学部3年、木口嵩尋さん。彼は映画祭の学生スタッフとしても活動中です。
日本の映画界が混迷していた時代をも経験している上田さんのお話。清水映画祭立ち上げのきっかけを皮切りとして、時代の変遷、その中で変化してきた映画の過去と現在、そして今後の姿が浮かび上がりました。
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●上田紘司さん(写真左)
清水映画祭運営委員会代表。清水映画祭の発起人でもあります。国内限らず、カンヌや釜山の映画祭にも足繁く通い、自分自身の目でみた作品を上映するのがポリシー。また、自身がテレビドラマの助監督をされていた経歴もあります。”映画にこだわりがある”という気持ちが、ビシバシ伝わってくる方でした。
●聞き手:木口嵩尋さん(写真右)
東海大学海洋学部3年。同大学写真部所属で、もともと映画にも興味をもっていた学生。友だちの誘いで、清水映画祭ボランティアスタッフに参加。開催の準備段階から上田さんと行動を共にし、今では、上田さんの右腕的存在に成長しました。積極的に映画祭の運営を手伝っています。
・清水映画祭 web: http://shimizu.filmfes.org/
・清水映画祭 Facebook: https://www.facebook.com/shimizufilmfestival
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JR清水駅前周辺が今回の舞台!約半月の間、清水映画祭一色に染まります!!
血を吐く思いのなか産声をあげた、”清水映画祭”
——現在開催されている清水映画祭は今年で第16回をむかえますが、そもそもこの映画祭をたちあげようと思ったきっかけ、理由はなんだったんでしょうか。
(上田さん)27年前に、私は大分県の湯布院へ旅行に行ったんです。旅先で泊まった旅館で、中谷健太郎という男性に出会いました。彼は湯布院温泉「亀の井別荘」の経営者であり、実業家です。また、当時開かれていた、”湯布院映画祭”という先駆的映画祭の発起人でもあります。その中谷さんの部屋に招かれ、一緒に飲んだんです。彼の部屋には映画の写真がたくさん飾られてあったんですね。それで、懇談後、部屋を辞去する時に「これ、何ですか?」とさりげなく聞いてみたら、彼が映画祭の話をし始めたんです。
軽い気持ちで、「自分も映画祭やってみたいですね」。と中谷さんに言ったのが、実は清水映画祭立ち上げのきっかけでした。中谷さんは「やってみたらいいじゃない」と、おっしゃってくれて。私が「どうしたら立ち上げることができますか?」と聞いたら、続けざまに「血を吐く思いをする人間が3人いればできますよ」と言ったんです。そのシーンは今でも覚えていますね。
中谷さんとの出会いのあと、清水に戻ってから映画祭開催のための仲間を集めました。湯布院では軽い気持ちで発言した一言が、心にひっかかっていたんですよね。

——「血を吐く思い」とは、想像を絶しますね。開催にこぎつけるまでは、かなり苦労をしたのではないでしょうか?
(上田さん)そうですね。当時の日本では、東京国際映画祭がはじまったばかりでした。一方、地方の映画祭が成立・持続しにくい背景も裏にはあったんです。そんな状況の中、仲間とともに欣喜雀躍しました。
当時、清水市の21世紀ビジョン「国際海洋文化都市宣言(マリンピア21)」という構想がはじまっていました。これはチャンスだと思い応募して、審査に合格。100万円の助成金をいただきました。”清水映画祭”という名称をつけた理由も、清水を売り出そうと思ったからです。
とはいっても、当初9人で試行錯誤をしながらはじめた清水映画祭です。資金、上映作品の調達、その他雑務。心配や不安の要素は多分にありました。そのひとつひとつを消化していき、トンネルを駆け抜けるような気持ちで、清水映画祭開催にこぎつくことが出来ましたね。昭和62年、11月のことでした。
“過去の産物”を逆手にとって、清水映画祭独自の芽を出した瞬間
——昭和62年(1987)といえば、日本の高度経済成長に陰りが見え始めた時代ですよね。開催当初、地元の方たちは清水映画祭に対してどのような反応を示したんでしょうか?
(上田さん)日本の映画界の時代背景から話すと、清水映画祭開催よりずっと前、昭和50年代以降をピークにして、日本映画界は斜陽化していくんです。ポルノ映画やヤクザものの作品が多かった映画界は、アウトローな存在として市民の目に写っていったんですね。その後、昭和30年代後半から40年代にかけて、今度はテレビ産業が持ち上がってきた。日活や大映といった大手映画会社も倒産していき、映画館も閉館を余儀なくされた時代でした。多くの市民の間では、”映画は過去のものだ”という認識が強まっていたんですね。
しかし、映画そのものはなくならなかった。水面下であがきながらも、頑張っていた映画関係者たちはいたんですね。私は、日本の映画をもう一度蘇らせようと思ったんです。そんな状況の中で開催した清水映画祭は、当時、脚光を浴びました。
その理由のひとつには、単館系の作品を上映したことが要因になっていると思います。
単館系とは、全国の映画館で一斉上映される大規模なロードショウとは違い、極少数の映画館で、しかも当時は大都市でしか上映されない作品のことです。
——単館系作品に注目された理由はなんでしょうか?
(上田さん)現在と比べて映像のメディアが少なかった当時、静岡市に住んでいた人は、単館系作品を観るといったら東京にでなければならなかったんですね。1980年代後半くらいから、中々人の目にとまらない単館系作品の中にも、優れたモノはたくさん出てきていたんです。私は自分の目でみて「これは面白い!」と感じた作品を集め、清水映画祭で上映してみました。それが見事大当たり。お客さんには大好評でしたね。1週間で4000人の入場者数があったり、ピーク時は5000人は入っていたりしました。その後9年間は、そのような状態が続きましたね。
私は小学校の頃から、演劇や見せ物を作ったりするのが好きだったので、「人にサプライズをみせてやれ!」という気持ちが強かったんだと思います。だから、お客さんの反応はとても嬉しかったです。

——しかし時代は移り変わり、現在では単館系の映画も各映像メディアの中で普通に放映されるようになってきましたが、映画祭での作品の選定が大変になってきたのではないでしょうか。
(上田さん)単館系作品が他メディアでもみられるようになってきたので、映画祭の意義も変わっていくと思います。また、私は映画はエンターテイメントだと思っています。しかし、社会的なメッセージを含んだ作品はあります。基本的には、今、この混沌とした時代に何ができるかと考えたとき、私は映画によって、今の時代をみなさんに見抜いて欲しいと思っていますね。テレビにはない力が、映画にはあると思います。
——今回清水映画祭ではデジタル上映の他に、映写機による上映も行いましたよね。あえてフィルム上映を行ったのは、何かこだわりがあるのでしょうか?
(上田さん)フィルム映画の基本は写真です。つまり、映像は1秒24コマの写真をみていることになります。そうすると、完成された作品の映像・音などのテイストが、監督によって変わってくるんですよね。それが、魅力だと感じます。また、デジタル(DCP)を観るのとフィルムで観る場合とに、おそらく人間の脳の働きに違いがあるのではないかと思っています。もしそうであるならば、フィルムで観た時の方が従属感が違うのだと思います。デジタル(DCP)映像は、色や奥行きなどが均一化されてしまうので、どうしても平面的だと感じてしまいますね。
清水文化会館マリナートには、全国から35ミリ映写機が消えつつある時代に新品が設置されました。フィルムで撮られた、昔の日本の名作・傑作を観る機会が少なくなり、日本の映画文化が失われていく今、これは大変貴重な出来事だと思いますね。

JR清水駅直結の、清水文化会館マリナート。新品の35ミリ映写機が設置されたのは最近なんです。

圧巻ですね! 全国でも、新品の映写機設置は非常に珍しいとのこと。映画関係者、各メディアには衝撃が走ったそうです。

大きなフィルム!初めて目にする方も多いのではないでしょうか?

使用前後のフィルムは厳重に梱包されています。成人男性が持ってもかなり重たい代物で、
昔は何十本ものをフィルムをトラックに積んで、映画館から映画館へ運んだそうです。人力の時もあったそうな。
「清水映画祭に大輪の華を咲かせたい。」
——では、清水映画祭の今後の展望を教えてください。
(上田さん)夢は、”清水国際映画祭”にすることです。海外の作品を日本で一番早く上映したいと考えています。また、監督や俳優を招聘して、静岡県民と他の出会いをつくるとか、コンペディションを実施するとか。アメリカのサンダンス映画祭のような雰囲気の映画祭を作りたいのが野心ですね。
国際映画祭として認められると、多くのお客さんがやってきますよね。静岡空港を使って、海外の方が静岡に押し寄せれば映画祭にも産業的にも貢献することになります。ですから、"清水国際映画祭"が出来たとしたら、2つの大きな価値が生まれると思っています。
——ありがとうございます。最後に、清水映画祭にたいする上田さん個人的な想いというのはありますか?
(上田さん)そうですね。第1回映画祭開催から続けていると、周りの関係者の方たちからはよく、上田さんスゴいね、と声をかけられることがあるんです。しかし私自身、大層なことをやっているという意識はないんです。たとえるなら、寿司ネタを握っているような鮨職人という感じですね。自分で好きなネタ・新鮮なネタを見つけてくるように、今後も、「清水」というショーケースに好きな作品を並べるような感覚で、粛々と清水でやっていきたいと思っています。死ぬまでずっとやっていくと思う。
……野望としては、自分で映画製作をしたいね。

●話し手:上田紘司さん
清水映画祭運営委員会代表。清水映画祭の発起人でもあります。国内限らず、カンヌや釜山の映画祭にも足繁く通い、自分自身の目でみた作品を上映するのがポリシー。また、自身がテレビドラマの助監督をされていた経歴もあります。”映画にこだわりがある”という気持ちが、ビシバシ伝わってくる方でした。
●聞き手:木口嵩尋さん
東海大学海洋学部3年。同大学写真部所属で、もともと映画にも興味をもっていた学生。友だちの誘いで、清水映画祭ボランティアスタッフに参加。開催の準備段階から上田さんと行動を共にし、今では、上田さんの右腕的存在に成長しました。積極的に映画祭の運営を手伝っています。
Updated:2013年11月29日
『棚田に行こう!11月号』〜静岡大学棚田研究会〜
静岡未来関連記事→(http://www.facebook.com/photo.php?fbid=240276779430674&set=a.179280012197018.18201.174268652698154&type=1&theater)
棚けんのみなさんが保全活動を行っている、菊川市上倉沢の棚田をもっとたくさんの人たちに広めたい。日本の原風景の残る場所を知ってもらいたい。と考え、静岡時代と静大棚田研究会とのコラボで、毎月1回の棚田活動日誌をお届けすることになりました。日本の原風景がここ、上倉沢の棚田にあるんです!
・公式ブログ「しず大棚けん」:http://www.tanada1504.net/tanaken/
・連絡先公式メールアドレス:su_tanaken(の)yahoo.co.jp((の)の部分を、@に変えてください)
【棚けんからのお知らせ】
今週末、11月30日(土)と12月1日(日)に、
ツインメッセ静岡で開催される"産業フェアしずおか2013"に棚田研究会のブースをだします!
北館「ガクセイドリームストリート」エリアにて、上倉沢の風景や私たちの日々の活動報告など展示・広報しますので、
ぜひ足をお運びください。他、静岡県内で活躍している学生団体も、それぞれブースをだし、パフォーマンスを行います。
↓↓"産業フェアしずおか2013"の詳細は、こちらから↓↓
http://www.t-messe.or.jp/gibasangyo/fair2013/index.html
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こんにちは、静岡大学棚田研究会に所属する理学部生物科学科2年の山本達郎です。
静岡大学棚田研究会では菊川市上倉沢のせんがまちの棚田で日本の原風景である棚田の保全を目的に活動をしています。
今回は私が10月の棚田研究会の活動を振り返ってみたいと思います。
せんがまちの棚田では10月12・13日に稲刈りが行われました。この日の棚田は実った稲穂で黄金色に輝き、大変きれいでした。当日は棚けんのメンバー、地元農家の方々、オーナーの方々、小学生・幼稚園の子供たち総勢400人近くの人がせんがまちの棚田に集まりました。
稲刈りは基本的に稲を鎌で刈る人と刈った稲を藁で結ぶ人の二人一組で行います。今回初めて稲刈りをするという人も多かったですが、みんなで協力して稲を刈っていきました。子供連れの方もいて、親子で楽しく稲刈りをする姿が印象的でした。刈った稲は木で組んだはざに掛けて、天日干しで乾燥させます。今年は天候にも恵まれ、例年以上の豊作となりました。そのため用意していたはざでは足りず、木ではざを組み立てては稲を掛けていく作業が2日目の日暮れ直前まで続きました。この後1週間稲をはざに掛けて乾燥させ、脱穀・籾摺り・精米をして私たちが普段食べるお米になります。自分たちで育てたお米を食べるのが楽しみです。

また棚けんでは稲刈りに並行して、棚田市場を開催しました。棚田市場では棚けんで作ったパウンドケーキやスィートポテト、地元の方々が作ったお茶や農作物を販売しました。13日には菊川駅から金谷駅までを歩くイベント「さわやかウォーキング」が開催されており、コース上にあるせんがまちの棚田にはたくさんの人が訪れました。


一年間の活動を通してたくさんの人と関わることができ、農作業の楽しさや大変さを実感しました。また、9月に行われたお月見コンサートもそうですが、これからも人との関わりを大切にしながら、せんがまちの棚田の魅力を伝えるとともに、その風景を残していきたいです。
11月はそば刈り(2日)、ジャパンフードフェスタへの参加(2日、3日)、そして静大祭(15~17日)がありました。静大祭では毎年恒例の古代米入りたい焼きの販売しました。その内容は次回の投稿でご紹介します。お楽しみに♪

Updated:2013年11月27日
"1ドリンク"で"人の輪"がつながります。静岡おまちバル開催まであと2日!
静岡県に暮らす多くの皆さんにも、このイベントを知ってもらいたい、参加していただきたい。そこで今回は、影で支える静岡おまちバルの実行委員の方たち、そして静岡のまちを良く知る一般の方、お酒大好きという女子大生に、イベントの魅力を語っていただきました。普段どんなお酒の飲み方をしてる?という疑問を皮切りに、静岡のまちでお酒をのむ魅力、静岡おまちバルの楽しみ方をみなさんにご紹介いたします!!
当日イベントに参加するお店の紹介も充実!
【静岡おまちバル】HPはこちらから→ http://www.omachibar.com
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ー座談会参加者プロフィールー
(写真左から)●久保山智史さん
静岡の夜のまちを飲み歩き、様々なお店を知っている方。そしてクラフトビールが大好き。座談会中も、ビールの製法から歴史までアツく語っていただきました。時間を忘れてしまうほど専門的だったお話を、掲載できなかったのが残念!
●高村理沙さん
静岡大学人文社会科学部経済学科3年。”静岡おまちバル”学生実行委員代表です。お酒は好きだけど、あまり飲まないとのこと。それよりもご飯が好き。座談会中、出されたお酒よりも、食事の方に目を輝かせていたのがその証拠。でも最近は、日本酒の美味しさに目覚めたそうです。
●宮本明里さん
静岡大学人文社会科学部経済学科3年。今回の座談会では学生のんべえ代表です。とてもハキハキしていて、訪れた居酒屋さんでもお店の人と比較的仲良くなれるそう。高村さんとは、普段一緒に飲みにいく仲。
●沼田千晴さん
静岡市葵区呉服町にお店をかまえる、株式会社「政豊」代表取締役。静岡おまちバルでは、実行委員長を務めています。若いころから盛り場を巡り、飲みの経験豊富な方。今回の座談会ではガイド役として、お酒初心者の私たち学生を引っ張っていってくれました。
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座談会のロケ地は、葵区常盤町にある【ODEN-BAR ひまつぶし】。"静岡おまちバル"参加店のひとつであります!

ということで、今回は特別にお酒を飲みながらの座談会(画的にキマるでしょ?)、スタートです!!
——“静岡おまちバル”はお酒や食事が楽しめるグルメイベントですが、みなさんは普段、どんなお酒の飲み方をしていますか?
高村さん:私は正直、あまりお酒は飲まないんです。お酒よりも、ご飯をメインにしてしまうんですね。飲む頻度は月に2、3回くらいで、友だちを誘って行くことが多いです。飲みに行くお店は静岡駅周辺の、昼はランチで夜はバーになるような場所で飲むことが多いです。
宮本さん:高村さんとは反対に、多い時は週3、4日お酒を飲みに行くことがあります。飲み方も色々あって、サークルの集まりやゼミの打ち上げなど、大人数で行く時は居酒屋チェーン店、仲の良い友だちと飲む時は、自分のお気に入りのお店に連れて行きます。あとは、先輩や社会人の方と飲みにいくときもありますね。毎日飲んでもOKなくらいお酒が好きで、ひとりで飲む、なんてこともあります。

久保山さん:私はお酒にこだわりがあって。国内ビール一筋なんです。だから、うまいビールが飲める場所を選んで行きます。高村さんや宮本さんみたいな、”ご飯と一緒にお酒”というスタンスではなくて、常にビールしか飲みません。お店のカウンターで一人で飲むことが多いです。そのかわりお店の人やお客さんと話すので、人とのつながりができるし、他のおいしいビールが飲めるお店などを紹介してもらえるんですよね。それが嬉しいです。
沼田さん:僕も、飲みにくとバーのマスターやママさんと話しますね。ただ、お店を頻繁に変えるわけではなくて、知っているお店に行ってゆっくりと飲むことが多いです。大体は、知り合いからの紹介や友だちが経営しているお店がメインで、週2、3日くらいの頻度で行きます。僕は小売業をやっているのですが、仕事仲間と飲みに行くというよりは自分のクールダウンのひとつとしてお酒を飲んでいますね。また、静岡のまちの「知られざる穴場」に、お客さんを連れて行くような感覚で友だちを連れて行っています。

——みなさん一人ひとりの飲み方がありますが、それぞれ共通していることとして”人とのつながり”が必ず出てきます。静岡のまちでは、そういった機会に出会えるチャンスが多いのでしょうか?
宮本さん:そうですね。昔、留学する友だちに、出発前に日本食をごちそうしようと思って個人で経営している和食屋さんに行ったことがあるんです。入るときに少し緊張してしまったのですが、そこのご主人がとても気さくな人で。飲みながらおしゃべりをして、自然と仲良くなっていましたね。その後も別の友だちを連れて行って、何度もお世話になっています。だから静岡のまちに行って、自分のお気に入りのお店で飲んだり、見つけたりすることが私は多いです。
沼田さん:うん。静岡のまちくらいの繁華街だと、チェーン店と個人のお店がうまく混在しているんだよね。金銭的な面を考えたり、大勢で行くっていう場合だとチェーン店の方がピッタリだし。でも、たとえばバーのマスターと話しながらとか、カクテルを覚えたいとか、しっとり飲みたい時は個人店の方が合っているよね。だから、飲みにいく時はその2つをうまく使い分けて欲しい。他の地域のまちはどうしてもチェーン店が多くなってしまう中、静岡ほど、両者が上手にミックスされているまちって少ないと思うんだ。
——だからこそ、11月9日に開催を控えた”静岡おまちバル”は、まちの新しい発見や楽しいお酒を飲める場所を提供するのにピッタリなイベントなんですね。
高村さん:私は今回、学生代表として実行委員に参加していますが、その中で感じたことは、学生って静岡のまちの居酒屋さんやお店を全然知らないんじゃないかな。ということです。どうしても、気軽に行けるチェーン店に走ってしまうんです。皆でわいわい飲むお酒としてはチェーン店でも良いんですけど、でも、静岡のまちに”こんなお店があるんだよ”っていうことを、もっと同年代のみなさんに知ってもらいたいなと思いました。また、静岡おまちバルは、そのきっかけを知ることができるのが、一番の魅力かなと。新しいお店に入るのはなかなか勇気がいるけれど、こういうイベントの一環であれば、お店側も私たち若い人たちの立場をわかってくれるというか。お互いに、イベントということで共有できるものがあるから、構えずカタくならず、普段よりずっとお店に入りやすくなるんじゃないかなと思っています。
沼田さん:そうだね。若い人たちは、普段、絶対行けないようなお店に行ける。それともうひとつは、これから行ってみようかな、ちょっと入ってみたかったなと考えていたお店にいけることだよね。若い人たちがひとりで行くのは、値段的にも気持ち的にもちょっとハードルが高くなってしまうかもしれないけれど、たとえば2人でチケットを買って2件行けば、結構リーズナブルな気がする。
久保山さん:僕は今年7月、焼津の志太バルの実行委員をしていたんですが、焼津と比べると静岡の街バルはひとりでもお店に入りやすい環境が整っていると感じました。客層もまちの雰囲気も違うけれど、焼津はどっちかっていうと、皆でわいわい飲みにいきましょうっていうノリがあるんです。でも静岡は多種多様なお店が揃っていて、出してくれるお酒の種類も幅広い。だから参加するそれぞれの人が、その時の気分や気持ちによって、いろんな飲み方のできるイベントなんじゃないかなと思っています。
沼田さん:それからお店側も、このイベントでは新しい飲み屋さんが出店してくれることが多くてね。バルに参加する理由として、まずはお店を知ってもらいたい、そしてお客さんにリピーターになってもらいたいという目的がひとつあるんです。でも、ある程度お店の軌道が乗ってくると、そういうPRってあまり必要なくなるじゃないですか。そうすると、すでに安定したお店の方たちは、今度は社会貢献やまちおこしの意識を持って、この静岡おまちバルイベントに参加してくれるんです。創成期のグループと安定したグループのサイクルが、うまく混じり合ったイベントとも言えるんですね。そこが、静岡おまちバルの魅力のひとつでもあると思います。

宮本さん:”静岡おまちバル”のイベントは前々から知っていたんですが、まだ参加したことがないんです。でも、みなさんのお話を聞いていて、興味が湧いてきました。
——たしかに。”静岡おまちバル”ってただお酒を飲むだけではなくて、お店側やお客さん、実行委員の方たちそれぞれが良い関係になれるイベントなんですね。
沼田さん:はい。少し話は変わりますが、前回取材された静岡大学の地域政策を研究している太田先生の話の中で(過去記事→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1172882.html)、「中心都市の空洞化」がまちの課題となっていると指摘されました。営業所がなくなってきて、みんな日帰り出張が増えて、夜の街がさみしくなった。お店も街中の人達も危機感があって、おまちバルの様なお店と参加者が一体になったイベントが生まれてきた。 一方で現時点でおまちバルが成功がどうかと言われると、まだ結論は早い。 継続することが成功なんです。だから今後も定期的に必ずやっていこうと。そのために、毎年、次のイベントの開催の時期を必ず決めています。最終的にどうなるのかは、正直考えていませんが、このイベントが終わるとしたら、お店自体が必要とされなくなったときだと考えています。でも、まちそのものが必要にならないということはないでしょ?そういうところがこのイベントの面白いところなのかなと思っています。
高村さん:このタイミングで、みなさんのお話を聞けてよかったです。私たちは今回、静岡おまちバルではじめて、学生主体のステージ企画を運営します。私たちよりずっと年上のみなさんに背中を押してもらいながら、私たち学生実行委員も最後まで頑張っていきたいです。また、当日は多くの学生がステージパフォーマンスを行うので、ぜひみなさんにも応援していただけたらなと思いました。準備も大詰めの”静岡おまちバル”開催は11月9日(土)。お友達を誘ったり、また、ひとりでも存分に楽しめるので、より多くの人たちに参加してもらいたいですね!

座談会ロケ地:
【ODEN-BAR ひまつぶし】
静岡県静岡市葵区常磐町1丁目1-1
(静清信用金庫パーキング隣、金の字さんの2F)
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"静岡おまちバル"
開催日:11月9日(土)
時間:10:00〜23:00
詳しくは【静岡おまちバル 公式サイト】まで
http://www.omachibar.com

多くの方々のご参加、実行委員一同、おまちしております!!
Updated:2013年11月07日
静大・太田隆之先生に聞く!今や全国に広まる”街バル現象”の実態とは?!
しかしそれは一体、なぜなんでしょか?そこまで人をひきつける理由とは?
今回、その疑問について御教授願ったのは、静岡大学で地域政策を研究している太田隆之先生。学生は、”静岡おまちバル”の学生実行委員ひとりである、同大学の高村理沙さん。彼女が、"静岡おまちバル"を代表して、「街バル」の実態を調査してきました!!
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●太田隆之先生(写真左)
静岡大学人文社会科学部経済学科准教授。専門分野は地域政策で、地域における環境資源の自治的管理とそれを前提とした持続可能な社会実現のための地域政策を研究。お酒はかなり弱いが、飲むことは嫌いではないとのこと。年齢を重ねるごとに甘いお酒がダメになってきたのだとか。最近はもっぱらビールや焼酎をたしなむ。
●高村理沙さん(写真右)
静岡大学人文社会科学部経済学科3年。太田ゼミに所属。専攻は地域活性化。ゼミのテーマに商店街を扱っています。静岡おまちバルでは、実行員会のイベントステージ企画に携わっており、他の参加学生のまとめ役的存在。皆でわいわい集まって飲むお酒が好き、とのこと。
"静岡おまちバル"のHPはこちらから→ http://www.omachibar.com
また、当日ボランティアも募集中!
募集要項はこちら→https://docs.google.com/file/d/0B_U_B3xdOKj8OU5fbDhjZUlJa00/edit?usp=sharing
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街バルの意義は、まちと自分自身の関係をみつめなおすきっかけにある。
——“静岡おまちバル”は今年で5回目を迎え、私はその実行委員としてイベントの企画・運営に携わっています。その中でわかったことのひとつが、いわゆる”街バル”が全国各地で多様化され、認知されているということ。しかも、ここ2、3年で爆発的に広まったことです。そんな短期間で、これほどまで地域の人たちに受け入れられる街バル。一体なにが、その要因となっているのでしょうか?
(太田先生)静岡県に限らず、「街バル」が全国に広まっているという背景にはひとつ、【中心都市の空洞化】があると思います。この現象は、ここ10年〜16年ほど言われ続けてきているんですね。その状況を改善しようと政策も行われてきましたが、厳しい状況が続いているところは少なからずあります。例えば静岡市では、旧清水市の中心市街地も活性化基本計画の対象になっています。そして2009年にその事業が実施されていますが、状況はなかなか変化していません。
そういう意味で、中心市街地・中心商店街空洞化という課題は今も解決していないという事実があり、多方面で「どうするか」と議論されている状況なのです。
その状況の中で、政府は市民目線の取り組みも求めています。街バルのキッカケ自体は、ヨーロッパの”バル”をモデルにしていますよね。それは比較的取り組みやすいもの、またそれなりの成果をあげている事例があることから、商店街・飲食店の方たちが自分たちで何かできることのひとつとして、街バルのようなイベントは適当なのではないでしょうか。
また商店街や飲食店街は偏在するものなので、同じような資源を持ち、そして同じ問題に直面していると考えられます。ですのである意味、商店同士、そして商店街の組合同士で取り組みやすい、「やっていこう」という意志でまとまりやすい面を持つイベントと言えるでしょう。反面、主体が多くなると組織化の難しさや中心市街地空洞の深刻さなど大変な部分もありますが、これらの背景によって、街バルは段々と全国各地へ広がっていったのではないでしょうか。

——お話を聞くと、ひとつのバルを運営するだけでも大規模になるな、という印象を受けたのですが、ある程度お金がないと出来ないものなのでしょうか?
(太田先生)うーん、考えどころですね。実際は、自治体によって補助金を出しているところもあります。しかし必ずしも、ある程度の大きなお金や補助金などがないと出来ないというわけではありません。本来、商店街・飲食店街として成り立っていたり、盛り上がっていたりするならば、お金はそんなに必要ありませんよね。よほど大規模な整備や派手なPRなどを行う時にはお金を使うこともありますが、多くは口コミで広まったりしながら、賑わっていくものですし。
——“広まる”といえば、街バルは北海道の函館ではじまり、大阪で話題になったのですが、土地柄というか、地域性の関係はあるのでしょうか?
(太田先生)そうですね。例えば地元密着型というか地元が好きな人が多い場所は、うまくイベントや取り組みの設計をすれば、人にウケるということはあると思います。例えば大阪は食文化も多様なので、潜在的な資源が多く、身の丈に合う取り組み方や街バルの本質をよく知っているのではないでしょうか?
——“街バル”は【中心市街地空洞化】の改善のための重要なポストなんですね。しかし、市街地活性化のためのイベントや取り組みは他にも多くありますが、その中で街バルの必要性はどの程度あるのでしょうか?
(太田先生)正直なところ、商店街や飲食店街が成り立っている状況があれば、本来は街バル自体なくても構わないとも思います。ただ、それは街バルイベントが不必要というわけではありません。なぜならさきほど言った、地域の良さや地域が直面している課題を知るためのひとつのきっかけになるからです。今回のイベントでいえば、お店を訪れるリピーターの確保のためにとか、飲食店の経営とも関わって行うという目的がある場合は、それは中心市街地空洞化の深刻さを示しているとも考えます。実際、街バルのモデルとなったヨーロッパでは、こういうイベントを開かなくても街には人が集まり、賑わいをみせていますよね。
その現状の中で街バルが必要であるのであれば、それは落ち込んでいる状況を打開したり、中心商店街側を奮起させることがポイントになります。お店に自助努力を促す側面や街中に人を呼び込むインセンティブという意味では必要な要素なんですね。街の活性化におけるひとつの導入の位置づけというのが街バルに対する僕自身の見方なので、参加する人たちはより良いお店やより美味しいものを食べにいく意識を持っていくのが良いのではないでしょうか。
店側も自慢の資源を積極的に示すことで、店と客の関係が構築されることはもちろん、地域の良い所を互いに確認し合うことができます。全体の取り組みを通じて、お互いに街のことを考えるきっかけにするのが大事。ですので、様々な地域でおこなわれてる街バルイベントの意義は、まちと自分自身の関係を見つめ直す機会といえますね。

——それでは、街バルによって静岡県に暮らす私たちとまちも、そういう関係性でつながっていくのでしょうか?
(太田先生)そうですね。今回行われる”静岡おまちバル”は静岡市内で開催されますが、まちの良さを再確認することを意図してやっている側面がありますよね。実は、静岡市の中心市街地は他の地域と比べると経済活動が良好な状況にあるんです。ですので、より中心市街地が活性化するために、地元の良さを店と客が互いに知り合い新しい発見をする、もしくは改めて地産地消の食材の美味しさやメニューの良さを感じる機会になります。
また、静岡市自体は広い商圏を持っています。静岡市の商圏に含まれると考えられる地域を含めて、商圏の維持に繋がる可能性があります。”静岡おまちバル”など、中心市街地の活性化によって、浜松や三島など静岡県内の他の地域でも刺激を与えうる機会になるのではないでしょうか。
僕の個人的な印象ですが、静岡県民の方たちは地元愛を強く持っている傾向にあると思うので、そこで暮らしている人たちも高い意志を持っていると考えています。ただ、経済状況の動向によって中心市街地の状況も変動すると、地元から離れていってしまう人たちがいるのも事実です。自分たちの暮らすまちの良さって、実はたいしたことないんじゃないか?と。
そういう状況が認められる中では、地元の良さを再認識するとともに、自分たちの周りのどこに課題があるのか、皆が共有する機会になってくれればいいですね。成功体験や成果を示すことが出来れば、次の活性化策や次のまちづくりに繋がっていきます。それは例えば、ひとつのイベントの先を考えるのではなくて、もっと広い視野で先をみていくことです。静岡県・市をどうしていくか、という話に、県政だけでなく県民も積極的に参加するような機会に繋がっていくことが望ましいですね。
"継続は力なり"。静岡のまちは、きっとレベルアップしていきます
——少し話は変わりますが、今回の”静岡おまちバル”では静岡県内の学生や20代の若い世代にも参加してほしいという想いがあります。何かと打ち上げやお酒を飲む機会が多くなる私たち世代と静岡おまちバルの相性が気になるのですが。
(太田先生)街バル自体「地元の商店街にこんな店がある」、「地元の食材や地酒が楽しめる」という紹介になるし、学生の参加を促すということでは魅力は十分にあると思います。ただ、例えば今回のイベントに参加するためのチケットの値段や、頼めるメニューの品数を考えると、若い世代にとっては参加する際の障壁になるかもしれません。価格に関しては、皆より上の世代の人たちにとってはたいしたことがない値段かもしれないし、それで美味しい物が食べられればOKという満足感は得られるかもしれません。しかし、20代前半の若い人たちにとってはどうかな?価格設定が参加のためのハードルになっていませんか?

——正直「ちょっと高いかも」と感じる部分があります……。
(太田先生)学生や若い世代をターゲットにするためには、対「若い世代」のための手段を考えることも必要なのではないでしょうか。例えば、学生割など特別枠を設けて価格を下げたり、出されるメニューを増やしたりとかね。若者も静岡のお酒を飲んでみましょう、ということも前面に出してもいいかもしれません。飲食店や商店が、そして街を知ることへのイントロダクションのようにすれば、若い世代への掴みも変わってきます。ただ、若い世代の人たちにとっては、イベント自体に、訪れたことのない店やそこでの味を楽しめる魅力が十分に揃っているので、参加して新しい発見をするキッカケになると思います。あとは社会人の先輩や自分たちより上の世代の仲間といえる人に誘ってもらって連れて行ってもらうことも、参加しやすくなるひとつの手段ではないかな?
——なるほど。今後の”静岡おまちバル”を続けていく上では、各世代のニーズにそいながら企画・運営を考えていくのもひとつの手段ですね。では今後、静岡おまちバルによって、静岡のまちに何かしらの変化は起こるのでしょうか?
(太田先生)イベントの開催自体を主目的にするのではなく、これをキッカケにして静岡のまちの方向性を考えるということであれば変化の兆しは見られると思います。さしあたっては、こういうイベントを続けていくことが大事です。ただ注意したいのが、”イベントをやる”ということに重きを置いてしまうと、経済状況等に変化が起きたときにそれまでの活動の意味がなくなってしまうことです。変化というのは、例えばお店側には、「バルがあるときは盛り上がるけれどそれ以外の時は元に戻ってしまう、もしくはそれほど変化がない」という状況になる可能性があるということ。静岡のまちの活性化という、本来の意味や目的とは違ってきてしまうんですね。
ですので、店側にとっては常時新しいメニューの提供、良い物をよりよくしていくなどのイノベーションを促す機会であり、僕たち静岡県民は自然に街中に足を運ぶような状況を生み出していく。また、”静岡おまちバル”のイベントがスタートしてそれほど長い時間が経っているわけではないので、毎年開催する度に、何かしらの効果があることをお互いに認識することも大事ですね。
あとは、行政に頼らないことも重要です。先ほど触れましたが、例えば埼玉県のように9千万くらいの補助金を出している事例もありますが、僕はそれだとあまり意味がないと思っています。どうしても、補助金が出ればやる・出なけれなやらない、という状況が生まれる可能性が排除できないからです。だから、まず自分たちでできることをやっていく。それは背伸びしてできること以上のことを無理をしてでもやるということや、市民の政治参加につなげていくという別次元といえることを目指すという意味ではなく、イベントの開催側や参加する客側も楽しみながら、まちの良さやそこが抱えている課題を感じながら次の行動につなげていくのがいいと思います。

青葉通りのおでん横町や両替町など、飲み屋の多い静岡のおまち。去年の静岡おまちバルでは多くの人が飲み歩き、はしご酒を楽しみました。
自分の足で静岡のおまちを巡り、美味しいお酒や食べ物に出会える日。
——それでは最後に、太田先生の専門分野からみた、”静岡おまちバルの魅力”を教えてください。
(太田先生)そうですね。僕が面白いと思ったのは食べ歩きや飲み歩きなど、いわゆる「はしご酒」で人を動かし、回遊させる機会を作っている、かつ、参加店全部を回れるわけではなく自分でいくつか選択させるというのはとても興味深かったです。
——はい。静岡おまちバルでは、広場に屋台を出店するような他のグルメイベント等とは 違い、自分で足を運んでもらうという一番の目的があるんです。
(太田先生)それは、人を招いて動かすこと自体が難しくなっているという現状を考えたときに、その制度設計は良い意味でお店間の競争を促していることになるんです。例えば、七間町や鷹匠は続々と新しい店ができているっていう部分で競争があります。常に刺激的なものを中心街・商店街に提示しているんですね。
公共経済学では「足による投票」という議論があります。これは居住する地域について多くの選択肢がある中で地域政策の実施状況等から行先を1つ選択し、人々がそこに行くことがその地域の評価を示すという議論ですが、“静岡おまちバル“には参加者のお店の選択が参加店の評価につながるというところが面白い取り組み方だと思いました。お店側も客のニーズを意識して店自慢の逸品を出すということは、トータルでいえばそれだけ静岡に美味しい物があるというのを示すということに繋がりますよね。また、イベントの中で人とのコミュニケーションや付き合いが広がることも良いことです。
あとは、静岡おまちバル参加者は地元の人が多いですよね。インタビューのはじめに、地元愛の強い人が多く集まる場所はイベントの取り組み方によって成果があるという話をしたけれど、そういう意味では、”静岡おまちバル”は成功しているのではないでしょうか。地元の資源も一生懸命使っていますしね。まずは地に足をついた、本来のあるべきバルを追求しているのが、静岡おまちバルの魅力だと思います

●太田隆之先生
静岡大学人文社会科学部経済学科准教授。専門分野は地域政策で、地域における環境資源の自治的管理とそれを前提とした持続可能な社会実現のための地域政策を研究。お酒はかなり弱いが、飲むことは嫌いではないとのこと。年齢を重ねるごとに甘いお酒がダメになってきたのだとか。最近はもっぱらビールや焼酎をたしなむ。
●高村理沙さん
静岡大学人文社会科学部経済学科3年。太田ゼミに所属。専攻は地域活性化。ゼミのテーマに商店街を扱っています。静岡おまちバルでは、実行員会のイベントステージ企画に携わっており、他の参加学生のまとめ役的存在。皆でわいわい集まって飲むお酒が好き、とのこと。
Updated:2013年10月30日