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静大棚田研究会による『上倉沢棚田だより』〜2015年3月〜

静岡大学棚田研究会による、毎月連載の棚田レポート2015〈1〉
こんにちは。
静岡大学棚田研究会(通称:棚けん)に所属している農学部 環境森林科学科3年の太田和晃(おおたかずあき)と申します。僕は本研究会で、部長と企画班班長を務めています!


静大棚田研究会による『上倉沢棚田だより』〜2015年3月〜
▲研究会と企画班のリーダーを兼任しています。山本前部長から託された研究会とメンバーを引っ張っていく気持ちはみなぎっています!

棚田研究会とは、菊川市上倉沢にある「せんがまち」と呼ばれる棚田にて、地元のNPO法人「せんがまち棚田倶楽部」の皆様と一緒に棚田の保全活動をさせていただいているサークルです。日頃の棚田保全活動は、地元の方だけではなく棚田のオーナー制度を利用した一般の方々も協力してくださっています。棚田オーナー制度は、棚田の1区画を一般の方向けに貸しだし、棚田での農作業体験の場を提供する制度のことです。
「せんがまち棚田倶楽部」が運営しているWebサイト《たなだいこうよ.net→ http://www.tanada1504.net》では、オーナー制度のより詳しい情報を掲載しています。実は、募集の予定枠がすぐに埋まってしまうという大変人気のある制度。僕も地元の方との交流や食の循環などを学びながら、とても楽しんで農業体験ができています。農業や食育などに興味のある方はぜひ一度、ご覧になってみてください。



■今月の上倉沢棚田

2015年3月も、上倉沢棚田での保全活動からはじまりました。
今回は、棚田の田起こし・畦塗り作業。この時期の棚田では、いずれ来る田植えに向けて、田んぼを整える作業が主になります。みんな泥だらけになりながら活動をします。この時は、田起こしがメイン。稲刈り後に固まった土を砕くことが目的で、クワや耕運機を使ってみんなで棚田内の泥をぐちゃぐちゃにかき回していきました。


静大棚田研究会による『上倉沢棚田だより』〜2015年3月〜

静大棚田研究会による『上倉沢棚田だより』〜2015年3月〜
▲耕耘機は見た目以上の重さがあるので、操作がめちゃくちゃ難しい。手練のメンバーが担当します。

■県をまたいだ大学間交流実施!
全国11大学の耕作系大学生が、農業の今を語る。


また、棚田の保全活動をメインに行っている棚けんですが、実はそれだけではないんです。今月の活動は、僕たちにしかできない、棚けん”ならでは”の体験がひかる月でした。

1つめは、【沖縄サトウキビ刈り大学交流会】です!棚けんは毎年、研究活動のひとつとして全国の大学と交流会に参加しています。
もともと、棚けんを設立したプロデューサーさんが発起人となってスタートしたのが、年に1度の大交流会です。プロデューサーさんは、全国各地で農業農村を応援するサークルを作り上げている方。交流会ではいわゆる「プロデューサーチルドレンのサークル」が一挙にあつまり、一緒に農作業体験をしたり、食事をしながら農業・自然環境にまつわる意見交換の場にしています。今回は琉球大学が主催の、特に大規模な交流会のひとつでした。我らが静大をはじめとして、信州大学・新潟大学など全11大学が参加し、サトウキビ刈りをしました。


静大棚田研究会による『上倉沢棚田だより』〜2015年3月〜
▲獲れたサトウキビから砂糖を抽出する製糖工場も見学しました。

他大学の学生たちと交流する中で一番気にかかったのは、それぞれの環境の違いだったと思います。沖縄と静岡県の気候環境!といった話だけでなく、大学ごとの周りのサポート環境も全く違っていることです。

例えば、「畑作をして農作物を売りに出したい!」と思っても、ある大学ではそれをやる場所は?農具は?予算は?売る場所は?と考えることが山ほどあります。しかし、棚けんの場合、耕作放棄された棚田を利用して、畑作を行っている「青空農園」でその願いを叶えています。そのすべてを「せんがまち」という素晴らしい場所と、「せんがまち棚田倶楽部」というNPOの手厚いサポートのもとで、「自由にやればいいよ!」と背中を押してくださっている中で、行えている現環境のありがたさをひしひしと感じました。本当にせんがまちに感謝です( ;∀;)

交流会自体は沖縄だけでなく、毎年何度か行われています。いくつかの交流会に参加し僕が思ったことは、やはりそのまま終わってしまうこと…。とある信州大4年生も同じ考えを持っていたようで、「このままいつも『交流会楽しかったね』で終わりにしてしまうのはもったいないから、このネットワークを利用して何かやろうよ!」とアイデアをだしてくれました。彼の一言で、県の枠を越えた大学同士でできる農業イベントの計画がスタート。大学間で育てた農作物を交換し合って、お互いの売り場で販売してみることや、ネットワークに参加した大学を一大学ずつ訪問することなど、メンバーから様々な案がでてきました。すぐにできるものではありませんが、僕たちの後輩や、卒業生一緒になって、いつか実現できたらと考えています。こうご期待。


静大棚田研究会による『上倉沢棚田だより』〜2015年3月〜

■棚けん主催の「せんがまち お月見コンサート」その後……
〜未来の棚田を担う子どもたち〜


そして次の活動ですが、みなさまは「お月見コンサート」覚えていますでしょうか。棚田だより9月号にも書かせていただきましたが、河城小学校5.6年生と共同で開催した「棚田でお月見をしながらコンサートをしよう!」という趣で開催したイベント。それがお月見コンサートです。
《◆2014年9月のレポート。『満員御礼! 500人の来場者が盛り上がった、お月見コンサート開催』http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1377498.html

今回、その時に一緒に活動をした河城小学校5年生の感謝の会にご招待されました!
当日は、5年生のみんながお世話になった人たちにおもてなしをしてくれました。棚けん以外にも5年生に英語を教えていた先生が参加してくれ、みんなで一緒にクイズを楽しんだり、大学生顔負けのパワーポイントを使った発表を披露してくれる盛りだくさんな内容でした。
ちなみにこのパワポの発表では、5年生がお世話になったことをスライドで振り返ってくれました。「自分たちが何を教えてもらって、何を学ぶことが出来たのか」を写真とアニメーションを効果的に使って伝えてくれました。僕たち棚けんには、「お月見コンサートで過ごした楽しい思い出と、イベントを作る楽しさを教えてもらいました」と言ってもらえました( ;∀;)。正直あの当時はがむしゃらにお月見コンサートを成功させる!と思ってやっていたので、「小学生が楽しめていることをやれているのだろうか…?」と今更ながら不安に思うところがあったのですが、巡り巡って、小学生のみんなも楽しんでもらえたことがとても嬉しかったです。

最後には、お月見コンサートで披露してくれた御神楽のダンスや中島みゆきの「ヘッドライト テールライト」の合唱などもしてくれて、あの時の感動を思い出し、少し感傷に浸ってしまいました…。


静大棚田研究会による『上倉沢棚田だより』〜2015年3月〜
▲僕たちの顔を覚えてくれていた子どもたちもいました。大きくなっても上倉沢の棚田に関わってくれることを願って、農業の今を伝えていきたいです。

今月の活動では、大学交流会で様々な大学とお話をして多くの刺激をもらえ、お月見コンサート感謝の会にて、活動への活力をもらえました。棚けんの活動の魅力は、こういったところにも多く詰まっていると思います。メインの棚田保全活動といった農作業だけでなく、今回は小学校、大学等で行ったような、棚田の外で得られる経験はかけがえのないものになっているなあと実感しています。例えば、サトウキビの刈り方や砂糖のでき方・小学生との上手なかかわり方などの具体的な知識から、沖縄国際通りの歩き方・沖縄への交通費を少しでも安くする方法などの今後役に立つのかどうかわからない知識まで、ガッツリ勉強を出来て、とても充実した経験になりました。

5月23日(土)からは3週連続で、「代掻き作業日」・「田植え作業日」・「棚田ライトアップイベント あぜ道アート」と活動が続きます。
まだまだ棚けんは猛スピードで駆け抜けていく予定です。よろしくお願いします(^_^)/




静大棚田研究会による『上倉沢棚田だより』〜2015年3月〜

◉静岡大学 棚田研究会の礎
2009年当時、農学部共生バイオサイエンス学科だった学生3名が設立。棚田を保全・活用する農家の減少が背景にあり、一時は失われる直前だった棚田の風景を取り戻すため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方たちとともに活動を行っている。主な活動内容は、復田、田植え、草刈り、稲刈り。また、棚田市場や静大祭において、棚田で収穫した作物を使いオリジナルフードを販売。皮はもっちり、ほのかな甘みが絶妙な「古代米たい焼き」は、棚けんイチオシメニューです!
「しず大棚けん」ブログ→ http://www.tanada1504.net/tanaken/


◉主な活動内容
私たちは、静岡県菊川市上倉沢の美しい棚田の景観を守るため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方と連携して、日本の原風景である棚田の保全活動の支援を行っています。この上倉沢の棚田は別名「千框(せんがまち)」と呼ばれています。NPO法人せんがまち棚田倶楽部は棚田オーナー制度に取り組んでおり、オーナーのみなさんと月に1回、せんがまちで農作業を行っています。私たちはNPOのみなさんと共に、インストラクターとしてオーナーのみなさんのサポートをしながら農作業をし、交流を行っています。他にも棚けんは、青空農園での活動も行っています。この青空農園は、もともと棚田だった土地が耕作放棄され田んぼとして利用できなくなった場所を農園として利用しており、様々な作物を育てています。これまでにサツマイモ、ニンニク、カボチャなどを育てました。私たちはこのように棚田保全と青空農園での営農を主に取り組んでいます。


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