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静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(5)〜

静岡大学棚田研究会による、毎月連載の棚田レポート(5)
2009年より、上倉沢の棚田で保全・支援活動を行っている【静岡大学 棚田研究会】のみなさん。"棚けん"という愛称でも親しまれている棚田研究会は設立当時より、「棚田の保全のために何ができるか」を考え続けています。上倉沢の現場でどんな活動をしているのか。棚田の保全を通じて、静岡県の農業、風景をも考える企画。棚田研究会による、月1レポート「棚田だより」。たまにはコンクリートのまちから離れて、静岡県の"原風景"と"農業"に触れてみませんか。

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みなさんこんにちは。静岡大学農学部環境森林科学科2年の太田和晃です。

静岡県の原風景を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(5)〜

僕たちは菊川市上倉沢にある千框と呼ばれる棚田で、地元のNPO法人「せんがまち棚田倶楽部」の皆さんと協力し、棚田の保全活動を行っています。
保全活動以外にも、

・放棄された棚田を畑として再利用しようと奮闘している営農活動
・棚田内の生き物が住み着くビオトープを作る活動

などにも、取り組んでおります。
僕が棚けんに入部したきっかけは、「せっかく大学に来たんだし、高校ではできないようなサークルで大学生活を過ごしてみよう」と思ったのが始まり。棚けん内ではビオトープ班に所属しつつ、広報班でも活動しております。



◆上倉沢棚田9月の活動レポート
9月は中秋の名月。お月見コンサート開催!


僕たちは、9月の初旬に百選の棚田「中山千枚田」を訪れました。香川県の小豆島までの合宿旅行です。中山千枚田は、僕たちが活動している千框よりも棚田の数や広さが桁違いで圧巻の光景が広がっており、千框とは違う棚田のあり方に大きな刺激を受けました。この合宿を通して、部員との仲もかなり深まったと思います。特に1年生は、入部してくれた人数が多かったので、あまり1人1人の子たちと話をする機会がなく、この合宿で、どんな思いで棚けんに入ってくれたのかとか、どんな子なのかを知ることが出来て、そういう面でも実りの多い合宿だったと思います。

静岡県の原風景を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(5)〜
▲「中山千枚田」です。合宿では、地元の方達とも交流できました。

そして9月の活動の中でも一番の活動は、13日に行われた【お月見コンサート】です。

お月見コンサートは、昨年に地元の河城小学校の6年生の希望で始まりました。
地元の音楽団体や静岡大学の音楽サークルなどを誘致して、夜の棚田でコンサートを行うといった小学生と大学生の共催イベントです。このイベントは、小学生に楽しんでいただくということはもちろんのこと、保護者の方々が小学生の出演を見に行くついでや、主演団体の関係者が団体の演奏の時に見に来るついででもいいので、棚田のことを少しでも知ってもらいたいという背景があります。僕は棚けんの活動の経験を積むという意味合いも兼ねて、実行委員長として立候補しました。
ですので今回は、コンサート企画立ち上げから実行までの舞台裏をお話したいと思います。


◆ひとつのイベントを実行するのはとても難儀。
そんなときに支えになった、小学生の力。


静岡県の原風景を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(5)〜
▲小学生とのミーティング。意見がひっきりなしにでてきます。

コンサートの準備は2か月前の7月ごろから始まりました。
最初は小学生が『どんなお月見コンサートにしていきたいか』の意見を出し、大学生が可能そうな意見の企画から実行計画まで考えるところから始まりました。そして、計画が決まれば協力し合いながら準備を進めていきました。例えば小学生には、お月見コンサートのテーマで絵を描いてもらったりして、大学生はその絵を利用して手作りのうちわを製作しました。もちろん、うちわを作成しようという意見は、小学生が出してくれたものです。
こうした小学生との交流は、準備の段階から多々ありました。こうやって小学生と共同でイベントを運営していくことが、棚田のことを覚えてもらうことにつながり、将来的に棚田保全に少しでも関心を持ってもらえるようになればいいなと思います。欲を言えば、将来の棚けんの一員になってくれる子も、生まれてくれたらとてもうれしいです。


出演団体の決定と依頼もこの時期から始まりました。出演団体の多くは昨年出演していただいた団体をもう一度お誘いする形でしたが、今年は新たに金谷高校書道部と常葉菊川高校吹奏楽部の高校生をお誘いしました。吹奏楽部は、昨年度顧問の先生が偶然コンサートを見に来ていただいて、その縁で出演にしていただく形になりましたが、書道部の皆様は、全く無縁の状態から依頼する形に…。千框や棚けんの活動の紹介からイベントの詳細説明まですべて説明をして、出演して頂く形になりました。各出演団体には、電話やメールで連絡を取り合い、コンサートの連絡事項をお伝えしていきましたが、失礼のない内容にするにはどのようにメールを書けばいいのか、資料をどのように作れば、団体の方々に連絡事項をわかりやすくお伝えできるのかなどなど、試行錯誤の毎日でした。

◆のべ500人のお客さんが来場した、大盛りあがりのコンサート!

そしていよいよやってきた当日は、作成した手作りうちわや大学祭でおなじみの棚けん手作りたい焼きを配布したり、小学生と大学生が共同で司会をしたりなど、来場者の方々の記憶に残るような様々なことを行いました。また、NPOの方々が、ステージを組み立ててくださったり、この日のためにLEDライトを購入して、棚田をライトアップしてくださったりして、コンサートの会場を彩ってくださりました。そこに出演団体の皆様のすばらしい演奏が加わり、今年のお月見コンサートは、昨年を上回る盛況でした。
特に小学生の御神楽と呼ばれる踊りは迫力満点で小学生とは思えないクオリティの高さで驚き、合唱では小学生が一生懸命歌っている姿には、とても感動しました。準備の段階から思っていたことでしたが、小学生は制御するのは大変ですが、1つにまとまった時のエネルギーは計り知れないものがあり、その小さい体にどれだけの力を持っているんだと驚かされることが多々ありました。

静岡県の原風景を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(5)〜

静岡県の原風景を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(5)〜

静岡県の原風景を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(5)〜

静岡県の原風景を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(5)〜

コンサートが閉演してからしばらくは、無事に終わってくれたことにとてもほっとしていました。
実は、お月見コンサートは昨年からの開催というまだまだ浅い歴史のイベントのため手探りなところが多々あり、何もないところからイベントを完成させる作業だったんです。大学では教えられないことばかりを突きつけられる毎日で、昨年主催をした先輩と相談をし続ける毎日でした。
だからこそコンサートを成功させることができたのは、棚けん部員と一緒に頑張れたことがとても大きかったと思います。それまで部員に、どのレベルの仕事までをお任せしていいのか、よくわからず仕事をうまく回せていなかったのですが、当日の部員の皆さんの臨機応変に働いてくれる姿に、部員を信頼しきれていなかった自分をとても恥ずかしく思いました。

また、大変な中でもたくさんの大人(特にNPOの方々や、河城小学校の先生方)がサポートに回って支えてくれたことが力になりました。こういった人たちの協力がなければ、コンサートを無事終えることは不可能でした。なので今では、大変だったなという気持ちよりも、関わってくださった人達への感謝の気持ちでいっぱいです。
そして、このイベントを終えてたくさんの反省するべきことが露呈したのも事実でした。この反省を生かして、今後の僕が棚けんで活動する際に、円滑に進めることが出来るようになればいいなと思います。そして、来年のお月見コンサートは、更にステップアップしたイベントにできるように、努力したいと思っています。

静岡県の原風景を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(5)〜

今月10月11日(土)は、いよいよ稲刈りを行います。棚けんの活動の中でも、1.2を争うメインの活動です。機械に頼らず、手刈りで収穫するので、大変な作業になることが予想されますが、頑張って行っていきたいと思います。次回の投稿をお楽しみに!


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■棚田研究会とは?

静岡県の原風景を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(5)〜

2009年当時、農学部共生バイオサイエンス学科だった学生3名が設立。棚田を保全・活用する農家の減少が背景にあり、一時は失われる直前だった棚田の風景を取り戻すため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽」の方たちとともに活動を行っている。
主な活動内容は、復田、田植え、草刈り、稲刈り。また、棚田市場や静大祭において、棚田で収穫した作物を使いオリジナルフードを販売。皮はもっちり、ほのかな甘みが絶妙な「古代米たい焼き」は、棚けんイチオシメニューです!

●静岡大学 棚田研究会 「しず大棚けん」ブログ→ http://www.tanada1504.net/tanaken/

●シズオカガクセイ的新聞連載  「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(1)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1306646.html
●シズオカガクセイ的新聞連載  「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(2)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1319781.html
●シズオカガクセイ的新聞連載  「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(3)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1354838.html
●シズオカガクセイ的新聞連載  「静岡県の"原風景"を探しに〜静岡大学棚田研究会 棚田だより(4)〜」→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1363484.html

■主な活動内容

私たちは、静岡県菊川市上倉沢の美しい棚田の景観を守るため、「NPO法人せんがまち棚田倶楽部」の方と連携して、日本の原風景である棚田の保全活動の支援を行っています。この上倉沢の棚田は別名「千框(せんがまち)」と呼ばれています。NPO法人せんがまち棚田倶楽部は棚田オーナー制度に取り組んでおり、オーナーのみなさんと月に1回、せんがまちで農作業を行っています。私たちはNPOのみなさんと共に、インストラクターとしてオーナー(※1)のみなさんのサポートをしながら農作業をし、交流を行っています。他にも棚けんは、青空農園での活動も行っています。この青空農園は、もともと棚田だった土地が耕作放棄され田んぼとして利用できなくなった場所を農園として利用しており、様々な作物を育てています。これまでにサツマイモ、ニンニク、カボチャなどを育てました。私たちはこのように棚田保全と青空農園での営農を主に取り組んでいます。

※1:オーナー制度
NPO法人せんがまち棚田倶楽部が取り組む制度。支援金を払った一般の方がオーナーになり、棚田での農業体験、また棚田で育てた米等の収穫物を持ち帰ることができる。


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