特集
ワークの掟【その3】〜社会の仕組みを知って、ブラックを回避せよ〜
ワークの掟(その3)〜社会の仕組みを知って、ブラックを回避せよ〜
私たちが将来、生きがいをもって働くために今しっておきたい社会のルール。デキる社会人の常識、嗜み、後輩への助言(警告を含む)を先取りで学んでいく〈ワークの掟〉シリーズ第3弾です。今回は、一般社団法人ワークルールの理事をつとめている由比藤準治さんに、”ワークルールで見抜く社会の仕組み”を教えてもらいました。「この職場で良かった」と心から思える環境で働くための早道は、自分をとりまく社会や企業の仕組みを知っておくこと。現在、ブラックと言われる企業が表面化してきましたが、その外的要因とは何か、またブラック企業を回避するためには自分がどんな知識をもっていればいいか? 私たちに必要な、社会的モラルも学べます!
(前回記事「ワークルール史の分岐点を探せ!」)→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1474215.html

■由比藤準治(ゆいとうじゅんじ)さん〈写真:左〉
一般社団法人ワークルール理事。
手にもつ「青い本」は、労働法をわかりやすく解説した内容が掲載されている冊子「知っておきたい ワークル—ルの基礎知識」。
10万部発行しており、セミナーや高校や大学などの教育機関で入手することができる。
[聞き手]
■山口奈那子(やまぐちななこ) 〈写真:右〉
常葉大学外国語学部4年。6月1日に発行された静岡時代【最新号】、6月号(vol.39)の編集長。
本人は現在就職活動中!
---------------------------------------
【一般社団法人ワークルール】
2014年4月1日設立。
大学生、専門・専修学校生、高校生などの若者に対し、
社会で働く上で必要な、ワークルールの基礎、多様な働き方の情報を身につける機会を提供している。
県内外問わず、大学、高校生を対象にワークルールの出張講座も開講。
また、労働法がわかりやすく解説した冊子『知っておきたい ワークルールの基礎知識』(通称:青い本)は、現在静岡県版と全国版が発行されている。キャリア支援関係者の他、大学・高校生のあいだで好評を得ている。
http://www.workrule.jp

■「企業は人なり」は変わったのか?
(静岡時代)優良企業やブラック企業はどのように判断できるのですか?
(由比藤さん)「企業は人なり」と言うように、企業の善し悪しの判断基準は、人を大事にしてくれるかどうかだと思います。
リーマンショック以降、企業は余裕をもった採用を控えるようになり、最小限の社員で仕事を回すところが増えました。その結果、一人の社員にかかる負担が多くなり、ブラックと言われるような長時間労働も増えてしまったんですね。
とはいえ、今はネットで見るようにブラック企業が多いのかというと、そうとも言い切れません。残業代を全く支払わないような悪質なケースばかりがニュースで報道されるので誤解を招きがちです。でも、過労死に繋がるような働き方をさせる100%ブラックな会社はごく一部で、いわばグレーといった会社が多いのかもしれません。
静岡労働局の調査によると昨年度、静岡県内を調査した結果、なんらかの労働法違反のあった会社は約6割でした。ただし、この6割の違反の中には、単なる書類ミスなど、直接労働者に関係ないものも含むので、違反=ブラックと決めつけないほうが良いと思います。もちろん法違反はダメなんですが。

(静岡時代)回避するポイントとは?
(由比藤さん) 押さえたいポイントは三つです。一つは、自分がどういう労働条件で働くのかをきちんと確認することです。例えば、求人票に書かれている給料には、残業時間の30〜40時間分が既に入っていることがあります。
二つ目は、離職者数や離職状況を確認することです。今年から大卒向けのハローワーク関連の求人には、過去3年の離職者数を明記することが義務付けられました。離職率の場合、一人が入社して一人辞めたら100%になるので、離職率よりも離職者数や離職状況を把握することが重要です。辞めた理由までは記載されないので真相は分かりませんが、人の定着率が悪い会社は気を付けたほうがいいですね。
三つ目は、相談できる場をもっておくことです。キャリアセンターや家族、社会経験のある人に聞くと、解決も早いでしょう。そして職場の環境を知るには、インターンシップやOB・OG訪問など本音で語り合える場が一番です。説明会で人事の人に、いきなり有給休暇や残業時間数などは聞きにくいと思いますし、実際会社に入ってみなければ分からない部分が多いですから。
働くときの決まり(ワークルール)を知っていれば単なる情報も自分を守るための判断材料になる。労働法令に関わる仕事に約25年携わった由比藤準治さんによると(※ 過去7回の転職経験有)残業代を全く支払わないような悪質な違反を除けば、ブラック企業の定義は人により異なるそうです。ブラック企業回避のためにはどうすればいいか。そのポイントを3つ、ご紹介!
一、
会社のルールは事前に確認することが大切です。お金にかかわることなどトラブルになりやすい内容は書面(労働条件通知書など)で確認することが大事です。
二、
離職率には自己都合で辞めている場合もあり内容まで把握できません。「毎年5人入社して5人が辞める」など離職者数や離職状況を把握する方が現実的。年齢が異常に若い会社は人の定着率が悪い可能性あり。社員構成も確認!
三、
一人で悩んでいても解決はできません。友人やOB・OG・会社の先輩など身近な人、またはキャリアセンター・行政機関などに相談することもできます。早く相談すればするほど、問題解決への早道となります。

■職に就いたのか、会社に就いたのか
ブラック回避といっても、何がブラックなのかは人によって違います。自分の将来のビジョンと働き方がうまくマッチングできれば、もし労働時間が長く、みんなからブラック企業だと思われていても、本人にとっては優良企業なのかもしれません。
今の時代は「就職」ではなく「就社」の風潮があり、いかに大手企業に就職できるかが重要視される時代です。大切なのは、会社の規模・名前にこだわらず、たとえ無名な中小企業でも自分がしたい働き方を選ぶことです。また、自分にまだ経験や技術がないのに、権利ばかりを主張するだけの社会人はどうでしょうか? 私が社会人になった頃、上司から「給料の3倍、いや5倍稼いでこそ一人前」と言われましたが、今ならその言葉も納得できます。自分自身が会社に貢献せず権利だけ主張するのは、ただのワガママです。企業から見れば「ブラック社員」と言われるかもしれません。
ワークルールは一生ものです。働くということは人間にとって切り離せるものではなく、気持ちよく働けないのは非常に不幸なことです。自分が気持ちよく働くためにも、常に変わりゆくワークルールを自分で押さえていくことが大切です。(取材・文/山口奈那子)
〈ワークの掟〉シリーズ記事
私たちが将来、生きがいをもって働くために今しっておきたい社会のルール。デキる社会人の常識、嗜み、後輩への助言(警告を含む)を先取りで学んでいく〈ワークの掟〉シリーズ第3弾です。今回は、一般社団法人ワークルールの理事をつとめている由比藤準治さんに、”ワークルールで見抜く社会の仕組み”を教えてもらいました。「この職場で良かった」と心から思える環境で働くための早道は、自分をとりまく社会や企業の仕組みを知っておくこと。現在、ブラックと言われる企業が表面化してきましたが、その外的要因とは何か、またブラック企業を回避するためには自分がどんな知識をもっていればいいか? 私たちに必要な、社会的モラルも学べます!
(前回記事「ワークルール史の分岐点を探せ!」)→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1474215.html

■由比藤準治(ゆいとうじゅんじ)さん〈写真:左〉
一般社団法人ワークルール理事。
手にもつ「青い本」は、労働法をわかりやすく解説した内容が掲載されている冊子「知っておきたい ワークル—ルの基礎知識」。
10万部発行しており、セミナーや高校や大学などの教育機関で入手することができる。
[聞き手]
■山口奈那子(やまぐちななこ) 〈写真:右〉
常葉大学外国語学部4年。6月1日に発行された静岡時代【最新号】、6月号(vol.39)の編集長。
本人は現在就職活動中!
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【一般社団法人ワークルール】
2014年4月1日設立。
大学生、専門・専修学校生、高校生などの若者に対し、
社会で働く上で必要な、ワークルールの基礎、多様な働き方の情報を身につける機会を提供している。
県内外問わず、大学、高校生を対象にワークルールの出張講座も開講。
また、労働法がわかりやすく解説した冊子『知っておきたい ワークルールの基礎知識』(通称:青い本)は、現在静岡県版と全国版が発行されている。キャリア支援関係者の他、大学・高校生のあいだで好評を得ている。
http://www.workrule.jp

■「企業は人なり」は変わったのか?
(静岡時代)優良企業やブラック企業はどのように判断できるのですか?
(由比藤さん)「企業は人なり」と言うように、企業の善し悪しの判断基準は、人を大事にしてくれるかどうかだと思います。
リーマンショック以降、企業は余裕をもった採用を控えるようになり、最小限の社員で仕事を回すところが増えました。その結果、一人の社員にかかる負担が多くなり、ブラックと言われるような長時間労働も増えてしまったんですね。
とはいえ、今はネットで見るようにブラック企業が多いのかというと、そうとも言い切れません。残業代を全く支払わないような悪質なケースばかりがニュースで報道されるので誤解を招きがちです。でも、過労死に繋がるような働き方をさせる100%ブラックな会社はごく一部で、いわばグレーといった会社が多いのかもしれません。
静岡労働局の調査によると昨年度、静岡県内を調査した結果、なんらかの労働法違反のあった会社は約6割でした。ただし、この6割の違反の中には、単なる書類ミスなど、直接労働者に関係ないものも含むので、違反=ブラックと決めつけないほうが良いと思います。もちろん法違反はダメなんですが。

(静岡時代)回避するポイントとは?
(由比藤さん) 押さえたいポイントは三つです。一つは、自分がどういう労働条件で働くのかをきちんと確認することです。例えば、求人票に書かれている給料には、残業時間の30〜40時間分が既に入っていることがあります。
二つ目は、離職者数や離職状況を確認することです。今年から大卒向けのハローワーク関連の求人には、過去3年の離職者数を明記することが義務付けられました。離職率の場合、一人が入社して一人辞めたら100%になるので、離職率よりも離職者数や離職状況を把握することが重要です。辞めた理由までは記載されないので真相は分かりませんが、人の定着率が悪い会社は気を付けたほうがいいですね。
三つ目は、相談できる場をもっておくことです。キャリアセンターや家族、社会経験のある人に聞くと、解決も早いでしょう。そして職場の環境を知るには、インターンシップやOB・OG訪問など本音で語り合える場が一番です。説明会で人事の人に、いきなり有給休暇や残業時間数などは聞きにくいと思いますし、実際会社に入ってみなければ分からない部分が多いですから。
由比藤さん直伝! ブラック回避の三箇条
働くときの決まり(ワークルール)を知っていれば単なる情報も自分を守るための判断材料になる。労働法令に関わる仕事に約25年携わった由比藤準治さんによると(※ 過去7回の転職経験有)残業代を全く支払わないような悪質な違反を除けば、ブラック企業の定義は人により異なるそうです。ブラック企業回避のためにはどうすればいいか。そのポイントを3つ、ご紹介!
一、
会社のルールは事前に確認することが大切です。お金にかかわることなどトラブルになりやすい内容は書面(労働条件通知書など)で確認することが大事です。
二、
離職率には自己都合で辞めている場合もあり内容まで把握できません。「毎年5人入社して5人が辞める」など離職者数や離職状況を把握する方が現実的。年齢が異常に若い会社は人の定着率が悪い可能性あり。社員構成も確認!
三、
一人で悩んでいても解決はできません。友人やOB・OG・会社の先輩など身近な人、またはキャリアセンター・行政機関などに相談することもできます。早く相談すればするほど、問題解決への早道となります。

■職に就いたのか、会社に就いたのか
ブラック回避といっても、何がブラックなのかは人によって違います。自分の将来のビジョンと働き方がうまくマッチングできれば、もし労働時間が長く、みんなからブラック企業だと思われていても、本人にとっては優良企業なのかもしれません。
今の時代は「就職」ではなく「就社」の風潮があり、いかに大手企業に就職できるかが重要視される時代です。大切なのは、会社の規模・名前にこだわらず、たとえ無名な中小企業でも自分がしたい働き方を選ぶことです。また、自分にまだ経験や技術がないのに、権利ばかりを主張するだけの社会人はどうでしょうか? 私が社会人になった頃、上司から「給料の3倍、いや5倍稼いでこそ一人前」と言われましたが、今ならその言葉も納得できます。自分自身が会社に貢献せず権利だけ主張するのは、ただのワガママです。企業から見れば「ブラック社員」と言われるかもしれません。
ワークルールは一生ものです。働くということは人間にとって切り離せるものではなく、気持ちよく働けないのは非常に不幸なことです。自分が気持ちよく働くためにも、常に変わりゆくワークルールを自分で押さえていくことが大切です。(取材・文/山口奈那子)
〈ワークの掟〉シリーズ記事
(1)先輩に学ぶルールの必要性: http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1474140.html
(2)ワークルール史の分岐点を探せ!:http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1474215.html
(2)ワークルール史の分岐点を探せ!:http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1474215.html
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使われるかもしれない“いつか”のためにアーカイブする〜静岡時代42号「静岡時代の未来予測」より
Updated:2015年06月12日 特集