特集
今開かれる、静岡パンドラの箱!〜静岡時代12号『静岡魔界探訪』より
「静岡」というと、穏やかで、食べ物を美味しく、のんびりした「平和」なイメージが多い中、果たして本当にそうなのか。マス・コミュニケーション論の専門であり、大学在学中から日本の山岳地帯を放浪した経験をもつ赤尾晃一先生(静岡大学情報学部 准教授)と、静岡の「魔界」な一面を問い直しました。

◉赤尾 晃一(あかお こういち)先生
静岡大学 情報学部准教授。
1958年、滋賀県生まれ。同志社大学在学中から日本の山岳地帯を放浪。一方、SF同人で創作・評論活動も行う。口裂け女・UFOなどの「都市伝説」伝播過程も研究。先行はマス・コミュニケーション論。
http://redtail2730.hamazo.tv
◉鈴木 智子(すずき ともこ)
静岡時代12号巻頭特集「静岡魔界探訪」編集長。
■今開かれる、静岡パンドラの箱!
ーー先生、静岡は魔界といってもいいのでしょうか?
(赤尾先生)うん。やっぱ地理的条件が特殊だよね。中国的な話だけど、北・東・西と三方が山で、真ん中にパワースポットの湖があって、それが川に流れて海に注ぐ。そして三方にはそれぞれ門を作って。こういう地が風水的に最もいいとされているのね。実は魔界の侵入を防ぐのが風水なんだよね。魔界とこの世を隔離するために、風水があるんだよ。
で、昔からよく言われるのは、静岡市がまさに風水なんだよね。三方が山に囲まれてるでしょ。安倍川とかも流れてて、で、まあ湖ではないんだけど、駿府城、これを湖にしたのね、徳川家康は。で、そっから駿河湾に注ぐみたいな形。駿府城建てた頃って、戦国末期なんで、あんまり防御とか城の戦闘機能を考えなくてよかったんだよね。だから風水に基づいて建てられたっていう。
ーーへえ……じゃあ西に位置する大崩も役割が?
(赤尾先生)そう。大崩だと昔はここで完全に遮断されてるわけじゃん。で、東に何をおくのかっていうと、久能山東照宮。静岡の街って、ホントきちっと風水学的に計算されてつくられてるんだよ。ということは、いかに周りに魔界が潜んでいるかっていうこと(笑)。あと、今度は風水ではなくて、大きな結界の話になるんだけど。静岡には浜名湖、富士山、伊豆半島、南アルプスがあって、で、駿河湾があって、いわゆるそれらが他の地域からの結界になってるでしょ?
ーー結界……(笑)
(赤尾先生)結界というのは、魔界とこの世を暫定的に隔てるものなんだよ。暫定的に(笑)。で、事情を知らない人の侵入を防ぐ。だから静岡っていう土地は陸路でなかなか入りにくいんだよ。
ーー地震がきて崩れると、交通面で非常に困るとよく聞くんですが。
(赤尾先生)そうそう、だから一番のネックっていうのがあってですね、由比。ここに国一・東名・東海道線、ホントに集中してるわけね。もしあそこで崖崩れが起こってこれが全部使えなくなると、はっきり言って日本の東西交通って中央道迂回しなきゃなんで。
ーー終わりですね。
(赤尾先生)そう。ホントは由比の手前の清水・興津あたりで迂回路をつくんなきゃなんだけど、つくられてない。あと富士川もそうなんだよ。第二のネックは。どっちがやられてもそれだけでだめなんだよね。浜名湖、ここもそうなんだよね、全部集中してるからね。だけどまあ、浜名湖は多少迂回路があるんで。由比町は一点集中なんで、ここがもしやられたら、東京からの支援物資はヘリコプター以外搬送不可能。で、浜名湖も切れたら、愛知県からのも(笑)。どっかの交通を遮断してしまえば孤立してしまうってのは、魔界の特徴なんだよね。

△当巻頭特集内では、静岡時代が独自に調査・編集した「魔界静岡入門マップ」も掲載。
■実録! センセイと魔の遭遇
ーーところで、先生は静岡の激ヤバスポットって何かご存知ですか?
(赤尾先生)僕、フリーの新聞記者の時にオウム真理教の取材してて、上九一色村にすごい魔を感じて、今はもうないけど、資金が続かなくなって途中まで建てて放置されているホテルとか、結構魔のスポット(笑)。足場は全部残ってて、今にも工事に関わっている人がやってきそうな雰囲気でそのまま残ってたのね。あと96年以降、ガリバー王国っていうのを作って、でも……。
ーー終わっちゃいましたね。
(赤尾先生)そう。で、巨大ガリバーがそこに放置されててさ(笑)。あとは、厳密に言えば静岡ではないんだけど、青木ヶ原樹海。アレやっぱ魔界ですよ。青木ヶ原樹海って自動車通ってるのね。樹海を突っ切って。それで、どっか自殺地帯はないのかって思って行ったことあるんだよね。確かにね、コンパス途中できかなくなる。すいこまれるよ、実際ね。ま、でも富士山一帯っていっぱいあるよね。
ーーやっぱり富士山が強いんですか?
(赤尾先生)富士山強いし、あと西では遠州灘海岸が強いんですよ。駿河湾て黒潮が沖合10キロくらいに流れてるから流れが速くて灘岸流がすごいんだけど、特に遠州灘は灘岸流だらけ。灘岸流って一旦海底に引きずり込まれるんだよ。まあ、いわゆる殺人海岸。ま、駿河湾自体が魔の海抜だよ。一見豊かそうに見えるんだけど。
ーー殺人海岸……(笑)。実はおとなしくないんですね。
(赤尾先生)全然おとなしくないよね。
ーーあと私、何年かに一回、水が溜まる池があるって聞いたんですけど。
(赤尾先生)それは多分、水窪町の杉林のとこだと思うんだけど。別に何年かに一回ってわけではないと思うんだけど、結局雨が多い時、だけでもないんだけど、要するに地下水流があって、森林に蓄えられている地下水の水位が上昇すると池になるって単純な。当然、窪地で普段は水がないんだけど、ま、湿地帯ではあるんだよね、ぬかるんでる。見に行きましたよ、だからそれは(笑)。
ーーさすがです!どうですか?雰囲気とかは。
(赤尾先生)ああ、それはやっぱり、まあ霊的ではあるよね。森の中の窪地って、もともとすごい霊的なんですよ。
ーーなるほど。伊豆の方はどうですか?
(赤尾先生)伊豆は結構あるよ。伊豆はね、日本的怨念の世界。やっぱね、旧天城トンネルってヤバいっすよ。天城山って標高800mちょいあって、まあ寒い。僕、全然霊的体質じゃないもんでよくわかんないんだけど、単に寒かったって思ってるんだけど、トンネルの真ん中ぐらいに行ったらさあ、歯がカチカチ言い出して(笑)。体が震えてくるのね、それでなんか後ろ見るのが怖くなって……。いわゆるダッシュ。
ーーダッシュ……(笑)
(赤尾先生)ダッシュしたら今度舌噛みそうになって、しょうがないから首から提げてたタオル噛んで、舌噛み切らないようにさ(笑)

■UFOよ、政権奪取の日はいつかくるのか!?
ーー先生、伊豆はUFOの目撃情報が多いと聞いたんですが……。
(赤尾先生)伊豆っていうか富士山。UFO研究会に言わせると、UFOは地球にどんな危機が訪れているのかを偵察に来るんだって。そう考えると、日本の地殻の動きを偵察するなら、プレートが集まってる伊豆・富士山の地殻を見るのが一番じゃん。
ーーなるほど。先生はUFO見たことありますか?
(赤尾先生)あるといえばあるし、ないといえばない。友達は、あれがUFOだって言うけど、僕には見えなかった。
ーーあ、それは信じてないから?
(赤尾先生)多分そうだと思う。4人で、山でUFO呼んだんだよ(笑)
ーーえ?どういう感じで呼んだんですか?
(赤尾先生)その時は4人で丸くなって、いろいろと呪文を唱えると……
ーー呪文ですか?その呪文はどこから……。
(赤尾先生)や、だから『ムー』(※出版社:学研プラス)だよ。UFO呼ぶ呪文。で、俺以外の3人は見えたって。あれがUFOだって言うわけ。でも、俺には指差されても星にしか見えなかったね。むっちゃ真面目な話していい?
ーーあ、はい……。
(赤尾先生)むっちゃ真面目な話すると、UFOって、あれは集団幻視。4人で行ってるのに僕だけ見えないように、他の3人はUFO信じてるわけだよ。すると幻が見えるわけだよ。存在を疑ってる人間には絶対見えない。で、70年代、80年代はものすごく目撃情報が多かったわけだよ。それはそんだけUFO信じてるから。当時はUFOがいてくれる、宇宙の中で生命のある星は地球だけではない、仲間がいるんだmと信じてた時代だった。でも平成に変わってあんまりUFO信じなくなって、かわりに何を信じてるかっていうと、前世だとか守護霊だとか。
ーーあ、流行りの……?
(赤尾先生)そう。オーラの泉。今ほとんどみんな信じてるわけよ。私はなんとかの生まれ変わり、とかさ(笑)。そっちにいったんだよ、スピリチュアルな方向が。なので、今UFOはオカルティズムの中ではマイナー。当時は科学がまだ信じられたんだよね。UFOみたいな未確認飛行物体ってのが。科学の延長線上にありうるって信じられてた。今はそんな科学の輝かしい未来って、なかなか信じないじゃない。だから得体のしれない霊の世界という風に、中性的な要素に戻ってしまった。科学的なオカルティズムから、伝統的なオカルティズムに転機っていうね。
ーーあるんですね、時代の流れで見方が変わっちゃうって。
■魔界が映し出す、我々の姿とは……?
ーー先生にとって、魔界ってどんなイメージですか?
(赤尾先生)僕、イメージって、魔界に対してないんだよね。要するに魔界って、さっきも言ったように別個に存在するんじゃなくて、この世と地続きにあると思うんで。魔界って、この世に生きてる我々が、怯えてる姿だと思うんだよね。魔界ってのは、明確に存在するんじゃなくて、例えば、あの人こないだ死んだよね、多分恨み残してるよね、恨み残してるから何か災いが、我々に降りかかってくるよね。という恐れ?で、それが結局、魔界・魔というものを作り出してしまっている。だからこれも、言ったように、集団幻視なんだよね。だと僕は思ってる。
ーーでは、先生のお考えでは、表裏ではないですけど、この世とそういう関係であるということですね。確かに人が考えたりしなければ生まれないですよね。
(赤尾先生)そうそう。できないできない。しかも、みんなが考えなければできないんだよね。特定の一人が、魔界が見えるって言っても、誰も同意してくれる人がいなかったら、何言ってんだ、って。でも、そういうのありうるかもねって賛同者がいたら、そうだよねって。いかにも信じやすい作り話を、作る人がいるわけじゃん(笑)。その、さっきの工事途中で放り出されたホテルとかじゃないけど、ああいうところに絶対怨霊がいるぜって、閉鎖病棟とか、いっぱい簡明な物語つくれるわけじゃん。で、それを信じる人、結構いるよね。
ーーもう魔界って言葉が、普通にあるものだと定着してるってことは、人類はほぼすべての人が、というか、
(赤尾先生)ま、だいたい信じてるんじゃない?(笑)

◎[あわせて読みたい!]静岡時代30号「静岡、異界の扉」シリーズ

(1)・静岡に潜む「異界」とは?〜静岡大学人文社会科学部 平野雅彦先生
http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1170601.html
(2)古の「魔」物語〜静岡文化芸術大学文化政策学部 美濃部京子先生
http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1205150.html
(3)異界の狭間を知り尽くす、古書店店主の異界巡礼〜あべの古書店店主 鈴木大治さん
http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1063474.html
(4)自分と他人の間に潜む、心理的な「魔」の世界〜静岡英和学院大学人間社会学部 日比優子先生
http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1205171.html

◉赤尾 晃一(あかお こういち)先生
静岡大学 情報学部准教授。
1958年、滋賀県生まれ。同志社大学在学中から日本の山岳地帯を放浪。一方、SF同人で創作・評論活動も行う。口裂け女・UFOなどの「都市伝説」伝播過程も研究。先行はマス・コミュニケーション論。
http://redtail2730.hamazo.tv
◉鈴木 智子(すずき ともこ)
静岡時代12号巻頭特集「静岡魔界探訪」編集長。
■今開かれる、静岡パンドラの箱!
ーー先生、静岡は魔界といってもいいのでしょうか?
(赤尾先生)うん。やっぱ地理的条件が特殊だよね。中国的な話だけど、北・東・西と三方が山で、真ん中にパワースポットの湖があって、それが川に流れて海に注ぐ。そして三方にはそれぞれ門を作って。こういう地が風水的に最もいいとされているのね。実は魔界の侵入を防ぐのが風水なんだよね。魔界とこの世を隔離するために、風水があるんだよ。
で、昔からよく言われるのは、静岡市がまさに風水なんだよね。三方が山に囲まれてるでしょ。安倍川とかも流れてて、で、まあ湖ではないんだけど、駿府城、これを湖にしたのね、徳川家康は。で、そっから駿河湾に注ぐみたいな形。駿府城建てた頃って、戦国末期なんで、あんまり防御とか城の戦闘機能を考えなくてよかったんだよね。だから風水に基づいて建てられたっていう。
ーーへえ……じゃあ西に位置する大崩も役割が?
(赤尾先生)そう。大崩だと昔はここで完全に遮断されてるわけじゃん。で、東に何をおくのかっていうと、久能山東照宮。静岡の街って、ホントきちっと風水学的に計算されてつくられてるんだよ。ということは、いかに周りに魔界が潜んでいるかっていうこと(笑)。あと、今度は風水ではなくて、大きな結界の話になるんだけど。静岡には浜名湖、富士山、伊豆半島、南アルプスがあって、で、駿河湾があって、いわゆるそれらが他の地域からの結界になってるでしょ?
ーー結界……(笑)
(赤尾先生)結界というのは、魔界とこの世を暫定的に隔てるものなんだよ。暫定的に(笑)。で、事情を知らない人の侵入を防ぐ。だから静岡っていう土地は陸路でなかなか入りにくいんだよ。
ーー地震がきて崩れると、交通面で非常に困るとよく聞くんですが。
(赤尾先生)そうそう、だから一番のネックっていうのがあってですね、由比。ここに国一・東名・東海道線、ホントに集中してるわけね。もしあそこで崖崩れが起こってこれが全部使えなくなると、はっきり言って日本の東西交通って中央道迂回しなきゃなんで。
ーー終わりですね。
(赤尾先生)そう。ホントは由比の手前の清水・興津あたりで迂回路をつくんなきゃなんだけど、つくられてない。あと富士川もそうなんだよ。第二のネックは。どっちがやられてもそれだけでだめなんだよね。浜名湖、ここもそうなんだよね、全部集中してるからね。だけどまあ、浜名湖は多少迂回路があるんで。由比町は一点集中なんで、ここがもしやられたら、東京からの支援物資はヘリコプター以外搬送不可能。で、浜名湖も切れたら、愛知県からのも(笑)。どっかの交通を遮断してしまえば孤立してしまうってのは、魔界の特徴なんだよね。

△当巻頭特集内では、静岡時代が独自に調査・編集した「魔界静岡入門マップ」も掲載。
■実録! センセイと魔の遭遇
ーーところで、先生は静岡の激ヤバスポットって何かご存知ですか?
(赤尾先生)僕、フリーの新聞記者の時にオウム真理教の取材してて、上九一色村にすごい魔を感じて、今はもうないけど、資金が続かなくなって途中まで建てて放置されているホテルとか、結構魔のスポット(笑)。足場は全部残ってて、今にも工事に関わっている人がやってきそうな雰囲気でそのまま残ってたのね。あと96年以降、ガリバー王国っていうのを作って、でも……。
ーー終わっちゃいましたね。
(赤尾先生)そう。で、巨大ガリバーがそこに放置されててさ(笑)。あとは、厳密に言えば静岡ではないんだけど、青木ヶ原樹海。アレやっぱ魔界ですよ。青木ヶ原樹海って自動車通ってるのね。樹海を突っ切って。それで、どっか自殺地帯はないのかって思って行ったことあるんだよね。確かにね、コンパス途中できかなくなる。すいこまれるよ、実際ね。ま、でも富士山一帯っていっぱいあるよね。
ーーやっぱり富士山が強いんですか?
(赤尾先生)富士山強いし、あと西では遠州灘海岸が強いんですよ。駿河湾て黒潮が沖合10キロくらいに流れてるから流れが速くて灘岸流がすごいんだけど、特に遠州灘は灘岸流だらけ。灘岸流って一旦海底に引きずり込まれるんだよ。まあ、いわゆる殺人海岸。ま、駿河湾自体が魔の海抜だよ。一見豊かそうに見えるんだけど。
ーー殺人海岸……(笑)。実はおとなしくないんですね。
(赤尾先生)全然おとなしくないよね。
ーーあと私、何年かに一回、水が溜まる池があるって聞いたんですけど。
(赤尾先生)それは多分、水窪町の杉林のとこだと思うんだけど。別に何年かに一回ってわけではないと思うんだけど、結局雨が多い時、だけでもないんだけど、要するに地下水流があって、森林に蓄えられている地下水の水位が上昇すると池になるって単純な。当然、窪地で普段は水がないんだけど、ま、湿地帯ではあるんだよね、ぬかるんでる。見に行きましたよ、だからそれは(笑)。
ーーさすがです!どうですか?雰囲気とかは。
(赤尾先生)ああ、それはやっぱり、まあ霊的ではあるよね。森の中の窪地って、もともとすごい霊的なんですよ。
ーーなるほど。伊豆の方はどうですか?
(赤尾先生)伊豆は結構あるよ。伊豆はね、日本的怨念の世界。やっぱね、旧天城トンネルってヤバいっすよ。天城山って標高800mちょいあって、まあ寒い。僕、全然霊的体質じゃないもんでよくわかんないんだけど、単に寒かったって思ってるんだけど、トンネルの真ん中ぐらいに行ったらさあ、歯がカチカチ言い出して(笑)。体が震えてくるのね、それでなんか後ろ見るのが怖くなって……。いわゆるダッシュ。
ーーダッシュ……(笑)
(赤尾先生)ダッシュしたら今度舌噛みそうになって、しょうがないから首から提げてたタオル噛んで、舌噛み切らないようにさ(笑)

■UFOよ、政権奪取の日はいつかくるのか!?
ーー先生、伊豆はUFOの目撃情報が多いと聞いたんですが……。
(赤尾先生)伊豆っていうか富士山。UFO研究会に言わせると、UFOは地球にどんな危機が訪れているのかを偵察に来るんだって。そう考えると、日本の地殻の動きを偵察するなら、プレートが集まってる伊豆・富士山の地殻を見るのが一番じゃん。
ーーなるほど。先生はUFO見たことありますか?
(赤尾先生)あるといえばあるし、ないといえばない。友達は、あれがUFOだって言うけど、僕には見えなかった。
ーーあ、それは信じてないから?
(赤尾先生)多分そうだと思う。4人で、山でUFO呼んだんだよ(笑)
ーーえ?どういう感じで呼んだんですか?
(赤尾先生)その時は4人で丸くなって、いろいろと呪文を唱えると……
ーー呪文ですか?その呪文はどこから……。
(赤尾先生)や、だから『ムー』(※出版社:学研プラス)だよ。UFO呼ぶ呪文。で、俺以外の3人は見えたって。あれがUFOだって言うわけ。でも、俺には指差されても星にしか見えなかったね。むっちゃ真面目な話していい?
ーーあ、はい……。
(赤尾先生)むっちゃ真面目な話すると、UFOって、あれは集団幻視。4人で行ってるのに僕だけ見えないように、他の3人はUFO信じてるわけだよ。すると幻が見えるわけだよ。存在を疑ってる人間には絶対見えない。で、70年代、80年代はものすごく目撃情報が多かったわけだよ。それはそんだけUFO信じてるから。当時はUFOがいてくれる、宇宙の中で生命のある星は地球だけではない、仲間がいるんだmと信じてた時代だった。でも平成に変わってあんまりUFO信じなくなって、かわりに何を信じてるかっていうと、前世だとか守護霊だとか。
ーーあ、流行りの……?
(赤尾先生)そう。オーラの泉。今ほとんどみんな信じてるわけよ。私はなんとかの生まれ変わり、とかさ(笑)。そっちにいったんだよ、スピリチュアルな方向が。なので、今UFOはオカルティズムの中ではマイナー。当時は科学がまだ信じられたんだよね。UFOみたいな未確認飛行物体ってのが。科学の延長線上にありうるって信じられてた。今はそんな科学の輝かしい未来って、なかなか信じないじゃない。だから得体のしれない霊の世界という風に、中性的な要素に戻ってしまった。科学的なオカルティズムから、伝統的なオカルティズムに転機っていうね。
ーーあるんですね、時代の流れで見方が変わっちゃうって。
■魔界が映し出す、我々の姿とは……?
ーー先生にとって、魔界ってどんなイメージですか?
(赤尾先生)僕、イメージって、魔界に対してないんだよね。要するに魔界って、さっきも言ったように別個に存在するんじゃなくて、この世と地続きにあると思うんで。魔界って、この世に生きてる我々が、怯えてる姿だと思うんだよね。魔界ってのは、明確に存在するんじゃなくて、例えば、あの人こないだ死んだよね、多分恨み残してるよね、恨み残してるから何か災いが、我々に降りかかってくるよね。という恐れ?で、それが結局、魔界・魔というものを作り出してしまっている。だからこれも、言ったように、集団幻視なんだよね。だと僕は思ってる。
ーーでは、先生のお考えでは、表裏ではないですけど、この世とそういう関係であるということですね。確かに人が考えたりしなければ生まれないですよね。
(赤尾先生)そうそう。できないできない。しかも、みんなが考えなければできないんだよね。特定の一人が、魔界が見えるって言っても、誰も同意してくれる人がいなかったら、何言ってんだ、って。でも、そういうのありうるかもねって賛同者がいたら、そうだよねって。いかにも信じやすい作り話を、作る人がいるわけじゃん(笑)。その、さっきの工事途中で放り出されたホテルとかじゃないけど、ああいうところに絶対怨霊がいるぜって、閉鎖病棟とか、いっぱい簡明な物語つくれるわけじゃん。で、それを信じる人、結構いるよね。
ーーもう魔界って言葉が、普通にあるものだと定着してるってことは、人類はほぼすべての人が、というか、
(赤尾先生)ま、だいたい信じてるんじゃない?(笑)

◎[あわせて読みたい!]静岡時代30号「静岡、異界の扉」シリーズ

(1)・静岡に潜む「異界」とは?〜静岡大学人文社会科学部 平野雅彦先生
http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1170601.html
(2)古の「魔」物語〜静岡文化芸術大学文化政策学部 美濃部京子先生
http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1205150.html
(3)異界の狭間を知り尽くす、古書店店主の異界巡礼〜あべの古書店店主 鈴木大治さん
http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1063474.html
(4)自分と他人の間に潜む、心理的な「魔」の世界〜静岡英和学院大学人間社会学部 日比優子先生
http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1205171.html
新しい音楽の創り方〜静岡時代24号『静岡時代の、音楽論』より
静岡時代を残す人【静岡県立中央図書館】〜静岡時代創刊10年記念号「静岡時代ベスト版」
禅問答のように難解な物語の紡ぎ方〜静岡時代42号「静岡時代の未来予測」より
文学が先か?音楽が先か?「音」から育てる物語〜静岡時代42号「静岡時代の未来予測」〜
使われるかもしれない“いつか”のためにアーカイブする〜静岡時代42号「静岡時代の未来予測」より
なぜ人は物語るのか?〜静岡時代42号「静岡時代の未来予測」より
静岡時代を残す人【静岡県立中央図書館】〜静岡時代創刊10年記念号「静岡時代ベスト版」
禅問答のように難解な物語の紡ぎ方〜静岡時代42号「静岡時代の未来予測」より
文学が先か?音楽が先か?「音」から育てる物語〜静岡時代42号「静岡時代の未来予測」〜
使われるかもしれない“いつか”のためにアーカイブする〜静岡時代42号「静岡時代の未来予測」より
なぜ人は物語るのか?〜静岡時代42号「静岡時代の未来予測」より
Updated:2016年06月07日 特集