特集
静岡時代を残す人【静岡県立中央図書館】〜静岡時代創刊10年記念号「静岡時代ベスト版」
静岡時代夏号(vol.43):特別企画[大学人と地域で静岡時代の10年を語ろう(2)]
書き手の思考や、当時の社会の空気感を知れる本を残す人たちがいる。
残されることで私たちが未来の人たちに出来ることって何だろうか?

静岡県立中央図書館
並木通りを抜けた緑の中、静岡県立大学のすぐ隣に建っている。前身は江戸幕府旧蔵資料などを基にして作られた静岡県立葵文庫。ちなみに今回お話してくれた企画振興課の酒井恵梨奈さんは児童書好きなんだとか。
◉今月の書庫開放日 6月16 日(木)
森下 華菜(もりした かな)
静岡大学3年。静岡時代43号「静岡時代ベスト版」編集長。
加藤 佑里子(かとう ゆりこ)
静岡大学2年。静岡時代43号「静岡時代ベスト版」副編集長。本記事取材・執筆者。
■研究目的に使われる?地域資料としての静岡時代
ーー静岡県立中央図書館では『静岡時代』を地域資料として永年保存してくださっています。その理由について教えてください。
(酒井さん)静岡県に限らず、地域資料というものは大手出版社の刊行物とは違い、誰かが保存しなければなくなってしまうことが多いです。特に一般の家庭だと古くなったものは捨ててしまいますよね。ですが、地域の情報はインターネットで検索してもなかなか詳しくは見つからないんです。
私たちが静岡県に関わる資料や県内団体・機関の刊行物などを収集保存しているのは、そうした地域の情報を求める人が後で読めるようにするためです。古いものだと明治時代以前の資料もあって、珍しい資料も豊富ですので研究目的の方が多く来ます。地域資料はその土地の大切な財産なんですよ。
『静岡時代』も、静岡県内の大学生が作っているため保存しています。今、私たちが自由に手に取って読んでいる『静岡時代』が、100年後、200年後まで残って、誰かが読んでいると考えると、すごいことですよね。今は閲覧室で『静岡時代』のバックナンバーを読むことができます。

ーー確かに!現在はどのくらいの量の地域資料を収蔵されているのですか?
(酒井さん)図書館に収蔵される資料はどんどん増えていき、止まるところがありません。雑誌でいうと、当館の閲覧室には約1500タイトル、書庫も含めると約9500タイトルあり、全国的に見ても大変多いです。というのも、閲覧室や書庫がいっぱいになった場合、誰かに譲ったり処分したりする図書館もありますが、当館では収集したものは永年保存しています。本棚にこれ以上、収めきれなくなった時に元々館長室だった部屋を書庫にしたりして部屋を増やしたこともあるんですよ。今も旧館長室は書庫のままです。ちなみに、保存している資料の中でも古いものは、閲覧室の貴重書展示コーナーで見ることができます。年10回ほど入れ替えを行っているのでチェックしてみてください。また、約80万冊の一般図書と約9500タイトルの雑誌が所蔵される書庫は普段は入れないのですが、書庫開放が開催されている時は誰でも自由に閲覧することができます(要事前予約)。
ーー100年後の人達に「静岡時代、面白い」「後世に残したい」と思ってもらえるために考えたいこととは?
(酒井さん)図書館で講座を開いていて、大学の先生に講師をしていただくのですが、それがとてもいい講義なんです。大学生って、これを毎日授業で聞けるんだなと思うとすごく羨ましい。好奇心をくすぐるような知性が身近にある。『静岡時代』はそのような「大学生」が作っていることが強みだと思うので、変に社会人の真似をせずに大学生ならではの冊子を作ってほしいなと思います(了)


◉静岡時代38号バックナンバー
(1)どうして人は本を読むの?〜流通学:静岡県立大学/小二田 誠二先生
→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1528477.html
[本記事関連](2)100年後も残る本の条件とは?〜歴史学:静岡県立中央図書館/渡辺 勝さん
→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1533243.html
(3)読みたい本との出会い方〜文学:時代舎古書店/田村 直美・和典さん
→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1541122.html
(4)「自分のものさし」を知るための本のたしなみ方〜人文学:静岡市立高校/原田 まや子さん
→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1548590.html
書き手の思考や、当時の社会の空気感を知れる本を残す人たちがいる。
残されることで私たちが未来の人たちに出来ることって何だろうか?

静岡県立中央図書館
並木通りを抜けた緑の中、静岡県立大学のすぐ隣に建っている。前身は江戸幕府旧蔵資料などを基にして作られた静岡県立葵文庫。ちなみに今回お話してくれた企画振興課の酒井恵梨奈さんは児童書好きなんだとか。
◉今月の書庫開放日 6月16 日(木)
森下 華菜(もりした かな)
静岡大学3年。静岡時代43号「静岡時代ベスト版」編集長。
加藤 佑里子(かとう ゆりこ)
静岡大学2年。静岡時代43号「静岡時代ベスト版」副編集長。本記事取材・執筆者。
■研究目的に使われる?地域資料としての静岡時代
ーー静岡県立中央図書館では『静岡時代』を地域資料として永年保存してくださっています。その理由について教えてください。
(酒井さん)静岡県に限らず、地域資料というものは大手出版社の刊行物とは違い、誰かが保存しなければなくなってしまうことが多いです。特に一般の家庭だと古くなったものは捨ててしまいますよね。ですが、地域の情報はインターネットで検索してもなかなか詳しくは見つからないんです。
私たちが静岡県に関わる資料や県内団体・機関の刊行物などを収集保存しているのは、そうした地域の情報を求める人が後で読めるようにするためです。古いものだと明治時代以前の資料もあって、珍しい資料も豊富ですので研究目的の方が多く来ます。地域資料はその土地の大切な財産なんですよ。
『静岡時代』も、静岡県内の大学生が作っているため保存しています。今、私たちが自由に手に取って読んでいる『静岡時代』が、100年後、200年後まで残って、誰かが読んでいると考えると、すごいことですよね。今は閲覧室で『静岡時代』のバックナンバーを読むことができます。

ーー確かに!現在はどのくらいの量の地域資料を収蔵されているのですか?
(酒井さん)図書館に収蔵される資料はどんどん増えていき、止まるところがありません。雑誌でいうと、当館の閲覧室には約1500タイトル、書庫も含めると約9500タイトルあり、全国的に見ても大変多いです。というのも、閲覧室や書庫がいっぱいになった場合、誰かに譲ったり処分したりする図書館もありますが、当館では収集したものは永年保存しています。本棚にこれ以上、収めきれなくなった時に元々館長室だった部屋を書庫にしたりして部屋を増やしたこともあるんですよ。今も旧館長室は書庫のままです。ちなみに、保存している資料の中でも古いものは、閲覧室の貴重書展示コーナーで見ることができます。年10回ほど入れ替えを行っているのでチェックしてみてください。また、約80万冊の一般図書と約9500タイトルの雑誌が所蔵される書庫は普段は入れないのですが、書庫開放が開催されている時は誰でも自由に閲覧することができます(要事前予約)。
ーー100年後の人達に「静岡時代、面白い」「後世に残したい」と思ってもらえるために考えたいこととは?
(酒井さん)図書館で講座を開いていて、大学の先生に講師をしていただくのですが、それがとてもいい講義なんです。大学生って、これを毎日授業で聞けるんだなと思うとすごく羨ましい。好奇心をくすぐるような知性が身近にある。『静岡時代』はそのような「大学生」が作っていることが強みだと思うので、変に社会人の真似をせずに大学生ならではの冊子を作ってほしいなと思います(了)


◉静岡時代38号バックナンバー
(1)どうして人は本を読むの?〜流通学:静岡県立大学/小二田 誠二先生
→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1528477.html
[本記事関連](2)100年後も残る本の条件とは?〜歴史学:静岡県立中央図書館/渡辺 勝さん
→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1533243.html
(3)読みたい本との出会い方〜文学:時代舎古書店/田村 直美・和典さん
→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1541122.html
(4)「自分のものさし」を知るための本のたしなみ方〜人文学:静岡市立高校/原田 まや子さん
→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1548590.html
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Updated:2016年06月03日 特集