静岡の街から
体感! 大学生の介護現場訪問録(4)ー介護老人保健施設マインド
連続特集:「人生の必修科目。大学生のための、”先取り介護学”」
静岡県の大学生が《介護現場》の実態を知り、現在とこれからの介護に何が必要なのかを紐解いていく介護施設訪問シリーズ。2015年からスタートしたこのシリーズでは、これまで「特別養護老人ホーム『晃の園』」「特別養護老人ホーム『ぬまづホーム』」「総合福祉施設『きじの里』」を訪問してきました。第4回目の訪問となる今回の施設は、藤枝市にある介護老人保健施設マインド。施設を利用するみなさんは、普段どんな生活を送っているのか。スタッフのみなさんはどのような想いで働いているのか。施設スタッフのひとりであり、介護の未来ナビゲーター・小泉和也さんの案内を通して、話だけではわからない、介護の本当の魅力や大変さ、イメージとは違う現場の空気を感じてきました。

■今回の《介護の未来ナビゲーター》は……

◉小泉和也さん
大学卒業後、マインドへ就職。勤務歴11年のベテラン介護スタッフです。定期的に開催される介護・福祉関係のイベントでは学生との接点も多く、「面倒見が良いお兄さん」として周りから親しまれています。
《加筆》
※《介護の未来ナビゲーター》とは?
若い介護職員が介護職の魅力などを情報発信し、若い世代の介護や介護業界への興味•関心を高めることを目的に静岡県が発足。以下リンク先では、「各ナビゲーターの介護現場経験談」や「介護の知識」などがご覧になれます。
https://www.pref.shizuoka.jp/kousei/ko-220/shigotozukan/navigator/
■取材者

◉松永果奈実さん。
静岡大学人文社会科学部4年。母親が介護職員で、介護の現場には日頃から親しみをもっているそう。今回の訪問で、暗いと思っていた施設のイメージが明るいものに変わったという。
■訪問施設
医療法人社団 平成会
介護老人保健施設 マインド
住所:〒426-0075
静岡県藤枝市瀬戸新屋487-2
▷介護老人保健施設マインドは、在宅への復帰を目標に心身の機能回復訓練をする施設として、2001年(平成15年)に開設されました。建物は5階建てで、150名の入所者と120名のスタッフが在籍しています(2016年1月当時)。

▲介護スタッフ以外にも、看護師が23名、理学療法士が5名が在籍しています。
ナビゲーターの小泉さんの案内で施設内部に入ってすぐ、まずは1Fのワンフロアがとても広く、開放的な空間であることに驚きました。フロア中央部に設置されたソファでは入所者の方々が楽しそうにおしゃべりをしていたり、その近くでは地域のパン屋さんが出張販売にきて、焼きたてのパンを購入できるスペースがつくられていたりしました。「マインドは清潔さを保ち、体の不自由な人でも充分にくつろいでもらえるような空間を全階につくってあるんです」という小泉さん。広い空間であれば、入所者同士がぶつかり怪我をする心配も減ります。また、明るい室内と人の行き来のある賑やかな雰囲気によって、閉ざされがちだという介護現場のイメージが払拭されました。

▲1Fはリハビリ室と相談室、レクリエーション室、大浴場が設置されているフロアです。
小泉さんの案内で、1Fのフロアからエレベーターに乗って最上階へ。最上階では、藤枝のまち並みが一望でき、夏の蓮華寺の花火大会が見られるそうです。2Fから4Fは入居スペース。2Fは個室が多く、3Fは大部屋、4Fは認知症入所フロアと利用者別に分かれています。また、各階の廊下は転倒防止のため、必要最低限のものしか置かないようになっていました。

▲個室内の写真です。ロッカーや引き出しなど収納具も揃い、狭さを感じない部屋です。

一方で、廊下の壁には入所者の方々が作ったり書いたりした作品が飾られていました。習字や生け花、手作りの人形などがあり、ちょっとした美術館で展示物を鑑賞している気分に。みなさんの活躍を見える形にすることで、笑顔になったり、喜んでもらえることが多くなったと小泉さんはいいます。


マインドは医療をベースとした介護を行っているため、リハビリ機器はもちろん、作業・理学療法士や歯科・皮膚科・眼科医など、現場スタッフの人材も充実しています。2Fフロアのリハビリスペースでは、リハビリ中の入所者の方に遭遇。理学療法士の方の声に合わせて、おばあちゃんが一生懸命、手足を動かしていました。



▲館内移動中は、「こんにちは」と笑顔で挨拶を返してくれる介護スタッフの方たちの姿が印象的でした。よく通る声で、とても気持ちが良かったです。
また、スタッフの方たちは衛生面にも細かな気をつかっています。外出が多くなる年末や夏季など、インフルエンザや食中毒にかからないよう、施設内では消毒や殺菌を徹底しているそうです。常に清潔な環境や身体でいられるよう、入浴の設備も整っています。1F〜4Fまでの各フロアに風呂場があり、利用者の介護レベルや身長に合った浴槽が用意されていました。

▲入浴用リフトがついたお風呂。転倒防止フック、浴槽後端と本体側面の支えバーなど3カ所で身体を支えるため、安心して入浴ができます。

▲足の悪い方には浴槽をまたぐのが楽になるよう壁が低く設計されています。大・中・小それぞれのサイズの浴槽がありました。

▲1F大浴場の場内には散髪用スペースも確保されていました。
マインドのモットーは、「光とみどりと笑顔あふれる施設で心の通い合う温かい介護を行う」です。利用者の方が快適に楽しく生活ができるよう、不自由ない設備を管理し、接し方にも工夫を施しているそうです。また、利用者のご家族へのサポートも欠かしません。お互いに幸せな介護とは何かを考え、スタッフ一同、仕事にの臨んでいるそうです。
施設を案内してくださった小泉さんは、マインドのモットーを継続させるためには、「施設で働くスタッフだけではなく、周辺地域との協力も不可欠だ」といいます。同じ顔ぶれや、同じ生活を送っていると、どうしても中に閉じこもってしまいがちになる。そうすると、気持ちもだんだん暗くなってきてしまいます。マインドでは、まちのパン屋さんや地元農家のみなさんによる出張販売を行い、利用者の方が地域の方と交流する機会を設けているそう。出張販売を楽しみにしている方も増えてきたのだといいます。
この日の訪問では、私たちも利用者の方たちに何かできないかと考え、みなさんと一緒に折り紙で富士山やニワトリをつくりました。教則本をみながら折っていきましたが、みなさん、手先が器用で驚きました。あるおばあちゃんは、綺麗にできたニワトリを「孫にあげるの」と嬉しそうにおっしゃっていて、一緒につくることができてよかったなと感動。「次はなにをつくる?」「うまくできただろ」というおじいちゃん、おばあちゃんの大きな声が挙がって、折り紙レクリエーションはとても盛り上がりました。

▲手先をつかう遊びは、利用者のみなさんのリハビリにもなるそうです。気さくに話してくれる方たちが多く、逆に元気をもらいました。


取材の最後に、介護の現場で働くことについて小泉さんにお聞きすると、やはり介護の現場は体力と精神力が必要で、同時に利用者さんとの関係を築くことも大変だといいます。
しかし、利用者さんとのコミュニケーションの中で、相手に『ありがとう』と言ってもらえることや楽しんでいる姿が、仕事のやりがいにつながっているそうです。また、マインドの母体である藤枝平成記念病院では最新の医療機器が揃っていること、専門スタッフの層を厚くすることで、利用者のみなさんの生活や健康を守っています。そのため、マインドにおいても、スタッフの教育や研修制度も整っていて未経験者の方でも心配なく介護スタッフとして働けるような現場づくりに力をいれています。
静岡県の大学生が《介護現場》の実態を知り、現在とこれからの介護に何が必要なのかを紐解いていく介護施設訪問シリーズ。2015年からスタートしたこのシリーズでは、これまで「特別養護老人ホーム『晃の園』」「特別養護老人ホーム『ぬまづホーム』」「総合福祉施設『きじの里』」を訪問してきました。第4回目の訪問となる今回の施設は、藤枝市にある介護老人保健施設マインド。施設を利用するみなさんは、普段どんな生活を送っているのか。スタッフのみなさんはどのような想いで働いているのか。施設スタッフのひとりであり、介護の未来ナビゲーター・小泉和也さんの案内を通して、話だけではわからない、介護の本当の魅力や大変さ、イメージとは違う現場の空気を感じてきました。

■今回の《介護の未来ナビゲーター》は……

◉小泉和也さん
大学卒業後、マインドへ就職。勤務歴11年のベテラン介護スタッフです。定期的に開催される介護・福祉関係のイベントでは学生との接点も多く、「面倒見が良いお兄さん」として周りから親しまれています。
《加筆》
※《介護の未来ナビゲーター》とは?
若い介護職員が介護職の魅力などを情報発信し、若い世代の介護や介護業界への興味•関心を高めることを目的に静岡県が発足。以下リンク先では、「各ナビゲーターの介護現場経験談」や「介護の知識」などがご覧になれます。
https://www.pref.shizuoka.jp/kousei/ko-220/shigotozukan/navigator/
■取材者

◉松永果奈実さん。
静岡大学人文社会科学部4年。母親が介護職員で、介護の現場には日頃から親しみをもっているそう。今回の訪問で、暗いと思っていた施設のイメージが明るいものに変わったという。
■訪問施設
医療法人社団 平成会
介護老人保健施設 マインド
住所:〒426-0075
静岡県藤枝市瀬戸新屋487-2
▷介護老人保健施設マインドは、在宅への復帰を目標に心身の機能回復訓練をする施設として、2001年(平成15年)に開設されました。建物は5階建てで、150名の入所者と120名のスタッフが在籍しています(2016年1月当時)。

▲介護スタッフ以外にも、看護師が23名、理学療法士が5名が在籍しています。
利用者が活躍できる、マインド流の開放的な雰囲気づくり
ナビゲーターの小泉さんの案内で施設内部に入ってすぐ、まずは1Fのワンフロアがとても広く、開放的な空間であることに驚きました。フロア中央部に設置されたソファでは入所者の方々が楽しそうにおしゃべりをしていたり、その近くでは地域のパン屋さんが出張販売にきて、焼きたてのパンを購入できるスペースがつくられていたりしました。「マインドは清潔さを保ち、体の不自由な人でも充分にくつろいでもらえるような空間を全階につくってあるんです」という小泉さん。広い空間であれば、入所者同士がぶつかり怪我をする心配も減ります。また、明るい室内と人の行き来のある賑やかな雰囲気によって、閉ざされがちだという介護現場のイメージが払拭されました。

▲1Fはリハビリ室と相談室、レクリエーション室、大浴場が設置されているフロアです。
小泉さんの案内で、1Fのフロアからエレベーターに乗って最上階へ。最上階では、藤枝のまち並みが一望でき、夏の蓮華寺の花火大会が見られるそうです。2Fから4Fは入居スペース。2Fは個室が多く、3Fは大部屋、4Fは認知症入所フロアと利用者別に分かれています。また、各階の廊下は転倒防止のため、必要最低限のものしか置かないようになっていました。

▲個室内の写真です。ロッカーや引き出しなど収納具も揃い、狭さを感じない部屋です。

一方で、廊下の壁には入所者の方々が作ったり書いたりした作品が飾られていました。習字や生け花、手作りの人形などがあり、ちょっとした美術館で展示物を鑑賞している気分に。みなさんの活躍を見える形にすることで、笑顔になったり、喜んでもらえることが多くなったと小泉さんはいいます。


理学・医学の技術が充実している介護現場
マインドは医療をベースとした介護を行っているため、リハビリ機器はもちろん、作業・理学療法士や歯科・皮膚科・眼科医など、現場スタッフの人材も充実しています。2Fフロアのリハビリスペースでは、リハビリ中の入所者の方に遭遇。理学療法士の方の声に合わせて、おばあちゃんが一生懸命、手足を動かしていました。



▲館内移動中は、「こんにちは」と笑顔で挨拶を返してくれる介護スタッフの方たちの姿が印象的でした。よく通る声で、とても気持ちが良かったです。
また、スタッフの方たちは衛生面にも細かな気をつかっています。外出が多くなる年末や夏季など、インフルエンザや食中毒にかからないよう、施設内では消毒や殺菌を徹底しているそうです。常に清潔な環境や身体でいられるよう、入浴の設備も整っています。1F〜4Fまでの各フロアに風呂場があり、利用者の介護レベルや身長に合った浴槽が用意されていました。

▲入浴用リフトがついたお風呂。転倒防止フック、浴槽後端と本体側面の支えバーなど3カ所で身体を支えるため、安心して入浴ができます。

▲足の悪い方には浴槽をまたぐのが楽になるよう壁が低く設計されています。大・中・小それぞれのサイズの浴槽がありました。

▲1F大浴場の場内には散髪用スペースも確保されていました。
マインドのモットーは、「光とみどりと笑顔あふれる施設で心の通い合う温かい介護を行う」です。利用者の方が快適に楽しく生活ができるよう、不自由ない設備を管理し、接し方にも工夫を施しているそうです。また、利用者のご家族へのサポートも欠かしません。お互いに幸せな介護とは何かを考え、スタッフ一同、仕事にの臨んでいるそうです。
地域と施設の連携が鍵となる、介護の現場
施設を案内してくださった小泉さんは、マインドのモットーを継続させるためには、「施設で働くスタッフだけではなく、周辺地域との協力も不可欠だ」といいます。同じ顔ぶれや、同じ生活を送っていると、どうしても中に閉じこもってしまいがちになる。そうすると、気持ちもだんだん暗くなってきてしまいます。マインドでは、まちのパン屋さんや地元農家のみなさんによる出張販売を行い、利用者の方が地域の方と交流する機会を設けているそう。出張販売を楽しみにしている方も増えてきたのだといいます。
この日の訪問では、私たちも利用者の方たちに何かできないかと考え、みなさんと一緒に折り紙で富士山やニワトリをつくりました。教則本をみながら折っていきましたが、みなさん、手先が器用で驚きました。あるおばあちゃんは、綺麗にできたニワトリを「孫にあげるの」と嬉しそうにおっしゃっていて、一緒につくることができてよかったなと感動。「次はなにをつくる?」「うまくできただろ」というおじいちゃん、おばあちゃんの大きな声が挙がって、折り紙レクリエーションはとても盛り上がりました。

▲手先をつかう遊びは、利用者のみなさんのリハビリにもなるそうです。気さくに話してくれる方たちが多く、逆に元気をもらいました。


取材の最後に、介護の現場で働くことについて小泉さんにお聞きすると、やはり介護の現場は体力と精神力が必要で、同時に利用者さんとの関係を築くことも大変だといいます。
しかし、利用者さんとのコミュニケーションの中で、相手に『ありがとう』と言ってもらえることや楽しんでいる姿が、仕事のやりがいにつながっているそうです。また、マインドの母体である藤枝平成記念病院では最新の医療機器が揃っていること、専門スタッフの層を厚くすることで、利用者のみなさんの生活や健康を守っています。そのため、マインドにおいても、スタッフの教育や研修制度も整っていて未経験者の方でも心配なく介護スタッフとして働けるような現場づくりに力をいれています。
▶︎『介護の未来ナビゲーター』は静岡県内の若手介護職員が結集し、日々介護職にまつわる情報発信中。
今回お世話になった小泉和也さんもそのおひとり。
静岡県の介護の現場について、もっと知りたいと思ったら、以下のリンク先も要チェックです!
・HP:https://www.pref.shizuoka.jp/kousei/ko-220/shigotozukan/navigator/
・Facebook:https://www.facebook.com/kaigonomirai/
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静岡県の介護の現場について、もっと知りたいと思ったら、以下のリンク先も要チェックです!
・HP:https://www.pref.shizuoka.jp/kousei/ko-220/shigotozukan/navigator/
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Updated:2016年03月25日 静岡の街から