特集
恋愛に学ぶ人間関係の極意とは?
連続特集:「静岡時代の恋愛論」
「恋は盲目」といいますが、たしかに、自分と想い人だけの世界をつくってしまうことが「恋愛の怖さ」と関係があるのかもしれません。恋愛したが故に苦しんだり、辛い経験をしたことは誰にもあるはずでしょ。そこで今回は、人生の先輩でもあるパブ【マーブル】の望月さんに、体当たりで恋の悩みをぶつけてきました。人間関係を複雑にしてしまう恋だからこそ、その切り抜け方から恋愛にとどまらず人生を生きるヒントが浮かび上がるのかも。
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

●望月真理子さん(写真左から2人目)
静岡市清水区にあるパブ「マーブル」を経営。20 代の頃にクラブで働きはじめ、独立してから約40 年が経つ。「私はみんなのお母さんだよ」と優しく、時にびしっと恋愛相談にのってくださいました。
●木下莉那/常葉大学4年(写真左) 小池麻友/静岡県立大学3年(写真右から2人目) 度會由貴/静岡大学3年(写真右)
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
■「うまく恋愛をする」って本当に難しい
本誌編集長小池(以下小池):「恋愛」は自分ひとりではどうにも悩んでしまったり、うまくいかないことがあると思うんです。自分と相手、その周辺、いろいろな人間や物事の関係性のなかで「うまく恋愛をする」って本当に難しいし、苦しいです。例えば、私の場合は忘れられない人がいることで悩んでいます。頭では、次の恋に進みたい、進まなきゃと思っているのに、できないまま時間だけが経とうとしています。友達にも「もういい加減にしなよ」と呆れられてしまって……。なんでこんなにも恋愛は苦しいんでしょう?こんなふうに悩んでいるのは私だけなんでしょうか?
望月さん:まず知ってほしいのは、みんな恋愛をして一人で悩んでる人が多いってこと。人に言わなくても、みんなあると思うの。わたしもいろいろな経験をしたし、こういうお店やっているから多くのお客さんの相談にのってきたわ。そのたびに私が言ってきたのは、あなたが一心に想っているその人とあなたは「道」が違うということ。忘れられないのはとってもいいことだよ。
でも、その「忘れられない」の理由が相手を恨みに思っているからっていう人もいるじゃん。恋愛って当事者しか分からないことだけど、相手と嫌なことがあってもそれをいつまでも引きずっていてはいけないと思うよ。そういう人は花が咲かないと思うの。私は「愛=花」だと思っていて、花を咲かす、つまりあなた自身の愛を咲かすには、相手を恨んじゃあいけない。「次の恋に進みたいけど相手を忘れられない」と思うんだったら、今の想いを捨てる必要はなくて、通る道が違うって割り切ればいいと思うの。国道一号線もある、旧東海道線もある、そうやってそれぞれの通る道が違えばすれ違っちゃうってことよ。

■「選ばれる」ためには自然体でいること
小池:いま、望月さんの仰ったことを聞いて、恨むという感情なのかわからないけれど、相手へのマイナスな感情があるのかなって気づきました。私は相手に迷惑かけたかなっていう罪悪感を少し持ってるんです。その罪悪感っていうマイナスな感情のせいで心に残ってしまっているのではないかと思うんです。
望月さん:それじゃあ花は咲かないよ。相手にも見る目、判断があるんだから仕方のないこと。だから恨ん
じゃあいけない。私の経験から言うとね、惚れるんじゃあなくて、「惚れられる人」、つまり選ばれる人にならなくちゃ。
小池:惚れられる人ですか?

望月さん:そう、それがいいと思うよ。自分で選ぼうとするから苦労するのよ。相手を追いかけて、背伸びするから疲れちゃう。
小池:確かにそれで悩んでいる人は大学生に限らず多いですよね。でも、相手を追いかけるリスクを承知で、自分から惚れたい、好きな人を見つけたいという人もいると思います。「愛されるより
も愛したい」みたいな。
望月さん:その場合も一緒で、選ばれる人にならないとって私は言うよ。結局好きな相手が選んでくれきゃ、実を結ばないんじゃないかな。これって恋愛に限らず就活にも共通するところがあると思うの。自分がどんなに強い想いを持っていたとしても相手が自分を選んでくれないと就職できないんだよ。
小池:恋愛も就活も相手ありきのことですもんね。選ばれるためにはどうしたらいいんでしょうか?
望月さん:それは自然体でいること。飾らない自分を好きになってくれる人がいると思うの。気取ったり、背伸びしたりして自分をいいように見せようとしないで、ありのままの存在でいることが「選ばれる」ための近道だと思うよ。自然体でいられるっていうのはあなたにとっても良きパートナーなんだと思うしね。
小池:頭では理解できるのですが、正直なところなかなか難しいです。
■結婚していたときに、好きな人ができたの

小池:ところで望月さんは40年近く、このパブ「マーブル」を一人で切り盛りしてこられたそうですね。お店の常連さんからは、「目鼻立ちがはっきりしていて、絶対モテたんじゃないかな」とお聞きしました。望月さんがどんな恋愛をしてこられたのか気になります。
望月さん:そう?随分私も恋愛はしてきたけど、自分からいいなって思う人はあんまりいなかったね。人に
想われていることのほうが多かったよ。その方が面白い。私にも忘れられない人がいるのよ。
小池:そうなんですか?詳しく教えてください!
望月さん:その人はとっても穏やかで、人間がいい人だったの。船の関係のお仕事をされていたから、2年に一回しか会えなかったんだけどね。惚れられて、それで私も好きだったんだけど、その時私はもう結婚していたの。プロポーズをされたけれど、私は夫とは別れられなかった。でもその方はずっと想っていてくれて、日本を離れるけど「待っててね」って言ってくれたから、私は6年間待った。好きだったけれど、自分も別れずにいたからそれじゃあ失礼だと思って、「あんたはあんたの道を行きなよ」って言ったよ。だから結局その人とは結婚しなかったんだよね。その後その人も結婚して、お店に来てくれたんだけど、「死んだら一緒になろう」って言うから「そうね」って。だから今でも心に「いい人」として残ってる。花咲くような恋愛だったよ。
小池:劇的な大恋愛をされていたんですね。「忘れられない」という気持ちがいい形で今も残っていることがうらやましいです。私もそんな素敵な出会いをしてみたいです。

■どうするかは自分の判断しかないわ
望月さん:出会いって他愛ないことだと思うけどね。今あなたが通っている大学だっていろんな土地で育った人が集まる場所。要するに人のつながりを創る場所なの。出会いを多く持つことが大事よ。もちろん、大学はそれだけじゃなくて、本来は学びに行くところってことも忘れちゃいけないよ。
小池:なるほど。積極的に人と関わりたいって思うけれど、例えば誰かを好きになったとき、その相手が自分にとって大切であればあるほど、迷惑をかけてしまったらどうしよう、嫌われたらどうしよう、って思ってなかなか動き出せない気がします。
望月さん:嫌われてもいいじゃない。そうはいってもその人の性格上割り切れる人、割り切れない人がいると思うけど。でも行動すればさ、良くも悪くもなにかしら相手の応答があるはず。その反応を見て自分でこの後どうすればいいか判断すればいいんじゃない?どうしたらいいかなんて本人にしか分からないの。どうするかは自分の判断しかないわ。
小池:たしかに、私は世間体や相手からどう見られるかということばかり気にして、自分の考えで動くというよりは無意識のうちに相手に合わせるようになっている気がします。
望月さん:そうやって自分が傷つくのを怖がっていたらなにもできないじゃない。「勝手にしやがれ」くらい思って、先へ先へ行かないと。恋愛にしろ仕事にしろさ、行動してみてなんか違うな、失敗だったかなって思ったら「道が違うんだな」って考えればいいじゃない。自分で胸叩いて、頑張れよって言ってきゃいいじゃん。その方がよっぽど清々しいわ。
小池:かっこいい!
望月さん:自分の人生は自分でつくっていかなければならないのよ。自分で判断して意思を示していかなくちゃ。

話し手:●望月真理子さん
静岡市清水区にあるパブ「マーブル」を経営。20 代の頃にクラブで働きはじめ、独立してから約40 年が経つ。「私はみんなのお母さんだよ」と優しく、時にびしっと恋愛相談にのってくださいました。
■ 望月さんへ会ってお話をしたい人へ パブ「マーブル」(静岡県静岡市清水区)
静岡県静岡市清水区旭町4- 21
☎ 054-351-1119
聞き手:
木下莉那/常葉大学4年
小池麻友/静岡県立大学3年
度會由貴/静岡大学3年
「恋は盲目」といいますが、たしかに、自分と想い人だけの世界をつくってしまうことが「恋愛の怖さ」と関係があるのかもしれません。恋愛したが故に苦しんだり、辛い経験をしたことは誰にもあるはずでしょ。そこで今回は、人生の先輩でもあるパブ【マーブル】の望月さんに、体当たりで恋の悩みをぶつけてきました。人間関係を複雑にしてしまう恋だからこそ、その切り抜け方から恋愛にとどまらず人生を生きるヒントが浮かび上がるのかも。
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
●望月真理子さん(写真左から2人目)
静岡市清水区にあるパブ「マーブル」を経営。20 代の頃にクラブで働きはじめ、独立してから約40 年が経つ。「私はみんなのお母さんだよ」と優しく、時にびしっと恋愛相談にのってくださいました。
●木下莉那/常葉大学4年(写真左) 小池麻友/静岡県立大学3年(写真右から2人目) 度會由貴/静岡大学3年(写真右)
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
■「うまく恋愛をする」って本当に難しい
本誌編集長小池(以下小池):「恋愛」は自分ひとりではどうにも悩んでしまったり、うまくいかないことがあると思うんです。自分と相手、その周辺、いろいろな人間や物事の関係性のなかで「うまく恋愛をする」って本当に難しいし、苦しいです。例えば、私の場合は忘れられない人がいることで悩んでいます。頭では、次の恋に進みたい、進まなきゃと思っているのに、できないまま時間だけが経とうとしています。友達にも「もういい加減にしなよ」と呆れられてしまって……。なんでこんなにも恋愛は苦しいんでしょう?こんなふうに悩んでいるのは私だけなんでしょうか?
望月さん:まず知ってほしいのは、みんな恋愛をして一人で悩んでる人が多いってこと。人に言わなくても、みんなあると思うの。わたしもいろいろな経験をしたし、こういうお店やっているから多くのお客さんの相談にのってきたわ。そのたびに私が言ってきたのは、あなたが一心に想っているその人とあなたは「道」が違うということ。忘れられないのはとってもいいことだよ。
でも、その「忘れられない」の理由が相手を恨みに思っているからっていう人もいるじゃん。恋愛って当事者しか分からないことだけど、相手と嫌なことがあってもそれをいつまでも引きずっていてはいけないと思うよ。そういう人は花が咲かないと思うの。私は「愛=花」だと思っていて、花を咲かす、つまりあなた自身の愛を咲かすには、相手を恨んじゃあいけない。「次の恋に進みたいけど相手を忘れられない」と思うんだったら、今の想いを捨てる必要はなくて、通る道が違うって割り切ればいいと思うの。国道一号線もある、旧東海道線もある、そうやってそれぞれの通る道が違えばすれ違っちゃうってことよ。
■「選ばれる」ためには自然体でいること
小池:いま、望月さんの仰ったことを聞いて、恨むという感情なのかわからないけれど、相手へのマイナスな感情があるのかなって気づきました。私は相手に迷惑かけたかなっていう罪悪感を少し持ってるんです。その罪悪感っていうマイナスな感情のせいで心に残ってしまっているのではないかと思うんです。
望月さん:それじゃあ花は咲かないよ。相手にも見る目、判断があるんだから仕方のないこと。だから恨ん
じゃあいけない。私の経験から言うとね、惚れるんじゃあなくて、「惚れられる人」、つまり選ばれる人にならなくちゃ。
小池:惚れられる人ですか?
望月さん:そう、それがいいと思うよ。自分で選ぼうとするから苦労するのよ。相手を追いかけて、背伸びするから疲れちゃう。
小池:確かにそれで悩んでいる人は大学生に限らず多いですよね。でも、相手を追いかけるリスクを承知で、自分から惚れたい、好きな人を見つけたいという人もいると思います。「愛されるより
も愛したい」みたいな。
望月さん:その場合も一緒で、選ばれる人にならないとって私は言うよ。結局好きな相手が選んでくれきゃ、実を結ばないんじゃないかな。これって恋愛に限らず就活にも共通するところがあると思うの。自分がどんなに強い想いを持っていたとしても相手が自分を選んでくれないと就職できないんだよ。
小池:恋愛も就活も相手ありきのことですもんね。選ばれるためにはどうしたらいいんでしょうか?
望月さん:それは自然体でいること。飾らない自分を好きになってくれる人がいると思うの。気取ったり、背伸びしたりして自分をいいように見せようとしないで、ありのままの存在でいることが「選ばれる」ための近道だと思うよ。自然体でいられるっていうのはあなたにとっても良きパートナーなんだと思うしね。
小池:頭では理解できるのですが、正直なところなかなか難しいです。
■結婚していたときに、好きな人ができたの
小池:ところで望月さんは40年近く、このパブ「マーブル」を一人で切り盛りしてこられたそうですね。お店の常連さんからは、「目鼻立ちがはっきりしていて、絶対モテたんじゃないかな」とお聞きしました。望月さんがどんな恋愛をしてこられたのか気になります。
望月さん:そう?随分私も恋愛はしてきたけど、自分からいいなって思う人はあんまりいなかったね。人に
想われていることのほうが多かったよ。その方が面白い。私にも忘れられない人がいるのよ。
小池:そうなんですか?詳しく教えてください!
望月さん:その人はとっても穏やかで、人間がいい人だったの。船の関係のお仕事をされていたから、2年に一回しか会えなかったんだけどね。惚れられて、それで私も好きだったんだけど、その時私はもう結婚していたの。プロポーズをされたけれど、私は夫とは別れられなかった。でもその方はずっと想っていてくれて、日本を離れるけど「待っててね」って言ってくれたから、私は6年間待った。好きだったけれど、自分も別れずにいたからそれじゃあ失礼だと思って、「あんたはあんたの道を行きなよ」って言ったよ。だから結局その人とは結婚しなかったんだよね。その後その人も結婚して、お店に来てくれたんだけど、「死んだら一緒になろう」って言うから「そうね」って。だから今でも心に「いい人」として残ってる。花咲くような恋愛だったよ。
小池:劇的な大恋愛をされていたんですね。「忘れられない」という気持ちがいい形で今も残っていることがうらやましいです。私もそんな素敵な出会いをしてみたいです。
■どうするかは自分の判断しかないわ
望月さん:出会いって他愛ないことだと思うけどね。今あなたが通っている大学だっていろんな土地で育った人が集まる場所。要するに人のつながりを創る場所なの。出会いを多く持つことが大事よ。もちろん、大学はそれだけじゃなくて、本来は学びに行くところってことも忘れちゃいけないよ。
小池:なるほど。積極的に人と関わりたいって思うけれど、例えば誰かを好きになったとき、その相手が自分にとって大切であればあるほど、迷惑をかけてしまったらどうしよう、嫌われたらどうしよう、って思ってなかなか動き出せない気がします。
望月さん:嫌われてもいいじゃない。そうはいってもその人の性格上割り切れる人、割り切れない人がいると思うけど。でも行動すればさ、良くも悪くもなにかしら相手の応答があるはず。その反応を見て自分でこの後どうすればいいか判断すればいいんじゃない?どうしたらいいかなんて本人にしか分からないの。どうするかは自分の判断しかないわ。
小池:たしかに、私は世間体や相手からどう見られるかということばかり気にして、自分の考えで動くというよりは無意識のうちに相手に合わせるようになっている気がします。
望月さん:そうやって自分が傷つくのを怖がっていたらなにもできないじゃない。「勝手にしやがれ」くらい思って、先へ先へ行かないと。恋愛にしろ仕事にしろさ、行動してみてなんか違うな、失敗だったかなって思ったら「道が違うんだな」って考えればいいじゃない。自分で胸叩いて、頑張れよって言ってきゃいいじゃん。その方がよっぽど清々しいわ。
小池:かっこいい!
望月さん:自分の人生は自分でつくっていかなければならないのよ。自分で判断して意思を示していかなくちゃ。
話し手:●望月真理子さん
静岡市清水区にあるパブ「マーブル」を経営。20 代の頃にクラブで働きはじめ、独立してから約40 年が経つ。「私はみんなのお母さんだよ」と優しく、時にびしっと恋愛相談にのってくださいました。
■ 望月さんへ会ってお話をしたい人へ パブ「マーブル」(静岡県静岡市清水区)
静岡県静岡市清水区旭町4- 21
☎ 054-351-1119
聞き手:
木下莉那/常葉大学4年
小池麻友/静岡県立大学3年
度會由貴/静岡大学3年
新しい音楽の創り方〜静岡時代24号『静岡時代の、音楽論』より
今開かれる、静岡パンドラの箱!〜静岡時代12号『静岡魔界探訪』より
静岡時代を残す人【静岡県立中央図書館】〜静岡時代創刊10年記念号「静岡時代ベスト版」
禅問答のように難解な物語の紡ぎ方〜静岡時代42号「静岡時代の未来予測」より
文学が先か?音楽が先か?「音」から育てる物語〜静岡時代42号「静岡時代の未来予測」〜
使われるかもしれない“いつか”のためにアーカイブする〜静岡時代42号「静岡時代の未来予測」より
今開かれる、静岡パンドラの箱!〜静岡時代12号『静岡魔界探訪』より
静岡時代を残す人【静岡県立中央図書館】〜静岡時代創刊10年記念号「静岡時代ベスト版」
禅問答のように難解な物語の紡ぎ方〜静岡時代42号「静岡時代の未来予測」より
文学が先か?音楽が先か?「音」から育てる物語〜静岡時代42号「静岡時代の未来予測」〜
使われるかもしれない“いつか”のためにアーカイブする〜静岡時代42号「静岡時代の未来予測」より
Updated:2014年07月17日 特集