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静岡仏女さんに聞く!ズバリ、仏像の魅力とは?

連続特集:「おてらいく おてらいふ」②
お寺を知る上で欠かせないお寺の三宝。"僧"、"法"、——そして『仏』。具体的には仏像を指します。しかし、仏ビギナーにはどれも同じに見えてしまうのが関の山。古来から人々の心を癒してきたとは言うアルカイックスマイルは聞きますが、そもそも仏像の違いとは何なのでしょう?ここはひとつ、仏像のスペシャリストに聞いてみたい!ということで、仏像大好き静岡仏女こと、望月純子さんにお話を聞きました。お寺を仏像という視点からぶった切る!果たして、その先にみえるものとは……?

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静岡仏女さんに聞く!ズバリ、仏像の魅力とは?

●望月純子さん
仏像をこよなく愛する仏女。ブログにて仏像巡りの記事やお寺情報を発信。最近は、仏像をモチーフとしたブツリョーシカも制作している。「仏像が好き! 静岡仏女ブログ」→ http://butsujyo.eshizuoka.jp/


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お寺のキラーコンテンツ?それはもちろん……「仏像」でしょう。

——望月さんは、静岡のお寺巡りをされているそうですが、そもそものきっかけは何だったのでしょうか?

(望月さん)元々歴史が好きで、京都の大学では歴史を勉強していたんです。仏像に対しては少し興味がある程度だったんですけど、大学卒業後、静岡に帰ってきて、静岡にもたくさん素敵なお寺があることを知ったのがきっかけです。お寺巡りを重ねるにつれて、静岡にも京都に負けないくらい深い歴史があることがわかってきて、魅力を感じました。あとは、静岡の仏像の本を見つけたのもきっかけですね。

——はじめは歴史がきっかけだったんですね。今ではお寺巡りのメインは「仏像」とお聞きしていますが、その変化について教えてください。

(望月さん)もともと仏像に興味があったというのもそうですし、実際に静岡でお寺巡りをしてみたら、本当に数えきれないくらい色々な仏像があって、気が付いたら仏像に夢中になっていました。数多くあるお寺の中から、やはり自分の興味をひく所をピックアップして見に行っていますが、拝観予約をしなければ入れないようなところもあるので、行く前は必ず下調べをしています。今は仏像好きな人も多いので、住職さんも理解してくれていて、仏像について説明していただけたりもしますね。

——具体的に、仏像のどういったところが魅力なのでしょうか?

(望月さん)やはり顔ですかね。作られた歴史によって、全然雰囲気が違うんですよ。奈良時代の仏像は固い顔をしているものが多く、平安時代は柔らかい顔をしているものが多いですね。あとは、手も見ますね。ポーズによって表している意味が違っているんです。例えば、手を胸の前に上げ、掌を正面に向けたポーズは、人々の恐れを取り除く事を表わしています。ポーズの意味もそうですけど、「この仏像はこういった意味で作られたんだ」ということを知ったうえで見るのは、知らないで見るよりも迫力があって面白いですよ。

——確かに、ただ単に見るよりも、その仏像のつくられた背景や意味など、情報を得た上で見た方が、その仏像をより味わうことができますよね。

(望月さん)はい。そういった視点も大切です。でも一方で、単純に「この顔イケメン!」「綺麗!」という見方もありだと思いますし、芸術的な価値が仏像につくもっと前は、庶民が手を合わせ自分の祈りを捧げる存在でしたので、難しく考えなくてもいいんじゃないかなと思いますね。

静岡仏女さんに聞く!ズバリ、仏像の魅力とは?

静岡仏女さんに聞く!ズバリ、仏像の魅力とは?
望月さんの自宅には仏像関係の資料がズラリ。空いた時間に眺めるのが好きなんだそうです。

——なるほど。そういえば、「イケメン」の仏像のことを「イケ仏」と呼ぶそうですね。仏像によって、全然表情が違いますが、この違いは何なのでしょう? また、望月さんの思うイケ仏も教えてください。

(望月さん)そうですね、やはり歴史や時代、地域によって全然違ってくると思います。先ほども少し触れたように、奈良時代に作られた仏像は、固い顔、怒ったような顔をしているものが多くて力強いんです。個人的には、はっきりしている顔、勢いのある顔が素敵で、イケメンだと思います。仏像ってその時代のかっこいい武士などがモデルになっていると思うんですよね。伊豆にある北条時政が源頼朝が戦いに行くときに祈願して作った願成就院の毘沙門天像なんかは、躍動感もあるし胸板が厚くてがっしりしていて抱きつきたくなっちゃいます(笑) 。ちなみに、静岡には鎌倉時代の仏像が多いんですよ。特に伊豆は、源頼朝がいた関係もあって、長い歴史をもった仏像や面白い仏像がたくさんありますよ。

——抱きつきたくなるほどの仏像ですか。興味深いです。それぞれ優しさだったり、たくましさだったり特色が違うんですね。

(望月さん)そうですね。京都の仏像を「中央仏」、それ以外のところにある仏像を「地方仏」と言うのですが、本当に静岡の仏像も引けを取らないと言いますか、中央仏に負けていないんですよね。

——お寺巡りをする際、仏像の他に着目するところはありますか?

(望月さん)そうですね、鬼瓦とかも見ますね。あと、扉の装飾や彫り物をよく見ます。また、これは道徳的なことになってしまうんですけど、お寺や仏像って町内会の人が守っていることが多いんですよ。そういった方々の優しさに触れられることも魅力だと思っています。聞いてないことまでお話してくれたり、「お茶飲んで行きなよ」と声をかけてくださったり。本当に温かい人ばかりなんです。今だにそうやって知り合った人で文通をしている人とかもいますね。静岡時代31号に掲載されていた凰林寺の平尾さんともfacebook友達ですよ。やはり歴史が古いものや、この仏像は誰が作った、というのがしっかり分かっているといいのですが、そうではない仏像も多いですからね。そうなると地域の人たちが守っていくしかないんですよね。

静岡仏女さんに聞く!ズバリ、仏像の魅力とは?

——静岡はそういった仏像が多いですか?

(望月さん)多いです。その上、面白い仏像もたくさんあるんですよ。静岡の街中にある迦葉館というビルの7階に新光明寺というお寺があるのですが、そのお寺は仏像だけが置いてあるんです。それに、まだ行ったことはないんですけど、葵区にある龍津寺には、頭に鳥居がついている仏像もあるんですよ。「なにこれ! 面白い!」となりますね。あと、これは静岡の仏像ではないんですけど、奈良の東大寺には、五劫思惟阿弥陀如来坐像という、びっくりするほどアフロな仏像があるんです。見てみたくなりませんか?

——それは面白いですね。やはりそういうものを探すのも魅力ですか?

(望月さん)そうですね。仏像というよりも、なんだか、人を見る感じで楽しんでいますね。「この人イケメンだな」って見るみたいに(笑)。仏像好き仲間とよく話しますね。仏像は魅力たっぷりでしょう? あと、仏像は一度ではなく時間をおいてまた同じところに行くというのもいいですよ。毎回違う顔をしているんです。まるでその時の自分を映しているかのように、同じ顔でいることはないんですよね。

——顔が違う? どういうことですか?

(望月さん)例えば、忙しかったり、日々の生活に追われていて疲れていたりする時と、逆に何か困難を乗り越えてすっきりとした気持ちで行く時とでは、仏像の顔も違って見えるんです。そんな気がしているだけなんですけどね。「前は強ばって見えたのに、今日はきりっとしているな」とか。なので、お寺へ行く際には、「今日はどんな顔を見せてくれるんだろう?」なんて思いながら行きますね。そういう意味で、自分を見直すきっかけにもなっていると思います。それも仏像巡りをするときの楽しみですね。

——お寺の魅力のひとつである仏像の奥深さと魅力が分かってきた気がします。

(望月さん)静岡には魅力的なお寺や仏像がまだまだたくさんあるので、是非とも実際に足を運んで、自分の目で見てみてください。

■このお話をもっと深く掘り下げたいひとへ望月純子さんからのオススメ本!
・『静岡の仏像巡り—ほとけ道 里あるき』(p.6前述)
・『仏像の本』仏像ガール著. 山と渓谷社. 2008.


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話し手:●望月純子さん
仏像をこよなく愛する仏女。ブログにて仏像巡りの記事やお寺情報を発信。最近は、仏像をモチーフとしたブツリョーシカも制作している。「仏像が好き! 静岡仏女ブログ」→ http://butsujyo.eshizuoka.jp/

聞き手/執筆:●常葉大学4年/木下莉那
聞き手   :●静岡大学(浜松キャンパス)4年/天野和佳子


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この記事へのコメント
こんにちは。楽しく読ませてもらいました。写真が綺麗でオシャレですね。このブログを今後も参考にさせてもらいます。ありがとうございました。
Posted by 萌音 at 2014年02月20日 15:46

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