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我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか

連続特集:「夏休みだからプライベートを覗かせて!」
人との関係、趣味趣向など、プライベートで悩むのは「人間だからこそ」のものなのでしょうか?でも、所詮は人間だって「動物」です。他の「動物」にも、果たしてプライベートは存在するのでしょうか?そんな疑問を抱いて、今回は日本平動物園を訪れました。飼育担当課長の柿島安博さんに園内のガイドをお願いし、かわいい動物たちの"プライベート"を覗いてきました。

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我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか

<案内人>
●柿島 安博さん
日本平動物園 飼育担当課長。日本平動物園では、お客様に動物の本来の姿を見せ、命の大切さを感じてもらうために、野生本来の姿を見てもらうよう心がけているそうです。

<日本平動物園>
開園時間:9:00〜16:00
休園日:毎週月曜日(祝日、振替休日のときは翌平日)、12月29日〜翌年1月1日まで
→ http://www.nhdzoo.jp


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我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか
快晴の中、いざ、動物のプライベートシーンをのぞきに!柿島さん、いいネタお願いします。

人間は、理由をつけようとする生き物?

Q 百獣の王ライオンのイメージは?A 「かっこいい・強い・たくましい・仲間意識が高い」
私はこうしたライオンの絶対的なイメージというか、ライオンに対する憧れや期待というか、そういったものを今まで抱いていたし、大学生である今も疑いもせず信じていた。
こうした超個人的なライオンのイメージは、私が今まで読んできた絵本や映画、テレビ番組による影響に起因している。ディズニー映画『ライオンキング』や動物の特集番組、それらはライオンこそがサバンナの王者であり、圧倒的な強さを持つ動物であるということを幼い頃の私に印象づけていたのだ。

「動物にだってプライベートはあるやろ」。今回、動物のプライベートを知るべくしてやってきた日本平動物園。だが、飼育課長の柿島さんに質問をぶつけてみたものの、「実際のところ人がどんなに理由をつけようとしても、本当のところはその動物になってみないと分からないよ」とスパッと言われてしまった。なんてこった。


我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか
にらみをきかせ、舐めるように私たちをみつめる視線。まるで、喧嘩売っているようです。

我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか
暴れん坊の旦那さんを、マリア様のように包む雌ライオン。でも実は、恐妻家(?!)だったりします。

冒頭のライオンの話に戻るが、柿島さん曰く、野生のライオンのオスは一匹じゃ何もできず、メスがいないと非常に弱い立場なのだそう。日本平動物園で飼育されているオスライオン「キング」は、奥さんのメスライオン「エンジェル」と引き離される時、寂しさでいつも鳴き声をあげていたそうだ。そして、エンジェルが病気で亡くなった時、キングはショックを受け、命が危ないと思われるほど弱ってしまった。

ここまでは悲しい話である。しかし、若いメスライオン2匹を連れてくると、みるみるうちに元気になり、猛獣館のあのガラス越しにお客さんがいることなんておかまいなしに熱い交尾を繰り返していたという。なんて現金な奴だ。女の私からしたら最低な男である。ちなみにライオンは基本的にメスが狩りをするが、極めて狩りが下手なんだとか。時にはハイエナが獲った獲物を横取りすることで生き延びている。もっというとオスは力だけはある。私の頭の中は「なんてこった」のオンパレード。あのライオンがまさかのどんくささ。イメージと現実のギャップをうまく処理できないでいた。


人間の想像なんて所詮偶像にすぎない

我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか
日本平動物園の人気者"ロッシーくん"。人に見られることが多いロッシー君は、まるで日本平動物園界のアイドル。
だからこそ、プライベートをしっかり使い分けてそうですね……(想像)


我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか

この衝撃はライオンだけに留まらなかった。ホッキョクグマである。ホッキョクグマは、私の中で、オスもメスも寄り添って仲良く生活しているというイメージ。しかし実際には、オスはメスを繁殖相手としか見ておらず、メスは子供がいると発情しなくなってしまうため、オスは子持ちのメスを見つけると、一目散にその子供を捕食対象として襲ってしまう。例え自分の子供だとしても覚えていない。なんてこった……。いくら自分の遺伝子を残すのが本能だとしても、自分の子供を食べる!?恐ろしい! という衝撃がはしった。

我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか
ライオンと1、2位を争う人気者が、トラ!とても知能が高く、人間の顔を識別できます。
飼育員さん曰く、トラの目は「考えている目」をしているそう。


我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか
ペンギンは、海面でイルカさらながらのジャンプをみせることがあります!小さい身体をあなどるなかれ。

我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか
野生のフラミンゴは、実際は何万羽の群れを作ります。それぞれ個体の性格が違っていたら、面白いですね。

我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか
むむ。この子は目立ちたがりやと見た!

我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか
フラミンゴ含め、鳥類が自由に飛び回る"フライングメガドーム"を去り、人で賑わう広場へ。
人間と動物のプライベート。ちょっと似ているのかも?いや、まだまだわかりません。引き続き、動物のプライベートをのぞいていくゾ!


我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか
こちらも園内人気の動物"アライグマ"。かわいい顔して実は凶暴なんです。
歯を剥き出しにした顔は、普段のあどけなさからは想像できない怖さ。これは、アライグマの二面性といえるのか?!


我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか
野生のモルモットは生息地が危険な場所なため、敵から逃げられるよう生まれてすぐに目が開き、毛も生え揃うそうです。

我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか
名前は「アクシスジカ」。草食動物の中でも特に神経質な動物。人が獣舎の前を走っただけでも逃げようとするほど。
「臆病」なんですね。あの、有名な作品「バンビ」がこの種です。


我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか
ゾウは、危険な動物ワースト3にはいるほど頭がいい動物です。
しかも復讐心をもち、数年前に怒られたことをずっと覚えている場合もあります。「執念深い」のでしょうか……?


我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか
なかなか動かないへび。何を考えているかわからないところが、へび(は虫類)の個性になるの……か?

虚構ではない動物の生き様から

園内を歩いて、実際にこれらの動物を目の前にして、その動物が発する迫力や生命力を肌で感じて、思ったことがある。それは、自分が抱いていた動物のイメージは、単に自分の都合の良いように作り上げていたものにすぎないのだということ。所詮人間の想像なんて偶像にすぎない。それにライオンにしても、ホッキョクグマにしても、動物の野性的な一面を知った時、私たち人間にもそういった野性的な面が奥底に隠れているのではないかと思って一瞬ひやっとした。

私たちは自分のいる環境から「これが私のプライベート!」と理由をつけて考えようとするけれど、もしかしたらそれも薄っぺらい虚構なのかもしれない。私たち人間にとっての最も奥深くにある、自分でもよく分からないプライベートはそういった野性的な部分にあるのではないか。なんてこった。動物のプライベートもあるのかないのかよく分からないが(それは動物になってみないと分からない)、野性的なプライベートを持った未知な自分がいるのかもしれない。

(取材・文/天野和佳子)

我々が動物をみているのか、動物が我々をみているのか
"動物のプライベート"という視点からみたら、いつもと違った発見ができるかもしれません!

<日本平動物園>
開園時間:9:00〜16:00
休園日:毎週月曜日(祝日、振替休日のときは翌平日)、12月29日〜翌年1月1日まで



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