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しずおか未来会議を終えて〜考える消費者へ

2016年秋、静岡県くらし・環境部県民生活課では、近年若年層の消費者トラブルが増加傾向にあることから、その対策となる若年層向け消費者教育を検討すべく『しずおか消費者教育未来会議』を結成。若年者が主役となり、「消費生活をいかに見つめ直すか、そのために求められる消費者教育とはどのようなものか」を、ヒアリングやフューチャーセッションによって浮かび上がらせてきました。
また、30歳以下の参加者公募型の全3回にわたるフューチャーセッションでは、最初に「自分たちの消費行動の再検討」から「消費者教育が劇的に広まった未来を考える」、「セッション2回目で描いた未来を実現させるためのストーリーを考える」と、段階を経た議論を重ねるなかで参加者自身の関心を呼び起こし、同世代にも届けたいと思える“消費者教育”を検討しました。


しずおか未来会議を終えて〜考える消費者へ

 「高度経済成長期を迎えて、ものが不足していた時代から、大量生産・大量消費の時代へと一転した」。こういう風に、中学や高校の現代社会などで、「消費社会」という言葉・現象を習うとき、「消費社会」はいいものだ、とわたしはつい思ってしまいます。ものが不足しているよりも、ものに困らず、しかも自分の好きなものを選択できる方がはるかに幸せだ、と。私たち大学生世代が生まれた1990年代は、高度経済成長期までとは言わずとも、「何かを消費すること」に特段の思想を抱くこともなく何気なく手に入るもので自身の生活を満たしていたのではないでしょうか。

 けれど、近年、食品表示の偽装や契約トラブルなど、消費者(買う側)である私たちのまわりでは、トラブルが増えています。昨年、静岡県でも、くらし・環境部が大学生を中心とした「しずおか消費者教育未来会議」を創設し、「トラブルをいかに回避するか」「消費者教育をどのように進めていくか」という議論をしました。しかし、そもそもなぜトラブルが増えているのか、その背景はなんでしょうか?
「価格重視だった」「自分優先」……。これは、その「しずおか消費者教育未来会議」に参加した学生・若手社会人から出てきた消費行動に関するリアルな声です。もちろん、「安ければいいというわけではない」という方もいましたが、掘り下げていくと結局は近視眼的な考えが中心で「自分優先」な消費行動の意識が明らかになってきました。

しずおか未来会議を終えて〜考える消費者へ

常に「買う」側である私たちは、情報の溢れる現代で多様な選択肢を知る一方、ものの価値を吟味することが難しくなってきているのかもしれません。食品であれば、パッケージに書かれた栄養表示や製造元などで良し悪しを判断し、それがなければ見極めができない。その背景にあるストーリーを想像できない。消費行動を変えていくこと、消費者教育それ自体を考える時に、「消費」という言葉に縛られず、日頃からの社会問題への関心や、もの・サービスが作られ、売られる過程の知識など、幅広い知識や教養を身につけることが土台になってくるのだと感じました。

しずおか未来会議を終えて〜考える消費者へ

 消費者教育の先に目指すは「消費者市民社会」の実現です。消費者一人一人が自分だけではなく、周囲の人や、消費行動の対象となるモノ・サービスの生産現場、将来の生活・地球環境などに配慮している社会です。
「しずおか消費者教育未来会議」で3度にわたって行われたフューチャーセッションでは、消費者教育が導く未来像として、「フェアトレード商品が当たり前になった社会」「消費者トラブルが激減した未来」「地産地消が当たり前になった未来」など、多様なストーリーが描かれました。例えば「地産地消が当たり前になった未来」は、地産地消をテーマとした観光施設の活性化から、地元の人たちの間でも静岡県の地場産品等の魅力を再認識する機会としても効果が出ます。それにより、地元商品への認知も高まり選択肢も豊富になるのではないか、と(セッションの詳細レポートは特設HP http://www.shizuoka-shohi.jp/miraikaigi/ へ)。

3回目のセッションでは、3グループに分かれ、消費者教育が広まった未来について新聞化。
グループ1ではフェアトレードチョコレートを題材に、「全国からフェアトレードチョコレートがなくなる現象が起こる」「消費者がフェアトレードを当たり前に選ぶことで、メーカー側も扱わざるをえなくなる」というフェアトレードチョコ現象を想像し、誰もがフェアトレードの概念・仕組みを理解できるよう、消費者教育の“当たり前”化について考えました。▼▼


しずおか未来会議を終えて〜考える消費者へ

グループ2では、静岡県地域として消費者教育が普及し、消費者トラブルがなくなっていくことで、『ノーベル消費者生活平和賞』を受賞する、と想像。消費者トラブルへの認識、適切な対処が浸透することは、安全安心な暮らしの維持に寄与し得るというコンセプトを打ち出しました。▼▼

しずおか未来会議を終えて〜考える消費者へ

グループ3は地産地消をテーマとした観光施設の活性化を描き、地元の人たちの間でも静岡県の地場産品等の魅力を再認識する機会としても効果が出れば、地元商品への認知も高まり選択肢も豊富になるのではないかと提案しました。▼▼

しずおか未来会議を終えて〜考える消費者へ


 今はモノやサービス、そして情報が溢れた時代です。私たちそれぞれが何らかのモノを作る・サービスを生み出す側であっても、多くの場合、日々「買う」側でもあります。生活に潤いをもたらす「消費」、社会課題に結びついている「消費」というような消費行動の両面について改めて学びなおす中で、しずおか消費者教育未来会議でも消費者教育が広まった未来像として意見が出ていたような「GDPは下がるが幸福度は上がる」という社会が実現されていくかもしれません。
 本当に欲しいと思ったものを手に入れる幸せは単純に我慢するわけでもなく、でも他者への配慮、目の前にいない誰かの幸せを少しでも考えられる、そんな消費社会が広まれば良いなと思っています。


しずおか未来会議を終えて〜考える消費者へ
▲第1回目のフューチャーセッション参加者の皆さん。互いの意見を知り、自分たちの消費観を見つめ直すことができました。

消費者教育について知ろう!
・しずおか消費者未来会議
http://www.shizuoka-shohi.jp/miraikaigi/

・静岡県くらし・環境部県民生活課
http://www.pref.shizuoka.jp/kenmin/km-110/syouhiseikatujyouhou.html


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