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「二次元の彼に恋してしまう」恋愛相談by学術〜静岡大学 丑丸敬史先生〜
男の悩みに女は笑い。女の本音に男は涙? 大学生の恋の悩みをアカデミックに白黒つける。「恋愛」から学問を知る、究極の学術案内です。今回、大学生の"恋の悩み"においてご教授いただく救世主さまは、分子生物学を専門とする静岡大学の丑丸敬史先生です。アニメ、二次元アイドルの好きな先生が教授する、現実と仮想の折り合いのつけ方とは?

「最もイケてる」相手を選ぶ、プログラミングがされている

生物学的観点から言えば、生物の行動は何かしら適応的意味を持つと考えられます。例えば、ヒトが恋をするのは子孫を残すためで すよね。異性を好きになり好かれやすい、 つまり子供を作りやすい形質を持った人の子孫が広がった結果が今の私たちです。
ですから私たちのほとんどは子孫を残すために恋をします。このように我々がとる行動のほとんどは遺伝子によって作られています。そして、子孫を残すという点では無益なようなアイドルを追いかける行動も、 実はヒトが恋をするのはなぜかという問いの延長線で説明できます。ヒトのように有性生殖を行う生物は、「できる限りいい遺伝子」を持った「最もイケてる相手」と子供をつくるように努力するようプログラミングされています。人類の場合、十数万年も狩猟採集で暮らしており、当時の集落規模はせいぜい4 0 人、 出会う適齢期の異性は10人程度。その環境では知り合いの中で 「最もイケてる人」 から順々にアプローチするという行動心理が人類にとって最適解であったはずです。
しかし、ここ数千年の農業の発展により人口は急激に増え、更にメディアの発達により人を一方的に知ることができるようにました。「アイドル」という一億人規模の中で「とびきりイケてる異性」を恋愛対象として認識するようになってしまうのは至極当然です。つまり、アイドルを追いかけるのは生物学的には間違いではありませんが、困った行為だということです。数千年は生物の歴史尺度で考えると非常に短い時間であり、遺伝子はそのくらいの期間ではなかなか変化するものではありません 。ただ、人口が減るなど環境が変わるなかで、「最もイケてる人」を求める遺伝子が有利な時代が再びやってくるかもしれま せん。当分は「自分のことを想ってくれる優しい人」を選ぶといったように、現実路線をとるよう理性でコントロールされていくでしょう。結婚適齢期に近づくと自然に折り合いを見つけられるようになると思います。

丑丸敬史(うしまるたかし)先生
静岡大学 理部生物科学科教 。細胞生物学、分子生物学が専門。
出芽酵母を用いて細胞増殖の分子制御機構を解析している。「科学でわかる男と女の心と脳」というテキストを使用している授業もあり、学生の興味を誘う。先生はアニメも二次元のアイドルも好きだが、自分の中で現実との間に折合いを作っているとのこと。
(丑丸 敬史先生/静岡大学 理学部生物科学科)
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Updated:2015年12月24日 キャンパス情報