キャンパス情報
せんせいの引き出し〜静岡大学教育学部 芳賀正之先生〜
せんせいの引き出し(静岡時代6月号:vol27より)
大学の先生は、その専門分野で研究を重ねてこられた「知識の泉」です。先生方の知恵・雑学は大学生はもちろん、これから進学を考えている高校生にとっても驚くこと、興味深いことがたくさんあるはず。しかし、先生とお話をする機会ってなかなかありません。そこで、大学も学部も超えたオール静岡県の大学の先生による、web上での講義を開講。今回は、静岡大学で美術科教育を担当されている芳賀先生に講義をしてもらいました。
■『静岡のホビー文化に触れてみよう』
静岡市は「世界の模型首都」を掲げ、ホビーのまちづくりをめざして様々な活動に取り組んでいます。2010年7月、静岡ホビーフェアの開催と、「RG1/1ガンダム立像」が静岡のまちに立ったのは、そうしたホビーのまち静岡をアピールするためのものでした。静岡市では毎年5月になると、静岡ホビーショーを中心に、ホビーに関する様々なイベントが展開されます。「ホビーのまち静岡」が、ホビー一色となる週が静岡ホビーウィークです。トレインフェスタの会場となるグランシップは子ども連れの親子で賑わい、一方の静岡ホビーショーの会場となるツインメッセ静岡には、全国から多くの人が詰めかけ、まさにホビーファンの人々で埋め尽くされます。では、そもそもホビーとは何でしょうか。ミニカー、Nゲージ、フィギュア、ドールハウス、プラモデルなど、ホビーと称されるものは数多く存在します。共通して言えることは、いつの時代においても人は小さな世界への憧れを持っているということです。そして小さな文化を創り出してきたということです。民俗学研究家の八木洋行氏は、ホビーについて、次のように語っています。
ーーホビー(hobby)という用語の定義は明確ではないのですが、子どものおもちゃのひとつ、子馬の乗り物から派生したようです。したがって幼きものたちに、小さきものを愛しむこころを育むために与えられた子馬の玩具に、ホビーのルーツを求めることができるようです。しかし、今ではこのホビーは、子どもばかりか大人をも夢中にさせています。(シリーズ知の産業『しずおかホビーは凄い!』財団法人静岡県文化財団)

ホビーの種類は先に例を挙げたように様々ですが、木製模型やプラスチックモデルに関して言えば、その魅力とは作ることを楽しみ、鑑賞することにあります。そして、これはすべてのホビーに当てはまることですが、収集(コレクション)することにこそ、ホビーの最大の喜びがあるといえましょう。
ホビー(hobby)それ自体の日本語の意味は、趣味や道楽などと訳されますが、「製作・鑑賞・収集」といったすべての満足感を得られるものが模型なのです。日本は、質的にも量的にも、世界で最もホビーが盛んな国です。サブカルチャーの文化においては、アニメ大国、漫画大国とも言われますが、実はホビー大国とも言えるのです。その中で、日本一の模型産業を有するのが静岡であり、世界でも屈指の「ホビーのまち」なのです。しかしながら、ここに辿り着くまでには、古くは江戸時代の宮大工の活躍、そして特に昭和初期の時代から現在に至るまでの先人の努力と苦難、創意工夫がありました。
静岡は全国と比較しても木製模型メーカーが多く誕生し、戦前から模型産業が栄えた地域です。木工関連の伝統工芸と同じように、木を扱う技の継承と発展が模型文化の土壌を形成したのです。また、木材資源が豊富で地理的環境に恵まれていたことに加え、戦前と、戦後当初において学校教育と結びつき、ものづくりや科学的思考を促す教材として静岡の模型が活用されたことが、静岡模型の発展に繋がったのです。しかし、戦後、プラスチックという新素材による模型が日本に現れてからは、木を素材とした模型産業は停滞状態に陥りました。なぜなら、プラスチックモデルの金型を作るには莫大な資金を要することから、転換への道は険しく、経営困難に陥る模型メーカーも出てきたからです。
こうした厳しい状況の中で静岡のホビー(模型)が成功した理由には、アニメや漫画といったサブカルチャーとの関係が絡んでいます。
1960年代以降は漫画やアニメの興隆により、キャラクターを中心としたサブカルチャー文化とも結びつき、そのことによって静岡の模型は飛躍的に子どもや若者の間に広がりました。時代とともにホビーが多様化する中で、静岡の模型は独自の進化を遂げて来たのです。大型の艦船模型やモーターライズの戦車、MMシリーズやウォーターラインシリーズ、さらにガンプラやミニ四駆など、静岡から生まれた斬新な数々の模型は子どもから大人までを楽しませ、日本独自のホビーの文化を築き上げたのです。世界から注目されている静岡のホビー文化、皆さんもこうした静岡の文化に触れてみませんか。
大学の先生は、その専門分野で研究を重ねてこられた「知識の泉」です。先生方の知恵・雑学は大学生はもちろん、これから進学を考えている高校生にとっても驚くこと、興味深いことがたくさんあるはず。しかし、先生とお話をする機会ってなかなかありません。そこで、大学も学部も超えたオール静岡県の大学の先生による、web上での講義を開講。今回は、静岡大学で美術科教育を担当されている芳賀先生に講義をしてもらいました。
芳賀正之(はがまさゆき)先生
静岡大学教育学部教授。美術科教育担当。専門は美術教育史、ホビー研究。著書(共著)は『美術鑑賞宣言』(日本文教出版)、『しずおかホビーは凄い!』(財団法人静岡県文化財団)など。趣味は美術、音楽、アニメ、ホビー鑑賞など。
http://www.shizuoka.ac.jp/subject/dept/edu/index.html
静岡大学教育学部教授。美術科教育担当。専門は美術教育史、ホビー研究。著書(共著)は『美術鑑賞宣言』(日本文教出版)、『しずおかホビーは凄い!』(財団法人静岡県文化財団)など。趣味は美術、音楽、アニメ、ホビー鑑賞など。
http://www.shizuoka.ac.jp/subject/dept/edu/index.html
■『静岡のホビー文化に触れてみよう』
静岡市は「世界の模型首都」を掲げ、ホビーのまちづくりをめざして様々な活動に取り組んでいます。2010年7月、静岡ホビーフェアの開催と、「RG1/1ガンダム立像」が静岡のまちに立ったのは、そうしたホビーのまち静岡をアピールするためのものでした。静岡市では毎年5月になると、静岡ホビーショーを中心に、ホビーに関する様々なイベントが展開されます。「ホビーのまち静岡」が、ホビー一色となる週が静岡ホビーウィークです。トレインフェスタの会場となるグランシップは子ども連れの親子で賑わい、一方の静岡ホビーショーの会場となるツインメッセ静岡には、全国から多くの人が詰めかけ、まさにホビーファンの人々で埋め尽くされます。では、そもそもホビーとは何でしょうか。ミニカー、Nゲージ、フィギュア、ドールハウス、プラモデルなど、ホビーと称されるものは数多く存在します。共通して言えることは、いつの時代においても人は小さな世界への憧れを持っているということです。そして小さな文化を創り出してきたということです。民俗学研究家の八木洋行氏は、ホビーについて、次のように語っています。
ーーホビー(hobby)という用語の定義は明確ではないのですが、子どものおもちゃのひとつ、子馬の乗り物から派生したようです。したがって幼きものたちに、小さきものを愛しむこころを育むために与えられた子馬の玩具に、ホビーのルーツを求めることができるようです。しかし、今ではこのホビーは、子どもばかりか大人をも夢中にさせています。(シリーズ知の産業『しずおかホビーは凄い!』財団法人静岡県文化財団)

ホビーの種類は先に例を挙げたように様々ですが、木製模型やプラスチックモデルに関して言えば、その魅力とは作ることを楽しみ、鑑賞することにあります。そして、これはすべてのホビーに当てはまることですが、収集(コレクション)することにこそ、ホビーの最大の喜びがあるといえましょう。
ホビー(hobby)それ自体の日本語の意味は、趣味や道楽などと訳されますが、「製作・鑑賞・収集」といったすべての満足感を得られるものが模型なのです。日本は、質的にも量的にも、世界で最もホビーが盛んな国です。サブカルチャーの文化においては、アニメ大国、漫画大国とも言われますが、実はホビー大国とも言えるのです。その中で、日本一の模型産業を有するのが静岡であり、世界でも屈指の「ホビーのまち」なのです。しかしながら、ここに辿り着くまでには、古くは江戸時代の宮大工の活躍、そして特に昭和初期の時代から現在に至るまでの先人の努力と苦難、創意工夫がありました。
静岡は全国と比較しても木製模型メーカーが多く誕生し、戦前から模型産業が栄えた地域です。木工関連の伝統工芸と同じように、木を扱う技の継承と発展が模型文化の土壌を形成したのです。また、木材資源が豊富で地理的環境に恵まれていたことに加え、戦前と、戦後当初において学校教育と結びつき、ものづくりや科学的思考を促す教材として静岡の模型が活用されたことが、静岡模型の発展に繋がったのです。しかし、戦後、プラスチックという新素材による模型が日本に現れてからは、木を素材とした模型産業は停滞状態に陥りました。なぜなら、プラスチックモデルの金型を作るには莫大な資金を要することから、転換への道は険しく、経営困難に陥る模型メーカーも出てきたからです。
こうした厳しい状況の中で静岡のホビー(模型)が成功した理由には、アニメや漫画といったサブカルチャーとの関係が絡んでいます。
1960年代以降は漫画やアニメの興隆により、キャラクターを中心としたサブカルチャー文化とも結びつき、そのことによって静岡の模型は飛躍的に子どもや若者の間に広がりました。時代とともにホビーが多様化する中で、静岡の模型は独自の進化を遂げて来たのです。大型の艦船模型やモーターライズの戦車、MMシリーズやウォーターラインシリーズ、さらにガンプラやミニ四駆など、静岡から生まれた斬新な数々の模型は子どもから大人までを楽しませ、日本独自のホビーの文化を築き上げたのです。世界から注目されている静岡のホビー文化、皆さんもこうした静岡の文化に触れてみませんか。
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Updated:2013年04月23日 キャンパス情報