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せんせいの引き出し〜静岡理工科大学物質生命科学科 志村史夫先生〜

せんせいの引き出し(静岡時代4月号:vol.29より)
大学の先生は、その専門分野で研究を重ねてこられた「知識の泉」です。先生方の知恵・雑学は大学生はもちろん、これから進学を考えている高校生にとっても驚くこと、興味深いことがたくさんあるはず。しかし、先生とお話をする機会ってなかなかありません。そこで、大学も学部も超えたオール静岡県の大学の先生による、web上講義を開講。今回は、半導体結晶材料の分野で数々の功績を残している、静岡理工科大学の志村先生にお話してもらいました。


志村史夫(しむらふみお)先生
静岡理工科大学教授。ノースカロライナ州立大学併任教授、応用物理学会フェロー。
半導体結晶材料の分野で偉大な業績を上げると共に、オカリナや日本刀などの道楽的研究も行っている。また本の執筆やテレビ、新聞ラジオなどでも活躍している。著書に『古代日本の超技術』(講談社)、『こわくない物理学』(新潮社)など、理工系専門、人文、社会学、英語関係の著書多数。
http://www.sist.ac.jp/ms_t/




せんせいの引き出し〜静岡理工科大学物質生命科学科 志村史夫先生〜

■『文理藝融合』

世の中の人は一般に「文科系の人」と「理科系の人」に分類されるようです。
現実的には、前者は「数学や物理などの理科系科目(特に数学)が嫌いな人、苦手な人」、後者はそれらが「好きな(嫌いでない)人、得意な(不得意でない)人」となるのではないでしょうか。
 
しかし、いままで「理科系」や「文科系」のさまざまな分野の仕事に従事し、それらの「まとめ」として少なからずの本を書いて来た私にいわせれば、一人の人間が「理科系」に属するか「文科系」に属するかなどということは、学校の試験の良し悪しなんかで決められるものではないのです。さらに、学校の試験などを通じて評価し得る人間の能力や資質は、ほんの少しの限られたものにすぎないのです。それなのに、日本の社会では現実的に、学校の試験の成績次第で、一人の人間の「優劣」や「適性」、そして「文科系」か「理科系」かのレッテルが貼られてしまう傾向があることを否めないのはまことに遺憾です。自分を簡単に「文科系」あるいは「理科系」に決めても、また誰かに決められてもいけません。
 
私は、経歴や「本職」とみなされている仕事柄、世間的には「理科系の人」に入れられるのでしょうが、私自身は自分のことを「理科系の人」と意識したことがないのです。確かに、私の主な仕事は「理科系」といってもよいかも知れません。しかし、私は自分のことを「理科系」でもあり「文科系」でもあり、さらには「藝術系」でもあると思っているのです。じつは、このようなことは、私に限らず、誰にとっても同じことなのです。「私」という個人の中には「理科系」の部分も「文科系」の部分も「藝術系」の部分も混在しているのです。さもなければ、この複雑な社会の中で生きていけるはずがありませんし、まともな人間的生活ができるはずがありません。要は、それぞれの「程度の差」なのです。

広く地球と人類の健全な未来のために、これからは「文科と理科の融合」(「文理融合」)はもとより、「藝術」との融合(「文理藝融合」)が不可欠でありましょうし、これから、地球と人類が必要とするのは「文理藝融合」型人間でありましょう。本誌の主な読者はすでに「文科系」あるいは「理科系」に属している大学生でしょうが、たとえ自分の「所属」はいまから変えられなくても、一度、じっくりと、自分の「文科系」、「理科系」について考え直してみるとよいでしょう。申し上げたいことはたくさんあるのですが紙幅が尽きました。是非、拙著『文系? 理系? 人生を豊かにするヒント』(ちくまプリマー新書)を読んで下さい。
 
私の諸君へのメッセージを要約すれば、「自分の「所属」や「専門」にとらわれず、大学時代に、文理藝を広く学んで欲しい」ということです。また、私が思う大学時代にすべき一番大切なことは「自分が本当に好きなこと、やりたいこと」と「一生涯付き合えそうな友だち」を見つけることです。





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