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静岡県の大学生が介護の未来を考える〜静大FC特別セッション〜

連続特集:「人生の必修科目。大学生のための"さきどり介護学"」(1)
超高齢化社会に突入した日本。静岡県も例外ではなく、全県民に対する高齢者層の人口が比率が年々高まっている。高齢化の事実にともなって、介護の担い手不足が、ここ静岡県でも叫ばれています。しかし、介護の世界は「きつい・汚い・給料が安い=3K」というイメージがある。しかし、そのイメージは果たして本当なのでしょうか? 実際の介護職の現場をじっくり目にしたことはありますか? 現場で働く職員のみなさんが、日々、どんな思いでお年寄りと接しているかを知っていますか?
将来の国や地域の運営を考える上で、"介護"は重要なトピック。自分のそばにいる大切な人のため、誰もがいつかはむかえる老いについて考えてみませんか。

今回は、静岡大学FC(フューチャーセンター)に所属しているみなさんと、「10年後、静岡の介護の未来は明るいか」をテーマにセッションを行いました。介護知識ゼロからはじめる、大学生の介護学、開講です。


静岡県の大学生が介護の未来を考える〜静大FC特別セッション〜
▲静岡大学FC:年代、職種も様々な人たちが対等な立場で対話し、地域課題について未来思考する場。
今回のファシリテーターは、静大人文社会科学部3年 古川美帆さんです(下段左から2人目)。

■自分が当事者になったとき、明るく介護に向き合いたい

介護のイメージはネガティブなもの? 介護は誰もが将来関わるだろうことも、大切な職業であることも分かります。でも、どうしてもネガティブイメージが先行してしまう……。そんな現状を変えようと静大FCで特別セッションを行いました。テーマは「静岡県の介護の未来」。大学生、一般参加者、介護職員の中村瑠美子さん・篠田徹也さん、県関係部局の方も参戦。白熱議論をお届けします!


■介護は3K? 楽しい?

それではセッションをはじめます! まず参加者の介護に対するイメージを聞いてみると、「大変そう」「低賃金」などやはりマイナスイメージばかり。一方、介護職員の中村さん・篠田さんは「やりがいがある」といった肯定的なご意見。「会話を重ねるごとに、段々とお年寄りの気持ちを理解できるようになるのが楽しいです」と中村さん。現場のリアルな声によると、介護職は「やりがいのある仕事」であり、大変だけど「楽しい仕事」なのだそうです。

■10年で2万人増やす? 静岡県の介護職事情をのぞいてみましょう!

静岡県の試算では、2025年には、現在の約1.5倍、約5万人の介護職員が必要になると予測されています。高齢化や平均寿命の延びにより、今後、介護需要が増加するのは明らかです。介護の担い手不足の対策として、県は「介護の未来ナビゲーター」を結成。県内介護施設で働く若手職員27名が介護職の魅力を発信します。主に若い世代に介護の仕事について関心を持ってもらうことが目的です。就職ガイダンスへも出展。中村さんと篠田さんもそのメンバーです。

介護の魅力をまず伝えたい対象は、大学生をはじめとした若い世代です。ただ、若い世代が現時点で介護にどう関与できるか分からないことも事実。参加学生の中には「曾祖母が離れた土地で要介護になった時、結局自分では何もできなかった」と語る人もいました。介護の必要最低限の知識を持っていれば、もっと何か出来たかもしれない。そう考えると現時点で既に、誰にとっても他人事ではないですよね。


静岡県の大学生が介護の未来を考える〜静大FC特別セッション〜
▲介護の未来ナビゲーターのひとり、中村留美子さん。現場からのリアルな声で、私たちも介護の今をイメージしやすくなりました

介護のこれから……ヤバいポイント!!

・介護需要はさらに増加
・現在の静岡県の高齢化率は、約25.9%
・2025年までに、あと約2万人の介護職員が必要
・2035年には、およそ3人にひとりが高齢者と予測


静岡県の大学生が介護の未来を考える〜静大FC特別セッション〜
▲セッション開始前は、「きつい」「汚い」「給料が安い」の3Kのイメージが濃厚。しかし、話し合いを進めていくうちに、
親の身体のことを考え、就職先を親元の近くに決めた学生もいました。


■10年後の静岡県の介護。どうなっていてほしい?

セッション開始から40分程、議論は10年後の静岡の「未来予想」に。まず介護職員が現状から増えなければ、10年後、約2万人もの人手不足になってしまう。いかに介護職への興味や就職率をあげるかが重要です。課題は「どんな介護事情だったら、介護の仕事をしたいか」。介護を明るく捉えられるのでしょうか?

議論に挙ったのは「職場の空気」の問題でした。例えば、介護食が美味しい・入居者はいつでも出かけることが出来る・毎日お風呂に入れる。入居者に関わることですが、清潔感や日常の贅沢感は働く人の気持ちを前向きにさせるはずです。

そして県民全員が介護サポーターになること。介護は家族内の問題になりがちですが、必要不可欠なのは地域コミュニティの理解と支えです。介護職の中でもホームヘルパーとして働く中村さんの「お年寄りの家にかかっている鍵をなくしたい。そのためにはもっと支える人が必要」という発言が印象的でした。地域コミュニティ全体が介護の担い手となったら、実現できるかもしれません。そうなれば介護職のイメージも変わり、さらなる就職率向上が期待できるはず。 静岡県に明るい介護を実現するためには、地域コミュニティの再編が必要不可欠ですね。


■より身近になっていく介護を先取りしていく

セッション終盤、参加学生からは「介護を明るく考えられるようになった」「介護FCを大学や企業、地域で定期的に行いたい」と前向きな声多数!
10年後、私達にとって介護はより身近になっていきます。今、どれだけ介護の実情や知識を先取りできるかが静岡の介護の未来の要となることを実感させられました。
それではいよいよ、セッション後の発表です。


静岡県の大学生が介護の未来を考える〜静大FC特別セッション〜

静岡県の大学生が介護の未来を考える〜静大FC特別セッション〜


《10年後の静岡県の介護「理想の未来像」》発表!


(1)求めるものは「静岡らしさ」
静岡県の美味しい食材を使った介護食の開発や介護施設をオクシズなど静岡の自然あふれる場所につくります。過ごして楽しい・家族も会いに行きたい環境になること間違いなし!

(2)やるからには目指すはNo.1
介護は、遅かれ早かれ将来の自分自身や家族、大切な人たちに密接に関わってくることです。幸せに過ごしたいし、過ごしてもらいたい。静岡から始まる理想のモデルを目指す!

(3) ポイントその1「人づくり」
介護体験などを通し、中学生や高校生、大学生など10代、20代のうちから介護を自分事と捉えられるような人づくり。その積み重ねが明るい介護のコミュニティをつくります。

(4)ポイントその2「企業育成」
とにかく介護の世界は人手不足! 企業との介護食コラボ・企業のビジネスプランコンテストなど、県内企業の介護業への進出を促進。「介護職を目指す人を増やす」という狙いも!

(5) 3776人の介護サポーター
富士山にちなみ、3776人の介護サポーター(県民)・3776社の介護サポーター企業がいる静岡県を目指します。そうなれば県全体が施設そのもの! 地域コミュニティが変わる!

(6)大学生にできること現在/未来
介護の現状を知ることが第一歩。静岡らしさをいかに見出せるか、介護FCを大学・企業で展開! 大学生の短期インターンシップを全大学で必須に。介護職の3Kのイメージを払拭!

(7) 静岡の介護とは日常の贅沢である
「毎日お風呂に入れる」「お酒を飲める」「自由に出かけられる」「みんなに見守られて死ねる」。介護に求めるものは、ごく普通の日常です。鍵は⑤の見守りコミュニティ!

(8) 最終的には静岡の技術を世界へ!
最終目標は「静岡の介護を世界へ売る」ということ。県民全員が介護サポーター、若者の介護職への就職率向上、明るい地域コミュニティの再編、このノウハウを全世界へ届けます。


私たちの発表はいかがだったでしょうか?
静岡県の介護を家庭内の問題から地域ぐるみで支えられるものになったら、安心だし嬉しいですよね。介護・介護職についてもっと深く知りたい人は、以下のリンク先へ飛んでみてください!!


・HP:http://kaigonavigator-shizuoka.jp/
・Facebook:「介護の未来ナビゲーター」で検索!
「介護の未来ナビゲーター」HPでは、介護人材に関する現状や介護のしごとをより詳しく知ることができます。



「人生の必修科目。大学生のための"さきどり介護学"」シリーズ
(1) 大学生の介護の現場訪問録〈晃の園編〉→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1460297.html
(2) 大学生の介護の現場訪問録〈ぬまづホーム編〉→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1461741.html
(3) 大学生の介護の現場訪問録〈きじの里編〉→ http://gakuseinews.eshizuoka.jp/e1462111.html


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