静岡の街から
トラブルを減らすために消費者としてできること〜春からはじめる消費生活特集(4)
春からはじめる消費生活特集(4):『大学生のための消費者生活向上ハンドブック2015』より
静岡県の大学生、IT ベンチャー企業を立ち上げた学生起業家、地域の情報化支援を行う社会人を緊急召集!座談会テーマは「インターネットトラブルを減らすために、消費者として何ができるか」自分の選択に責任をもつために考えたいこと、トラブル回避術から、賢い消費者像を掘り下げます。

▷▷座談会メンバー(写真左から)
野村和輝さん
静岡大学人文社会科学部経済学科4年(※2015年当時)。静岡県出身。大学3年の頃、インターネットトラブル(アフィリエイト)に遭遇。友人の一言で回避した経験をもつ。
松田直子さん
NPO法人イーランチ理事長。2003年に焼津市を拠点に設立。地域の情報化支援と女性の社会参加を応援し、近年は青少年のインターネット安全利用のための啓発活動を行っている。
亀山春佳さん
静岡英和学院大学人間社会学部人間社会学科3年(※2015年当時)。静岡県出身。静岡県の大学生の総合メディア『静岡時代』編集部に所属。http://www.shizuokajidai.net/
亀谷貴史さん
静岡大学大学院農学研究科1年(※2015年当時)。広島県出身。2013年に起業し、株式会社Exclothesを設立。静岡大学の学生向けの不動産のポータルサイト「しずいえ」を運営。
亀山:普段の生活のなかでインターネットトラブルにあったり、意識したりすることはありますか?
野村:詐欺の手口にひっかかりそうになったことがあります。アルバイトを探していた時に、原稿を書く求人をインターネット上で見つけたんです。でも、初期費用が五万円かかると書いてあって……。おかしいと思い、友人に相談したところ「それは詐欺だよ」と教えてもらい、なんとか回避できたんです。
亀谷:第三者の意見を聞くことはいいことですね。気軽に「どう思う?」と聞くだけで、ワンクッション置けるので冷静な判断につながります。ちなみに僕は、買い物はすべてインターネットで済ませてしまいますが、今のところトラブルにあったことはありませんね。
亀山:私もインターネット通販はよく使います。ただ、中古で頼んだものがイメージと違ったということがありました。説明には「新品同様」と書いてあったんですが、想像以上に劣化したものが届いたんです。相手に連絡をして、返品・返金に応じてもらいました。
松田:相手先と連絡がついたことは幸いでしたね。私もインターネットでよく買い物をしますし、忙しいときに上手にインターネットを利用することはとても便利です。ただ、インターネット通販は基本的にクーリング・オフができません。購入前に返品・返金に関して、確認することが大切ですね。
亀山:どうしても「大手の会社だから」という理由だけで信用しがちです。実際に、大手の通販会社は返品・返金に応じてくれるところもあるので、「インターネット通販はクーリング・オフできるもの」と思う人も多いと思います。静岡時代で行った大学生106人へのアンケート調査でも、「半数の学生がクーリング・オフできると思っている」という結果が出ました。

野村:インターネット通販は、クレジット決済による個人情報の流出も怖いですよね。
亀谷:僕は基本的にどのサイトもある程度は大丈夫だと思いますね。クレジット決済ができる事業者は、事前にクレジット会社の審査を受けています。何重にも審査がされているところであれば、クレジット決済の方が安全ではないでしょうか。
野村:でも、個人情報の流出を完全に防ぐことは難しいですよね。以前、2ちゃんねるの有料閲覧サービス会員のクレジットカード番号や電話番号などの個人情報の流出が問題になりました。
松田:インターネットには、セキュリティソフトやフィルタリングが機械的に守ってくれる範囲と守ってくれない範囲があります。個人情報やそれに紐づく情報は後者です。消費者側が意識を高く持ち、守っていく必要があります。「登録したらポイント付与」というのは、ポイントと引き換えに個人情報を売り渡していることと同じです。
亀谷:個人情報は、何かの会員になった時点で漏れているものだと思うんですよ。ある程度の情報をさらしてしまうことは、仕方ないと思います。

松田:そうですね。致命傷にならないだけの知恵を自分でもつことが大事ですね。さらに、最近の悪質なサイトは、生活の中によりナチュラルに入り込んでくるようになっています。バーバリーの通販サイトを真似てつくられた悪質なサイトもあるんですよ。
亀谷:実際に見てみると、偽物とは思えませんね。
野村:でも、割引率が異様に高いです。
松田:そう。83%って法外な割引率ですよね。よく見ると、電話番号もないですし、メールアドレスもフリーアドレスです。この三点を押さえるだけでも、かなり見極められます。

亀谷:なるほど。あとは、初めて使うようなサイトは、最初は代金引換がいいかもしれないですね。代金引換を導入するには、運送会社との間で一ヶ月くらいかけて審査をします。決済方法に代金引換があること自体が、信頼できると思います。
亀山:そういうことを知っていると、事業者側の信頼度を判断できますね。
亀谷:それから、知恵や知識を蓄積していく上で失敗も大事だと思います。そうしたなかで、トラブルも軽減されていくのではないでしょうか。
松田:致命的な失敗にならなければ、転んで学ぶものもありますよね。大人として生きていくためには毒も知らなくてはなりません。社会には悪質な罠があることを知り、免疫をつけることは大事です。
亀谷:仮に騙されたとしても、友達に話すことで周りが広めてくれます。トラブルに関する知識が広がっていけば、二次被害も防げますよね。
野村:僕も友人に相談したことでトラブルを回避できましたし、リアルでの相談は手堅いです。ついインターネットで調べがちですが、それが本当に正しい情報か分かりませんから。
松田:インターネットの情報は玉石混淆なんですよね。ステルスマーケティング(※)のような情報もありますので、上手に見極める目を育てていかなくてはなりません。まずは情報を疑い、出所を探ってみる。良い情報であれば友達に教えたり、自分で活用すればいいでしょう。
亀谷:お金の流れや仕組みを考えるだけでも、ベターな選択はできますよ。
野村:トラブルは複雑化しているので、選択はより難しくなりますが、消費者がモノをきちんと選べるようになれば、インターネットのいいところが伸び、産業発展にもつながるはずです。
亀山:被害が減っていけば、悪質なサイトは儲からず、淘汰され、いい会社が残り、インターネットはもっと安全に、明るいものになります。おかしいと思ったことを発信することで、社会にいい循環が生まれると思いますね。(了)
※ステルスマーケティング……消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をするマーケティングのひとつ。通称「ステマ」。

静岡県の大学生、IT ベンチャー企業を立ち上げた学生起業家、地域の情報化支援を行う社会人を緊急召集!座談会テーマは「インターネットトラブルを減らすために、消費者として何ができるか」自分の選択に責任をもつために考えたいこと、トラブル回避術から、賢い消費者像を掘り下げます。

▷▷座談会メンバー(写真左から)
野村和輝さん
静岡大学人文社会科学部経済学科4年(※2015年当時)。静岡県出身。大学3年の頃、インターネットトラブル(アフィリエイト)に遭遇。友人の一言で回避した経験をもつ。
松田直子さん
NPO法人イーランチ理事長。2003年に焼津市を拠点に設立。地域の情報化支援と女性の社会参加を応援し、近年は青少年のインターネット安全利用のための啓発活動を行っている。
亀山春佳さん
静岡英和学院大学人間社会学部人間社会学科3年(※2015年当時)。静岡県出身。静岡県の大学生の総合メディア『静岡時代』編集部に所属。http://www.shizuokajidai.net/
亀谷貴史さん
静岡大学大学院農学研究科1年(※2015年当時)。広島県出身。2013年に起業し、株式会社Exclothesを設立。静岡大学の学生向けの不動産のポータルサイト「しずいえ」を運営。
「友人へ聞く・迷ったら代引き・悲劇はシェア」だ!
亀山:普段の生活のなかでインターネットトラブルにあったり、意識したりすることはありますか?
野村:詐欺の手口にひっかかりそうになったことがあります。アルバイトを探していた時に、原稿を書く求人をインターネット上で見つけたんです。でも、初期費用が五万円かかると書いてあって……。おかしいと思い、友人に相談したところ「それは詐欺だよ」と教えてもらい、なんとか回避できたんです。
亀谷:第三者の意見を聞くことはいいことですね。気軽に「どう思う?」と聞くだけで、ワンクッション置けるので冷静な判断につながります。ちなみに僕は、買い物はすべてインターネットで済ませてしまいますが、今のところトラブルにあったことはありませんね。
亀山:私もインターネット通販はよく使います。ただ、中古で頼んだものがイメージと違ったということがありました。説明には「新品同様」と書いてあったんですが、想像以上に劣化したものが届いたんです。相手に連絡をして、返品・返金に応じてもらいました。
松田:相手先と連絡がついたことは幸いでしたね。私もインターネットでよく買い物をしますし、忙しいときに上手にインターネットを利用することはとても便利です。ただ、インターネット通販は基本的にクーリング・オフができません。購入前に返品・返金に関して、確認することが大切ですね。
亀山:どうしても「大手の会社だから」という理由だけで信用しがちです。実際に、大手の通販会社は返品・返金に応じてくれるところもあるので、「インターネット通販はクーリング・オフできるもの」と思う人も多いと思います。静岡時代で行った大学生106人へのアンケート調査でも、「半数の学生がクーリング・オフできると思っている」という結果が出ました。

野村:インターネット通販は、クレジット決済による個人情報の流出も怖いですよね。
亀谷:僕は基本的にどのサイトもある程度は大丈夫だと思いますね。クレジット決済ができる事業者は、事前にクレジット会社の審査を受けています。何重にも審査がされているところであれば、クレジット決済の方が安全ではないでしょうか。
野村:でも、個人情報の流出を完全に防ぐことは難しいですよね。以前、2ちゃんねるの有料閲覧サービス会員のクレジットカード番号や電話番号などの個人情報の流出が問題になりました。
松田:インターネットには、セキュリティソフトやフィルタリングが機械的に守ってくれる範囲と守ってくれない範囲があります。個人情報やそれに紐づく情報は後者です。消費者側が意識を高く持ち、守っていく必要があります。「登録したらポイント付与」というのは、ポイントと引き換えに個人情報を売り渡していることと同じです。
亀谷:個人情報は、何かの会員になった時点で漏れているものだと思うんですよ。ある程度の情報をさらしてしまうことは、仕方ないと思います。

社会に毒あり、賢い消費者に免疫あり。
松田:そうですね。致命傷にならないだけの知恵を自分でもつことが大事ですね。さらに、最近の悪質なサイトは、生活の中によりナチュラルに入り込んでくるようになっています。バーバリーの通販サイトを真似てつくられた悪質なサイトもあるんですよ。
亀谷:実際に見てみると、偽物とは思えませんね。
野村:でも、割引率が異様に高いです。
松田:そう。83%って法外な割引率ですよね。よく見ると、電話番号もないですし、メールアドレスもフリーアドレスです。この三点を押さえるだけでも、かなり見極められます。

亀谷:なるほど。あとは、初めて使うようなサイトは、最初は代金引換がいいかもしれないですね。代金引換を導入するには、運送会社との間で一ヶ月くらいかけて審査をします。決済方法に代金引換があること自体が、信頼できると思います。
亀山:そういうことを知っていると、事業者側の信頼度を判断できますね。
亀谷:それから、知恵や知識を蓄積していく上で失敗も大事だと思います。そうしたなかで、トラブルも軽減されていくのではないでしょうか。
松田:致命的な失敗にならなければ、転んで学ぶものもありますよね。大人として生きていくためには毒も知らなくてはなりません。社会には悪質な罠があることを知り、免疫をつけることは大事です。
消費者ひとりひとりの選択次第で社会の「毒」を薄めていける
亀谷:仮に騙されたとしても、友達に話すことで周りが広めてくれます。トラブルに関する知識が広がっていけば、二次被害も防げますよね。
野村:僕も友人に相談したことでトラブルを回避できましたし、リアルでの相談は手堅いです。ついインターネットで調べがちですが、それが本当に正しい情報か分かりませんから。
松田:インターネットの情報は玉石混淆なんですよね。ステルスマーケティング(※)のような情報もありますので、上手に見極める目を育てていかなくてはなりません。まずは情報を疑い、出所を探ってみる。良い情報であれば友達に教えたり、自分で活用すればいいでしょう。
亀谷:お金の流れや仕組みを考えるだけでも、ベターな選択はできますよ。
野村:トラブルは複雑化しているので、選択はより難しくなりますが、消費者がモノをきちんと選べるようになれば、インターネットのいいところが伸び、産業発展にもつながるはずです。
亀山:被害が減っていけば、悪質なサイトは儲からず、淘汰され、いい会社が残り、インターネットはもっと安全に、明るいものになります。おかしいと思ったことを発信することで、社会にいい循環が生まれると思いますね。(了)
※ステルスマーケティング……消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をするマーケティングのひとつ。通称「ステマ」。

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シリーズ:大学生のための消費者生活向上ハンドブック(1)情報過多なこの時代、私たちは何をもってモノを選択・行動すればよいのでしょうか?インターネットトラブルの専門家 原田由里さんに聞く、インターネットトラブルの変遷と今。インターネットは明るく、自由であれ!
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Updated:2016年03月29日 静岡の街から