静岡の地元情報が集まる口コミサイト:eしずおか

静岡時代 シズオカガクセイ的新聞

静岡の街から

ネット戦線、異常あり? ネットトラブルの変遷〜春からはじめる消費生活特集(1)

春からはじめる消費生活特集(1):『大学生のための消費者生活向上ハンドブック2015』より
情報過多なこの時代、私たちは何をもってモノを選択・行動すればよいのでしょうか?インターネットトラブルの専門家 原田由里さんに聞く、インターネットトラブルの変遷と今。インターネットは明るく、自由であれ! いま、一人ひとりの意識改革が必要とされるワケとは?

ネット戦線、異常あり? ネットトラブルの変遷〜春からはじめる消費生活特集(1)

■原田 由里さん(写真中央)
一般社団法人EC ネットワーク理事。消費生活専門相談員、消費生活コンサルタント、消費生活アドバイザーの資格を持つ。
2006 年にEC ネットワークを設立し、ネット取引のトラブルに関する相談業務やECネットワーク会員企業のコンサルを行っている。


□樫田 那美紀(写真右)
静岡大学 人文社会科学部4年。

□鈴木 智子(写真左)
静岡大学大学院2年。



インターネットの自由と安全を消費者と企業でつくる


ーー最近、インターネットトラブルに気をつけようとよく聞きますが、インターネットトラブルは昔からあるのでしょうか?

インターネットが一般化した2000年頃は、今後の日本を支えていく大きな基盤として、インターネット上の取引を推進していくことが大きな時代の流れでした。黎明期のトラブルを上手に解決していくことは、IT産業を伸ばし、日本経済を押し上げていく上で大事なことでした。
 
インターネットのいいところは自由であることです。自由だからこそ、新しいサービスや産業が生まれますが、それにはトラブルが付きものなんです。企業と消費者双方が安全な場所をつくりあげていくことが必要です。


ネット戦線、異常あり? ネットトラブルの変遷〜春からはじめる消費生活特集(1)

ーーインターネットトラブルの特徴について教えてください。
 
初期の頃から全く変わらない事例があります。インターネット通販における商品未着と返品・返金に関するトラブルです。この二つの事例が多いのには理由があります。インターネット通販は、テレビショッピングやカタログ通販などの通信販売と違い、参入ハードルが低いのです。無店舗販売で家賃も人件費もかからない点は同じですが、メールベースであれば1〜2人で運営することができます。
 
ただ、資本の少ない店舗はリスクを負えないため、前払い決済になります。そういった店舗ほど、経営難で倒産する可能性が高いのにもかかわらず、消費者のみなさんは、それに気がつかずに前払い決済をしているのです。

また、匿名性が高いことも理由の一つです。インターネット通販ですから、わざわざ記載されている住所や電話番号へアクセスしませんよね。つまり、存在が本当かどうかも消費者には分からないのです。ここに悪質事業者が入り込んできます。手口が変化することはあっても、トラブルそのものは今後も変わらないでしょうね。



大学生はリテラシーが高い。あとは本物を見極める力が必要


ーーでは、大学生に多いトラブルや特徴はありますか?
 
特に大学生世代の消費者被害の特徴としては、「SNSをきっかけに広がる」「儲け話に弱い」ということです。例えば、マルチ商法はプロモーションの上手な学生や人脈の広い学生がはまってしまうと、学内でかなり広まります。以前はその起点がサークルでしたが、今はSNSを中心に広がっています。
 
また、今、流行っているのは、バイナリーオプションとアフィリエイトです。バイナリーオプションは明日の外貨の相場が今日より安いか、高いかを決めて、その結果にお金を賭けます。
 
バイナリーオプションの怖い所は、自分の手持ち以上の金額で取引ができるところです。最初は当たる場合があるので、ついはまってしまう人もいるのですが、実は大きな金額を賭けたところで負けることが多いのです。
 
ネット戦線、異常あり? ネットトラブルの変遷〜春からはじめる消費生活特集(1)

ネット戦線、異常あり? ネットトラブルの変遷〜春からはじめる消費生活特集(1)

大学生ですし、ビジネスに興味をもつこと自体はいいと思います。ただ、自分で勉強して、仕組みを理解しているならいいんですけど、安易に儲け話にのってしまうのは甘いです。実際にSNSやインターネット上でも「バイナリーオプションで稼げる」といった広告が非常に増えています。ここで注意したいことは、「インターネットはグローバルな世界である」ということです。


ーーどういうことでしょうか?
 
例えば、「大手のフェイスブックに出ている広告だから大丈夫」というのは大間違いです。日本のドメスティックな感覚では、安全を確保するために事前審査を厳しくして、入り口を狭めるというのが一般的です。そのため、日本では、基本的に、悪質な広告は表に出ません。
 
しかし、インターネットは国内外につながっています。つまり、きちんと審査されていない広告があるということです。アメリカは、来る者を拒まず、悪さをしたら追い出せばいいという考え方です。日本人は安全性に慣れてしまっていますが、外国と日本では、商習慣が異なるということを認識する必要があります。


ネット戦線、異常あり? ネットトラブルの変遷〜春からはじめる消費生活特集(1)


インターネットは自由であるべき。
そのために必要なのは企業と消費者間のコミュニケーション


ーーてっきり安全なものだと思っていました。見分ける方法はありますか?
 
グーグルの検索結果も信用できるとは限りません。外見上では見極めが難しいことばかりなんですよ。
 
例えばアフィリエイトという、提灯記事を書くことで収入を得るという商売があります。広告とわからないような、業者にとって都合の良い書き込みをします。良い書き込みがあると、クリックしますよね。そうすると、真実ではない書き込みがますます検索上位にきてしまいますが、みなさんは上位の書き込みを信じてしまうんです。
 
見分ける方法といっても簡単ではありません。アナログですが、友達などリアルで相談して、冷静に判断することが一番だと思いますね。


ーーインターネットが怖いものに思えてきました。
 
その点に関しては、私は悲観的に捉えていません。いい点、悪い点もありますが、インターネットは自由であるべきだと思います。企業側が安全な場所さえ提供できれば、新しく、便利なサービスが生まれてくる場です。インターネットオークションは、ヤフーなどの企業の功績によって、詐欺が皆無に近い状態になってきました。本人確認や住所確認を徹底することで安全性を高めてきたわけです。
 
このように、企業が改善して、安定させるということを繰り返していくことが大切だと思いますね。


ネット戦線、異常あり? ネットトラブルの変遷〜春からはじめる消費生活特集(1)

ーーそのために消費者一人ひとりに出来ることはあるのでしょうか?
 
疑問に思ったら、声をだすことです。トラブルが多くなると、結局、業界全体が衰退していくことになります。企業も消費者の方を向かなければ、トラブルは減りません。ヤフーオークションの例も、消費者と企業間に情報交換があったからこそ、変わってきました。消費者が声を出すことで企業も変わっていけるし、社会もサービスもよくなっていくんですよ(了)

■一般社団法人EC ネットワーク
東京都千代田区神田和泉町1-3-17 誠心ビル501
☎ 03-5829-9101
メール:info◎ecnetwork.jp(◎を@にかえてください)
HP:http://www.ecnetwork.jp/index.html


ネット戦線、異常あり? ネットトラブルの変遷〜春からはじめる消費生活特集(1)

▶︎▶︎次回は、【本当にあった! 大学生のネットトラブル体験談】を更新します。


同じカテゴリー(静岡の街から)の記事画像
もう一度歩きたくなる、「エッシャーの世界」〜静岡市美術館〜
働く私の静岡時代〜株式会社 サンロフト〜
JR三島駅〜日本大学三島キャンパス〜極私的、古地図研究会
働く私の静岡時代〜株式会社江﨑新聞店〜
働く私の静岡時代〜まちと人をつなぐ情報流通企業 株式会社しずおかオンライン〜
働く私の静岡時代〜まちと人をつなぐ情報流通企業 株式会社しずおかオンライン〜
同じカテゴリー(静岡の街から)の記事
 もう一度歩きたくなる、「エッシャーの世界」〜静岡市美術館〜 (2016-08-25 00:00)
 働く私の静岡時代〜株式会社 サンロフト〜 (2016-06-01 00:00)
 JR三島駅〜日本大学三島キャンパス〜極私的、古地図研究会 (2016-05-26 00:00)
 働く私の静岡時代〜株式会社江﨑新聞店〜 (2016-05-13 00:00)
 働く私の静岡時代〜まちと人をつなぐ情報流通企業 株式会社しずおかオンライン〜 (2016-04-07 15:01)
 働く私の静岡時代〜まちと人をつなぐ情報流通企業 株式会社しずおかオンライン〜 (2016-04-07 15:00)


上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
削除
ネット戦線、異常あり? ネットトラブルの変遷〜春からはじめる消費生活特集(1)
    コメント(0)