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「防災先進県・静岡県の大学生は大丈夫? 大学生の防災意識、緊急調査!!」

「防災先進県・静岡県の大学生は大丈夫? 大学生の防災意識、緊急調査!!」
写真提供:静岡県観光協会

いまや地震県ではなく、“防災先進県”と言えるほどに、津波・防災に対する対策を推し進めて来た静岡県。行政・教育機関・民間企業にボランティア団体など、県内の各界での積極的な取り組みが現在の静岡県の高い防災意識や対策レベルを築き上げてきました。

ですがあえて「大学生」に絞ってみるとどうでしょう。県外か転入してきた人、県内出身者であっても、大学近くで一人暮らしをはじめる人もいるでしょう。これまでの環境から生活が大きく変化しうる大学生における防災意識は十分と言えるのか。

今回はその実態を明らかにするために、静岡時代編集部では静岡新聞と共同で県内の大学生にアンケート調査を行いました。調査は、静岡県内の大学に通う大学生121名に回答をいただき、防災意識や発災時の不安・心配事について率直な意見を聞きました。今後の静岡県の防災、発災時の「自助・共助・公助」を考えていくうえで、「大学生」という層に焦点を当てた際に見えるものとは……?


「防災先進県・静岡県の大学生は大丈夫? 大学生の防災意識、緊急調査!!」



まずは自分の身を守る! 指定緊急避難場所、あなたは知っていますか?

まずは現在の居住地域で地震・津波が発生した場合を想定した、
避難や身を守るための対策について聞きました。


「防災先進県・静岡県の大学生は大丈夫? 大学生の防災意識、緊急調査!!」

いま住んでいる地域の指定緊急避難場所を確認したことが「ある」と答えた学生は約6割強、「ない」と答えた学生は4割弱。静岡時代的には思っていたより確認してある学生が多いと感じました。(みなさんはいかがでしょうか?)

今回居住環境についても質問していたので、下宿・寮住まいの学生に絞ってみると、ちょうど半数(60人中30人)が、指定緊急避難場所を確認して「いない」ことがわかりました。言い換えると、このアンケート結果においては、1人暮しをしている大学生の2人に1人が、行政が発災時に避難するのに最適としている場所を知らないことになります。


次に、「あなたは普段から何らかの防災対策を講じていますか?」という質問について。

「防災先進県・静岡県の大学生は大丈夫? 大学生の防災意識、緊急調査!!」

こちらは、7割弱が何らかの対策を講じて「いない」という結果に……。
一方、講じて「いる」と答えたのは3割強でした。何らかの防災対策をしていると答えた人は実際どんな対策をしているのかを詳しく聞くと、水・食糧の準備が最も多く見受けられました。あと意外?にも複数回答があったのは『非常持ち出し袋』の準備でした。これはおそらく静岡大学が毎年年度始めのガイダンスで学生全員に銀色のいわゆる、ザ・非常持ち出し袋を配っているので、その影響が考えられます。


ここまでの調査結果で、ひとつ懸念事項をあげるとすれば、質問にもあげた『指定緊急避難場所』ですが、もう一つに似た用語である『指定避難所』との違いを大学生が認識しているか、という点です。「避難場所」と「避難所」ではその意味は明確に区別されています。
(『災害対策基本法』第四章 第二節を参照 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO223.html

指定緊急避難場所は、発災時の一時的な危険を回避するための場所であり、指定避難所は、避難生活を送るための場所をさしています。この区別をめぐっては、2011年の東日本大震災で、住民の方の認識が混同されており、発災直後「避難場所」ではなく「避難所」に逃げてしまったために、津波に巻き込まれてしまったケースがあり、その後明確に区別されるようになったという経緯もあるのです。その教訓が果たして活かされているのか、その周知は未だ十分でないように思います。


自分の身をまもったあと、
“だれかのために出来ること”に大学生の力をどう活かすか。

今回最も注目していたのは、大学生のボランティアに対する意識と、もしその意識が高いとするのならば、それをちゃんと地域の力に還元がなされうる状況かどうか、という点でした。

まずはボランティア意識についてですが、「大規模災害が発生したら、現在の居住地で災害支援ボランティア活動をしたいと思いますか?」という問い。これは「したい」が70名(57.9%)、「わからない」が46名(38.0%)、「したくない」が5名(4.1%)でした。


「防災先進県・静岡県の大学生は大丈夫? 大学生の防災意識、緊急調査!!」

また今回は、ボランティア活動を「したい」という意思のある人に限り、“誰と”活動に参加したいかを聞きました。

「防災先進県・静岡県の大学生は大丈夫? 大学生の防災意識、緊急調査!!」

最も多かったのは「友人と一緒に」が36名(50.7%)、次に「個人で」が29名(40.8%)、そして「部活・サークル」の4名(5.6%)でした。

いずれにしても、大学生層のボランティアへの意識が一定層で確かに“ある”ということがわかりました。
(「わからない」という人も多かったのですが、自分の身の安全を守る事が第一ですから、そのとおりだと思いますし、質問の仕方にも課題があると感じています)また同世代として少し驚きだったのは「個人で」ボランティアに参加したいと考える人が4割ほどいたことです。(アンケート回答者全体だと24%くらい。だいたい4人に1人は、“個人でも”ボランティアに参加したいと答えたということ)


この数字をどう感じるかは人によってちがうと思いますが、筆者は多い・少ない、というよりも、これだけの大学生の協力的な意思が明らかになったので、実際の災害時を想定した学生ボランティアを活かすためのシュミレーションや日常的な地域とのコミュニケーション機会がむしろ足りていないことが気になります。

実際、「大学生になってから居住地域の防災訓練に参加したことがありますか?」という質問では、「参加したことが“ない”」人は98/121名(81%)にのぼり、「参加したことが“ある”」と答えた人は23/121名(19%)にとどまりました。


「防災先進県・静岡県の大学生は大丈夫? 大学生の防災意識、緊急調査!!」

この結果を見る限りでは、まず「自分の身の安全を守る」時点から、再確認が必要ではないかと感じます。またおそらく参加しないのは、特に下宿生であれば、居住地域との付き合いがないことが、訓練から足を遠ざけてしまう要因ではないかと考えます。そこをどうつなげるのか、地域・学生の双方にによる歩み寄りが必要です。

また、近年の防災訓練は参加すれば良いのではなく、それ自体が形骸化していることも指摘されていたりします。訓練は「やればいい」というものではありません。ですが現状、「こなすもの」としての訓練が実施されていることも確かです。静岡県内であれば、中学・高校までは、学校からも指示があり、地元の防災訓練に参加している人が多いのですが、大学生になった途端にその参加率は急激に下がると思われます(あくまで経験則ですが)。

静岡県が示す自主防災組織ごとの防災訓練参加率実績(H26調べ)によると、世帯ごとで見れば89%ですが、中高生に絞ったときの参加率は39%に下がります。学校に参加証明の提出を求められるなど強制力が働いていない場合は、まず参加しないというのが“普通”ではないでしょうか。防災訓練については、訓練することが目的になってしまっている点と合わせて、どうしたら大学生をはじめとする若年層も参加しやすくなるのか、もしくは参加したいと思える訓練になるのか、地域住民や防災関係者、大学生をはじめとする若年層を含めての議論が行われることが、今後は必要不可欠ではないかと思える調査結果でした(了)


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