静岡の街から
スナップ・フロム・キャンパス〜戸田書店 静岡本店 店長 長澤宜徳さん〜
静岡時代6月号(vol.35):スナップ・フロム・キャンパス
私たち大学生は、静岡県の次代を担う世代と言われるけれど、静岡県というまちがこれまでどのようにつくられてきて、今があるのか意外と知りません。静岡県をこれまで守り、つくってきた人たちが、これからの静岡県をより良くするために私たち大学生に問いたいことは何だろう。私たちはその問いからどんな答えを導きだせるのか。この企画では、静岡県のまちのキーパーソンの想いや知見に触れていきます。
■今回のキーパーソンは……
戸田書店 静岡本店 店長 長澤宜徳さん
長澤さんからの質問は、「あなたが墓場まで持って行きたい本は何ですか?」です。

まずは、長澤さんにとっての特別な1冊とは何かをお伺いしました。
「本」によって、人生観が変わったという長澤さん。ご自身がいま立っている場所、生き方を通じて、長澤さんがなぜこの問いを導きだしたのかが見えてきました。
僕は小さい頃、本を読むのが大嫌いでした。本を読んでいる人に、そんなことしている場合じゃないでしょう、ってちょっかいを出すような人でしたね。
本を読むようになったのは、大学時代に夏目漱石の『それから』という本に出会って衝撃を受けたからです。僕は学生の頃、勉強さえしていれば自分の将来的な生活が自然とやって来る、と漠然と考えていたんです。けれど、その本を読んでそうじゃないということが分かりました。
主人公は友人の奥さんを奪い取るために、親や親戚からお金を借りて彼女に貢ぐんです。自分が働くわけではないんですよ。結局、主人公は親や親戚からも縁を切られて、働かなければいけない状況になります。そのときに僕は、勉強をしてもなんの得にもならないんだ、と衝撃的に思いました。
表向きは不倫の話なのですが、将来のことで悩んでいる主人公が当時の自分に重なったんです。今でこそ仕事柄たくさんの本を読みますが、その本だけは買った当時のことも鮮明に覚えています。子どもと大人の境目に読んだような感じがして、だからこそ印象に残っているのかもしれません。
個人的にはよくある啓発本よりも、小説のなかに出てくる人たちが喋ったり考えたりしていることが、一番身にこたえるような気がしますね。




















今回、私たち大学生に立てられた問いは「あなたが墓場まで持っていきたい本は何ですか」というもの。静岡県を代表する書店、戸田書店静岡本店で店長を務める長澤宜徳さんから頂いた。読書離れが問題視されている今、長澤さんは「墓場まで持って行きたい本なんてない」という回答があると予想していたそうだ。
正直、この問いを立てられたとき、私もドキッとした。しかし、集まった回答に「ない」というものはなく、長澤さんは「皆さん意外と本を読んでいるのですね」と、嬉しそうな表情を見せてくれた。
墓場という言葉にわくわくしながら、私はこれまでに読んだ本を思い返した。私が持って行くなら、サン=テグジュペリの『星の王子さま』を選ぶだろう。王子の絵が怖い、と避けていた本を、大学生になって初めて読んだ。子ども向けの本ながらとても感動し、もっと早く読めばよかった、と悔やんだ。そんな思いにさせる本は他になく、私の特別な一冊だ。何気なく手にした本が、誰かの特別な一冊かもしれない。そう思うと、もっとたくさんの本に出会いたくなった。
私たち大学生は、静岡県の次代を担う世代と言われるけれど、静岡県というまちがこれまでどのようにつくられてきて、今があるのか意外と知りません。静岡県をこれまで守り、つくってきた人たちが、これからの静岡県をより良くするために私たち大学生に問いたいことは何だろう。私たちはその問いからどんな答えを導きだせるのか。この企画では、静岡県のまちのキーパーソンの想いや知見に触れていきます。
■今回のキーパーソンは……
戸田書店 静岡本店 店長 長澤宜徳さん
長澤さんからの質問は、「あなたが墓場まで持って行きたい本は何ですか?」です。

まずは、長澤さんにとっての特別な1冊とは何かをお伺いしました。
「本」によって、人生観が変わったという長澤さん。ご自身がいま立っている場所、生き方を通じて、長澤さんがなぜこの問いを導きだしたのかが見えてきました。
(取材・文/静岡大学 鈴木理那 ※取材当時)
1冊の本との出会いが、人生観を変えた
僕は小さい頃、本を読むのが大嫌いでした。本を読んでいる人に、そんなことしている場合じゃないでしょう、ってちょっかいを出すような人でしたね。
本を読むようになったのは、大学時代に夏目漱石の『それから』という本に出会って衝撃を受けたからです。僕は学生の頃、勉強さえしていれば自分の将来的な生活が自然とやって来る、と漠然と考えていたんです。けれど、その本を読んでそうじゃないということが分かりました。
主人公は友人の奥さんを奪い取るために、親や親戚からお金を借りて彼女に貢ぐんです。自分が働くわけではないんですよ。結局、主人公は親や親戚からも縁を切られて、働かなければいけない状況になります。そのときに僕は、勉強をしてもなんの得にもならないんだ、と衝撃的に思いました。
表向きは不倫の話なのですが、将来のことで悩んでいる主人公が当時の自分に重なったんです。今でこそ仕事柄たくさんの本を読みますが、その本だけは買った当時のことも鮮明に覚えています。子どもと大人の境目に読んだような感じがして、だからこそ印象に残っているのかもしれません。
個人的にはよくある啓発本よりも、小説のなかに出てくる人たちが喋ったり考えたりしていることが、一番身にこたえるような気がしますね。
ーーそれでは、長澤さんの質問にたいする静岡県内大学生の回答をみていきましょう。
Q.あなたが墓場まで持って行きたい本は何ですか?

静岡県立大学短期大学部『西の魔女が死んだ』

静岡県立大学『レーニンジャー新生化学』

静岡理工科大学『磯部礒兵衛物語〜浮き世はつらいよ〜』

日本大学三島キャンパス『燃えよ剣』

日本大学三島キャンパス『永遠の0』

静岡大学『西の善き魔女』

日本大学三島キャンパス『ペスト』

東海大学海洋学部『巷説物語』

日本大学三島キャンパス『1Q84』

常葉学園大学『あひるの空』
中には、思い出の詰まった1冊を選ぶ学生も!

日本大学三島キャンパス『友だちとの思い出のアルバム』

静岡英和学院大学『日記帳』

日本大学三島キャンパス『卒業アルバム』
Q.あなたが墓場まで持って行きたい本は何ですか?

静岡英和学院大学『ログ・ホライズン』

日本大学三島キャンパス『ハリー・ポッター』

常葉学園大学『イニシエーション・ラブ』

日本大学三島キャンパス『手紙』

浜松学院大学『進撃の巨人』

日本大学三島キャンパス『黄色い目の魚』

静岡大学『日本文化の論点』
取材後記:「大学生が考える、特別な1冊とは?」
静岡大学/鈴木理那
今回、私たち大学生に立てられた問いは「あなたが墓場まで持っていきたい本は何ですか」というもの。静岡県を代表する書店、戸田書店静岡本店で店長を務める長澤宜徳さんから頂いた。読書離れが問題視されている今、長澤さんは「墓場まで持って行きたい本なんてない」という回答があると予想していたそうだ。
正直、この問いを立てられたとき、私もドキッとした。しかし、集まった回答に「ない」というものはなく、長澤さんは「皆さん意外と本を読んでいるのですね」と、嬉しそうな表情を見せてくれた。
墓場という言葉にわくわくしながら、私はこれまでに読んだ本を思い返した。私が持って行くなら、サン=テグジュペリの『星の王子さま』を選ぶだろう。王子の絵が怖い、と避けていた本を、大学生になって初めて読んだ。子ども向けの本ながらとても感動し、もっと早く読めばよかった、と悔やんだ。そんな思いにさせる本は他になく、私の特別な一冊だ。何気なく手にした本が、誰かの特別な一冊かもしれない。そう思うと、もっとたくさんの本に出会いたくなった。
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Updated:2015年10月22日 静岡の街から