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情報社会は私たちの生活を良くするのか?〜春からはじめる消費生活特集(3)

春からはじめる消費生活特集(3):『大学生のための消費者生活向上ハンドブック2015』より
インターネットトラブルの多様化の背景でもある、情報社会や情報通信技術の発見。情報社会学の高口研究室を訪ね、最前線の情報社会のあり方・未来像を聞きました。

情報社会は私たちの生活を良くするのか?〜春からはじめる消費生活特集(3)

■高口鉄平 先生
静岡大学大学院 情報学研究科 准教授。専門は情報通信経済学。最近の研究テーマは「パーソナルデータの経済的価値」。



情報社会は私たちの生活を良くするのか?


必ずしも良い方向にばかりは進まないでしょう。例えばアマゾンで何かを検索したら、その関係商品がおすすめされるようになりますよね。名前や住所だけでなく、購入履歴や検索履歴といったパーソナルな「情報」を使うことで、より個々にあった、きめ細かなサービスが実現できます。ただそれはつまり、情報がもっと使われるようになるということです。

経済学における情報には、二つの捉え方があります。モノやサービスの中身を知るための「情報」としての情報と、「財」としての情報です。特に現代は、情報自体が取引の対象、つまり「財」となります。うまく扱えば便利ですが、モノと違う財としての性質もあるので、形のあるモノとは全くの別物として考えなくてはなりません。

また、僕は、アマゾンの購入履歴といった「情報の経済的価値」を研究しています。経済的価値とは、要は「いくら?」という話です。トライアルの研究なので真の値ではないですが、購入履歴は平均で七千円、登録した住所などの個人情報にも7千円程度の価値が認められました。



情報社会は私たちの生活を良くするのか?〜春からはじめる消費生活特集(3)


仮にアマゾンと同じ商品が同じ価格で揃うショッピングサイトが出来たとしても、僕らは既に個人情報をアマゾンに登録しているし、ウィッシュリストや購入履歴があるから簡単には乗りかえないんです。経営戦略的には使用者にそれらの対価を払えば乗りかえると考えられます。ちなみに、さっきの研究ではブランドへの愛着は七千数百円でした。ブランドと同等の価値をパーソナルデータは持っている可能性があるんです。となると、価値を生み出す材料である僕らの閲覧履歴をタダで渡していいのか、という話になります。生み出された価値ある情報の取引を注意して見ていかないと、マイナスの方が大きい社会になるかもしれません。

今は情報が増えすぎて、全ての情報を一人の人間が集めることや、リアルタイムに全てを自分で理解することは難しい状況です。企業は検索キーワードが上位にくる工夫をしますが、その工夫自体は企業の本質ではありません。口コミがどれほど本当かという「情報」も僕らは持っていないんです。情報が増えているにも関わらず、不確実な状況が増えてきています。個人ではどうしようもありません。あえて言うと、世の中に出ている情報の100%を自分が手にしていることはないということを認識して、経済活動をしていくしかありませんね(了)



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