静岡の街から
ハタチの社会見学〜株式会社 HKS〜
ハタチの社会見学(6)
■株式会社 HKSにやってきた!
〜創業40年。挑戦しつづける静岡のものづくり〜
株式会社HKSといえば「走り屋の自動車の改造パーツ」。そんなイメージがあるかもしれませんが、それだけではないんです。住まいから、航空機から「ものづくりには終わりがない」という長谷川社長の信念のもと次々と新しい何かが生み出されています。
そんなワールドクラスの静岡県ものづくり代表の裏側を知るべく、標高500メートル、富士山を望む広大な大地にそびえ立つHKS本社工場へ。今回はHKSミュージアムへ潜入。本当に40年?と思うほど濃い~歴史がここに。静岡のものづくりってスゴイ。
株式会社HKS / 代表取締役 長谷川浩之さん
■時代を先取りして、長く続ける事が生命線
実は、私は大勢の人の反対を押し切って独立したんです。もともとヤマハ発動機に勤めていたんですが、お客さんの痒いところまで手が届くような会社を作りたかったんです。
我々の会社は自動車部品の会社という印象が強いかもしれないですが、実はHKSの開発技術を地震の制振装置や航空機エンジンに応用するなど常に様々なことにチャレンジしています。
ものづくりにおいて大切なことは、時代を先取りすること。「こんなものあったらいいな」と気付いてから作り始めるのでは遅いんです。必要な時に時代を先取りして、長く続けることが生命線。既に出来上がっていないといけない。今の時代の流れを誰よりも早くキャッチしてその先を見る、そして次々と新しいものを作っていく力、自分たちの作った製品がどこで活躍できるかの可能性を広げていく力が必要です。
静岡県でものづくりを継続していくためにも、我々企業は伝承していかなければいけません。同時に、同じ分野で従来と同じものをつくるだけじゃだめなんです。ものづくりは終わりがないからこそ、諦めないで歯を食いしばって、新しいものを開発し続けなければいけません。それは学生も同じです。どんな時でも歯を食いしばって色々なことをやらないとその人の持っている器が実力にならない。常にクリエイティブにならないと。学生も学ぶときだからこそ、今学ばないとね。
(1)社会見学スタート!
▲ 富士宮市北山に位置する本社工場。こちらは社長室のある4号棟。この他5つの建物があります。
(2)HKSの技術
▲入口では、エンジンにつけるスーパーチャージャーという過給装置など、HKS を代表する技術の数々がお出迎え。
(3)社屋の建つ土地にもこだわりあり!
▲標高500 メートル! 地震で津波がなかなか到達しないことから、ここを拠点に選んだそう。ちなみに面積は東京ドーム4個分。
(4)HKSの歴史
▲本社工場内にあるHKS ミュージアムへ。創業から40 年。HKS の1年ごとの歩みが展示されています。
(5)レーシングエンジン
▲歴代レーシングカー。実は長谷川社長を独立へ動かした最大要因は「自分の手で世界一のレーシングエンジンをつくる」こと。
(6)HKS製車の早さの秘密
▲タイヤに注目! こちらのレーシングカーは「400 メートルをいかに早く走るか」をもとに設計。他に比べタイヤが大きいです。
実は、HKS の技術は自動車とは一見関係のないところでも大活躍しています。それが住宅。自動車関連で培ったサスペンション技術を応用して木造住宅用の制振装置にしているのです。
写真がそのMER-System。地震による建物の変形エネルギーをいち早く吸収し、応答加速度の低減に効果を発揮。建物の変形を抑えることで損傷を最小限に食い止めます。さらに、あらゆる周波数に対応するため、地震の振動だけでなく、近隣の車の通行による振動にも対応するのだそう。
(7)設計図
▲74E の設計図。社長自らが手がけ、独立前からこつこつ書き溜めていた設計図面をもとに製作。とても精密な線と書き込みが!
(8)トランスミッションの開発
▲HKS 製の強化シーケンシャルミッション。エンジンパワーを伝達し、変速するトランスミッションの開発を行っています。
(9)サスペンション
▲自動車用のサスペンション。タイヤの付近にあり、車の振動を吸収し車の乗り心地を良くするなど運動性能に関わっています。
(10)自動車用マフラー
▲こちらは自動車用マフラーの製造工程において溶接作業をしているところ。排気音やこもり音を低減します。
(11)伝説のF1用エンジン
▲日本で唯一自動車メーカーではなくF1エンジンの開発を手掛けたエンジンがこちら。「最高峰」と周りから絶賛の伝説のエンジン。長谷川社長が独立後はじめて取りかかったのは、2リッターのレーシングエンジン74E。しかし、創業早々で資金が続かず開発を断念したこともあったそうです。
(12)レーシングカー乗車
▲時速250キロのレーシングカーに乗車!足を真っすぐに伸ばして座るため、視界が車と一体化。なぜか安心感がありました。
(13)オートレース用のバイクエンジンも製造
▲浜松のオートレースにエンジンを供給していた時のバイク。レース用以外のバイクにも使われたHKS オリジナルのエンジンです。
(14)航空機にもHKSが携わっています!
▲自動車部品の製造だけでなく航空機エンジンも(またも日本で唯一)。世界から評価を受ける高出力、軽量、低燃費の次世代エンジン。設計から長谷川社長のこだわりがあるそうです。
私は今までものづくりに対して、需要があるからこそ必要に応じてつくっているのだと思っていました。しかし、HKSの歴史や長谷川社長のお話から、時代の先をみて自らが需要をつくりだす・常に挑戦しつくり続けていくという、ものづくりのシビアな一面を感じました。
「現状に満足せず、問題点を見つけ改善する努力をし、個性を大切にして生きていく。そうすることで自然と仲間ができ、会社ができていく」という長谷川社長の言葉が印象的です。それは私たち学生にとっても同じこと。私という強烈なカラーを形作っていくために、私もチャレンジし続けたいと思います。
■株式会社 HKSにやってきた!
〜創業40年。挑戦しつづける静岡のものづくり〜
株式会社HKSといえば「走り屋の自動車の改造パーツ」。そんなイメージがあるかもしれませんが、それだけではないんです。住まいから、航空機から「ものづくりには終わりがない」という長谷川社長の信念のもと次々と新しい何かが生み出されています。
そんなワールドクラスの静岡県ものづくり代表の裏側を知るべく、標高500メートル、富士山を望む広大な大地にそびえ立つHKS本社工場へ。今回はHKSミュージアムへ潜入。本当に40年?と思うほど濃い~歴史がここに。静岡のものづくりってスゴイ。
[取材・執筆:木下莉那(常葉大学)]
株式会社HKS / 代表取締役 長谷川浩之さん
■時代を先取りして、長く続ける事が生命線
実は、私は大勢の人の反対を押し切って独立したんです。もともとヤマハ発動機に勤めていたんですが、お客さんの痒いところまで手が届くような会社を作りたかったんです。
我々の会社は自動車部品の会社という印象が強いかもしれないですが、実はHKSの開発技術を地震の制振装置や航空機エンジンに応用するなど常に様々なことにチャレンジしています。
ものづくりにおいて大切なことは、時代を先取りすること。「こんなものあったらいいな」と気付いてから作り始めるのでは遅いんです。必要な時に時代を先取りして、長く続けることが生命線。既に出来上がっていないといけない。今の時代の流れを誰よりも早くキャッチしてその先を見る、そして次々と新しいものを作っていく力、自分たちの作った製品がどこで活躍できるかの可能性を広げていく力が必要です。
静岡県でものづくりを継続していくためにも、我々企業は伝承していかなければいけません。同時に、同じ分野で従来と同じものをつくるだけじゃだめなんです。ものづくりは終わりがないからこそ、諦めないで歯を食いしばって、新しいものを開発し続けなければいけません。それは学生も同じです。どんな時でも歯を食いしばって色々なことをやらないとその人の持っている器が実力にならない。常にクリエイティブにならないと。学生も学ぶときだからこそ、今学ばないとね。
長谷川浩之さん
株式会社HKS 代表取締役。沼津工業高等専門学校の第一期生。
ヤマハ発動機退社後、昭和48 年に株式会社HKS を設立。「最近は電気自動車もあるけど、そこに何かしらの感動が感じられるものにならないと無味無感動だよね」と長谷川さん。長谷川さんのものづくりに対する流儀を感じました。
住所:静岡県富士宮市北山7181
株式会社HKS 代表取締役。沼津工業高等専門学校の第一期生。
ヤマハ発動機退社後、昭和48 年に株式会社HKS を設立。「最近は電気自動車もあるけど、そこに何かしらの感動が感じられるものにならないと無味無感動だよね」と長谷川さん。長谷川さんのものづくりに対する流儀を感じました。
住所:静岡県富士宮市北山7181
(1)社会見学スタート!
▲ 富士宮市北山に位置する本社工場。こちらは社長室のある4号棟。この他5つの建物があります。
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(2)HKSの技術
▲入口では、エンジンにつけるスーパーチャージャーという過給装置など、HKS を代表する技術の数々がお出迎え。
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(3)社屋の建つ土地にもこだわりあり!
▲標高500 メートル! 地震で津波がなかなか到達しないことから、ここを拠点に選んだそう。ちなみに面積は東京ドーム4個分。
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(4)HKSの歴史
▲本社工場内にあるHKS ミュージアムへ。創業から40 年。HKS の1年ごとの歩みが展示されています。
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(5)レーシングエンジン
▲歴代レーシングカー。実は長谷川社長を独立へ動かした最大要因は「自分の手で世界一のレーシングエンジンをつくる」こと。
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(6)HKS製車の早さの秘密
▲タイヤに注目! こちらのレーシングカーは「400 メートルをいかに早く走るか」をもとに設計。他に比べタイヤが大きいです。
実は、HKS の技術は自動車とは一見関係のないところでも大活躍しています。それが住宅。自動車関連で培ったサスペンション技術を応用して木造住宅用の制振装置にしているのです。
写真がそのMER-System。地震による建物の変形エネルギーをいち早く吸収し、応答加速度の低減に効果を発揮。建物の変形を抑えることで損傷を最小限に食い止めます。さらに、あらゆる周波数に対応するため、地震の振動だけでなく、近隣の車の通行による振動にも対応するのだそう。
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(7)設計図
▲74E の設計図。社長自らが手がけ、独立前からこつこつ書き溜めていた設計図面をもとに製作。とても精密な線と書き込みが!
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(8)トランスミッションの開発
▲HKS 製の強化シーケンシャルミッション。エンジンパワーを伝達し、変速するトランスミッションの開発を行っています。
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(9)サスペンション
▲自動車用のサスペンション。タイヤの付近にあり、車の振動を吸収し車の乗り心地を良くするなど運動性能に関わっています。
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(10)自動車用マフラー
▲こちらは自動車用マフラーの製造工程において溶接作業をしているところ。排気音やこもり音を低減します。
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(11)伝説のF1用エンジン
▲日本で唯一自動車メーカーではなくF1エンジンの開発を手掛けたエンジンがこちら。「最高峰」と周りから絶賛の伝説のエンジン。長谷川社長が独立後はじめて取りかかったのは、2リッターのレーシングエンジン74E。しかし、創業早々で資金が続かず開発を断念したこともあったそうです。
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(12)レーシングカー乗車
▲時速250キロのレーシングカーに乗車!足を真っすぐに伸ばして座るため、視界が車と一体化。なぜか安心感がありました。
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(13)オートレース用のバイクエンジンも製造
▲浜松のオートレースにエンジンを供給していた時のバイク。レース用以外のバイクにも使われたHKS オリジナルのエンジンです。
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(14)航空機にもHKSが携わっています!
▲自動車部品の製造だけでなく航空機エンジンも(またも日本で唯一)。世界から評価を受ける高出力、軽量、低燃費の次世代エンジン。設計から長谷川社長のこだわりがあるそうです。
取材後記……
木下莉那[常葉大学]
私は今までものづくりに対して、需要があるからこそ必要に応じてつくっているのだと思っていました。しかし、HKSの歴史や長谷川社長のお話から、時代の先をみて自らが需要をつくりだす・常に挑戦しつくり続けていくという、ものづくりのシビアな一面を感じました。
「現状に満足せず、問題点を見つけ改善する努力をし、個性を大切にして生きていく。そうすることで自然と仲間ができ、会社ができていく」という長谷川社長の言葉が印象的です。それは私たち学生にとっても同じこと。私という強烈なカラーを形作っていくために、私もチャレンジし続けたいと思います。
もう一度歩きたくなる、「エッシャーの世界」〜静岡市美術館〜
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JR三島駅〜日本大学三島キャンパス〜極私的、古地図研究会
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Updated:2015年10月26日 静岡の街から