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静岡の街から

◉働く私の静岡時代〜株式会社江﨑新聞店〜

■働く私の静岡時代〜静岡県にある、ないと困る大事な仕事〜

警察官?救命隊員? 多才すぎる新聞配達員


静岡市葵区にある株式会社江﨑新聞店は百年も前から続く、新聞の配達・集金・営業を行う会社だ。「新聞配達」というと、深夜に働き、休みもない印象が強く、大学生の憧れの職業とは言い難い。

しかし、取締役常務 本澤千晶さんは「新聞と新聞配達には4つの価値がある」と言う。一体、どういうことなのか?静岡市葵区の青葉通りにある江﨑新聞店本社を訪ねました。


◉働く私の静岡時代〜株式会社江﨑新聞店〜

新聞の4つの価値とは、「新聞の商品的価値」と「教育(習慣)的価値」、新聞配達により保たれる「安全」と「安心」だ。

本澤さんによると、新聞や新聞配達がなくなってしまったら、日本人の思考力は2〜3割低下し、犯罪は今の10〜20倍になると言う。
ネットと比較されがちの新聞だが、毎日同じ場所、時間に届けられる新聞は教養にも、犯罪の抑止力にもつながっている。

実際に、江﨑新聞店の配達員は、配達時にパトロール手帳を持ち、防犯の腕章を着けている。パトロール手帳には不審人物の背格好や特徴を記入できるようになっており、腕章も鮮やかな緑色が目を引く。


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さらに、ただ防犯の腕章を身につけて、パトロール手帳を持っているだけではない。

江﨑新聞店では、全従業員へ犯罪情報や不審情報がリアルタイムに共有され、さらに総合警備保障会社(ALSOK)と高齢者らの見守り協力体制を確立している。

後者は営利目的ではなく無償の業務提携で、新聞販売店と警備会社の協力は全国初の試みだ。
葵区、駿河区内のALSOKのホームセキュリティーサービス契約者を対象に、新聞配達員が配達先の異常を察知した場合、直ちに同社に連絡して警備員が駆けつける。
 
ALSOKだけでなく、地元町内会や消防署、警察署、民生委員など各所と協力体制を整え、地域に安心・安全を届けている。


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さらに、江﨑新聞店の新聞配達員は救命講習も受けており、AED(自動体外式除細動器)の使用法や心肺蘇生について学んでいる。

配達員の中には、救命指導員の資格を持つ者も多く、自治体や町内会、学校などへ出向き、救命指導の講習会も積極的に行っているとあって驚きだ。

一人暮らしの高齢者の異変に気づき、人命救助につながったというケースも多く、江﨑新聞店の警察官でもあり、救命隊員でもある多才な新聞配達員の姿に従来の「新聞」「新聞配達員」のイメージが変わる。

「『三方よし』という近江商人の教えがあります。三方とは売り手、買い手、世間のこと。世間の新聞や新聞配達の魅力を伝えることができれば、日本の販売店も地域も変わる。そのためにはまずうちが変わらないとね。

江﨑新聞店が目指すのは、「三方よし」を体現するような地域に欠かせない存在。毎夕2回、一軒につき年間約700回、江﨑新聞店は、新聞本来のもつ価値を地域へ広めるために、営業や配達を行っている。


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三年で三百万が貯まる 江﨑印の自己成長


江﨑新聞店には、面白い新卒教育プログラムがある。新入社員が入社3年以内に自己成長でき、かつ300万円が貯まるSDCというカリキュラムだ。

驚くことに、3年間勤続した社員には3年後に自動的に100万円が支給される。さらに、社員による会社への積み立て支援制度があり、月々の給料から8600円を積み立てるともう百万円、さらに17400円を積み立てればもう100万円、合計300万円を手にすることができる。

「自己成長を応援できる会社になりたい。まずは3年やってみて、もしも他にやりたいことが見つかったら、その資金で夢を実現したらいいし、出戻りも構わない」

新卒を担当している本澤さんは、新卒に対して「まず3年やってみて、成長すること」を求めていると言う。

1年目は自分の仕事を身につけ、2年目には指導者の目、3年目には経営意識を養う。毎月、新入社員には幹部がコミュニケーションをとる機会があり、会社全体で新卒教育に力を入れている。


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自己成長だけでなく、3年で最大300万円が貯まる教育プログラム。どうしてそこまで会社がしてくれるのか? 

3年以内に離職する若者が三割近くいる今、ではその離職する頃にその人が社会に通用するような一人前の能力を身につけているかどうかは分からない。
人手不足の時代、会社が人材育成にかけられるコスト、時間は限られているのが現状だからだ。

だからこそ江﨑新聞店では、新入社員に「自己成長」の意識を徹底させる。初めの3年間できちんと自己成長し、3年後にもう一度、キャリアパスを歩むか、転職をするか自分の将来を選択できる。

「他の会社が10年かけて行うような教育を江﨑新聞店は3年で行う。はっきり言って大変だが、江﨑新聞店の仕事はあらゆる仕事に通じる側面を持っている」

この道、39年の本澤さんは江﨑新聞店の仕事を自信溢れる笑顔で語る。

夜中2時半からの配達、銀行マンのように1円まであわせる集金、自らの配達エリアに1000世帯を抱える営業……。

江﨑新聞店の仕事を3年間続けることができたら、どんな変則的な仕事にも対応できるだろう。何より本澤さんの言葉、表情からは「3年後、江﨑新聞店を選びたくなる」理由が仕事そのもの、そして、この教育システムに表れているように感じた。

「新聞や新聞配達を活かして、地域に安心安全を届ける。これは国内外問わずどこでも必要とされること。10年後、江﨑新聞店の『あんしん・あんぜんの配達』を国外へ広めていきたい」

「そうしていつか、『新聞社』と『新聞販売店』、どちらに就職したいか迷わせたいね」

今あるものの見え方を変えていく。
江﨑新聞店には単なる「新聞」「新聞配達」を越えた仕事があり、今日も全従業員がつくり続けています。


◉働く私の静岡時代〜株式会社江﨑新聞店〜

[筆者・山口奈那子(常葉大学外国語学部4年]


■株式会社江﨑新聞店
創業  1909年
従業員数  360人
事業内容  静岡市葵区駿河区全域(一部山間地は除く)の新聞・配達
職種  営業
仕事内容  新聞配達・集金・営業
給与  大卒・大学院卒入社後6ヶ月 月給21万円(※ 期間終了後は固定給月給22万〜27万円)
問い合わせ  http://www.ezakinet.co.jp/
※募集期間や募集人数などの詳細はHPをご覧下さい


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