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せんせいの引き出し〜常葉大学教育学部 猿田真嗣先生〜
静岡時代:せんせいの引き出し
様々な専門分野で研究を重ねてこられた「知識の泉」をもつ先生たちのエッセイをつづる【せんせいの引き出し】。今回は、常葉大学教育学部で障害学習を専門とする猿田真嗣先生のお話をご紹介します。
■原風景を確かめる旅
最近、高一の娘がしきりにアメリカに行きたがっている。留学したいというのではない。旅行に行きたいというのである。4歳の時、家族で10ヶ月を過ごしたジョージアの記憶を、自分の目で確認したいらしい。家計を気にする私は、「ウチのどこにそんな金が……」という”心の声”を押し殺し、「部活が忙しいんじゃないの?」などとかわしにかかるが、本人は「どこ吹く風」である。幼い頃の記憶は相当に美化されるものらしい。現地の幼稚園に放り込まれるなど、つらい思い出も多かったはずだが、きれいさっぱり忘れてしまった様子。
そこまでいうのならと、「地球の歩き方」の最新版を入手、パラパラめくりながら、当時のことなど少し思い出してみた。
12年前のジョージア州といえば、アトランタオリンピックのまっただ中。在外研究を機に家族4人が滞在したのは、アトランタから100キロほど離れたアセンズという大学町。Athensとはアテネのこと。この地に州立大学を建設したとき、古代の学芸の都から町の名前を採ったらしい。アトランタオリンピックは近代五輪100周年記念大会であった。「アテネからアセンズへ」(from Athens to Athens)というバナーがサッカー会場(大学のフットボールスタジアム)の周囲にもはためいていた。
大会前にはテロ事件などもあったが、緊迫度を増す国際情勢をよそに、教職員や学生は文字通り「世紀の祭典」を満喫していた。オリンピックはそれなりに興味深いイベントだったが、さらに印象深かったのはアメリカ南部の雄大な自然や風物である。南部特有の赤茶色の大地とコットン・フィールド、マイアミからキーウェストに至る「世界で最も美しい」と称されるハイウェイ、車で何時間走っても途切れることのないスモーキーマウンテンの紅葉……。それらは、一家が生活を始めた四国の地とともに、私たち家族の大切な原風景となっている。
話を現実に戻そう。当時の記憶がまったくない息子は「そんなとこ行きたくない」。財務大臣(妻です)も当然乗り気ではないが、私の方は少し「色気」が出始めたところである。
家族の原風景を確かめるため、予定表のすきまを拡げられないか画策する日々である。
様々な専門分野で研究を重ねてこられた「知識の泉」をもつ先生たちのエッセイをつづる【せんせいの引き出し】。今回は、常葉大学教育学部で障害学習を専門とする猿田真嗣先生のお話をご紹介します。
猿田真嗣先生
常葉大学大学院初等教育高度実践研究科。広島県生まれ。専門分野は生涯学習・大学開放論。学社連携・融合など、学校の地域連携についても調べている。趣味はプロ野球観戦。
常葉大学大学院初等教育高度実践研究科。広島県生まれ。専門分野は生涯学習・大学開放論。学社連携・融合など、学校の地域連携についても調べている。趣味はプロ野球観戦。
■原風景を確かめる旅
最近、高一の娘がしきりにアメリカに行きたがっている。留学したいというのではない。旅行に行きたいというのである。4歳の時、家族で10ヶ月を過ごしたジョージアの記憶を、自分の目で確認したいらしい。家計を気にする私は、「ウチのどこにそんな金が……」という”心の声”を押し殺し、「部活が忙しいんじゃないの?」などとかわしにかかるが、本人は「どこ吹く風」である。幼い頃の記憶は相当に美化されるものらしい。現地の幼稚園に放り込まれるなど、つらい思い出も多かったはずだが、きれいさっぱり忘れてしまった様子。
そこまでいうのならと、「地球の歩き方」の最新版を入手、パラパラめくりながら、当時のことなど少し思い出してみた。
12年前のジョージア州といえば、アトランタオリンピックのまっただ中。在外研究を機に家族4人が滞在したのは、アトランタから100キロほど離れたアセンズという大学町。Athensとはアテネのこと。この地に州立大学を建設したとき、古代の学芸の都から町の名前を採ったらしい。アトランタオリンピックは近代五輪100周年記念大会であった。「アテネからアセンズへ」(from Athens to Athens)というバナーがサッカー会場(大学のフットボールスタジアム)の周囲にもはためいていた。
大会前にはテロ事件などもあったが、緊迫度を増す国際情勢をよそに、教職員や学生は文字通り「世紀の祭典」を満喫していた。オリンピックはそれなりに興味深いイベントだったが、さらに印象深かったのはアメリカ南部の雄大な自然や風物である。南部特有の赤茶色の大地とコットン・フィールド、マイアミからキーウェストに至る「世界で最も美しい」と称されるハイウェイ、車で何時間走っても途切れることのないスモーキーマウンテンの紅葉……。それらは、一家が生活を始めた四国の地とともに、私たち家族の大切な原風景となっている。
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Updated:2015年10月28日 キャンパス情報